『やつと私と雨の庭』がひととおりかけました。お読みいただき、ありがとうございます。
もう少し早く後書きめいた挨拶書こう、と思っていたのですが、飼っている猫が亡くなったりしてなんとなく浮上できず遅くなってしまいました。高齢猫さんだったので、仕方ないこととはいえ、なんやかんやめちゃめちゃ寂しいですね。
こちらは連載前にも触れましたが、丹下左膳とモチーフやモデルにした小説となります。
となると主人公の語り手大庭のモデルは大河内傳次郎となりますが、彼については参考にしながらもかなり自由に書いており、実際の性格とは違う感じかなあと思っています。
これをかくきっかけになったのは、連載前のお知らせを読んでいただければ詳しく書いていますが、林不忘のイマジナリーな存在だったらしい丹下左膳が原作者が早くに亡くなってしまったことで、どこへ行ってしまうんだろう、と考えたのがきっかけです。
そして、大河内山荘で大河内の肖像画を見たときに、ここでなら、彼もきっとずっといられるのではないかと、感じたことに着想を得て、本作を書いています。
本作の春のシーズンは、出会いの場面から春の終わりまでを描いた物語です。
正確には初夏までが含まれていますが、梅雨のころ、六月頃に林不忘が亡くなっていることも踏まえ、一旦はこのタイミングで物語を閉じることにしています。
こちらはもともと電子書籍としてまとめて配布していたものを、連載にあわせて加筆修正した作品になります。修正はかなり手を入れており、鏡の中のやつと花あやめの慕情のエピソードなどは、新たに書き下ろした部分となりました。
特に最終話である「梅雨に消ゆる」は、もともと漢詩がやや唐突に登場して気になっていたので、改めて構成し直しています。
漢詩が多いのは、私の趣味的なところもありますが、林不忘の趣味か、原作の左膳が晋書やら元詩選などの結構マニアックな漢籍からチラホラ引用をしていることや、戦前の映画の時点で大河内の左膳が論語を語ってたり、衣装に千字文があったりと、結構、漢籍と近い印象があり、好きなのかなーと思ったのもあります。
それもあり、割と上手くまとめられたかな、と思っています。
今回は春のシーズンまでで一旦完結としていますが、夏、秋、冬の話も断片的には存在しています。
それらがある程度まとまったら、また思い出したように連載したいなと思っています。
それまでは「完結済み」として、こちらに置かせていただきます。
最後になりますが、本作はかなり趣味性の強い作品で、普段書いているものとは雰囲気の異なる話でもありました。
このような個人的な趣味多めの物語にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。