※――かなりえげつない内容になっているので読むときは注意されたし!
用法用量を守って健全に読書!
もしマアジがライブのあとの感想戦に参加したら? という外伝です。
ではどうぞ。
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「であるからしてぇ!」
眼鏡をかけてバンダナをした山田さんが声を張り上げた。
「やはりセンターに立つ黒岩ルイちゃんが最も可愛いということでファイナルアンサー!?」
気持ちはよくわかる。ルイの可愛さはもう異次元だ。トップアイドルとしてのスター性も加味すると、マジでどの女の子よりも可愛いと断言して虚偽にならない。
「そう思うでござろう!? 佐倉氏!?」
「マジでルイちゃんは超可愛いからな。あれほどの逸材はあまり見ない」
もちろん俺もそれに同意する。
「でござるな! もう黒岩ルイちゃんしか勝たん!」
「本当に可愛いよな」
いい声で鳴くんだよアイツ。唇も唾液も甘いし。可愛いうえに抱き心地も最高だから一緒に寝るといい夢を見れる。俺に甘えてきてキスをおねだりする様も可愛いし。一緒にお風呂に入ると、俺にだけ全部見せてくるところも可愛いし。
「いや。しかし山田氏、佐倉氏。可愛さだけならオメガターカイトは全員が超一流。その上で付加価値を求めるのがファンとしての心理というもの」
ここで山田さんに反論したのは田中さんだった。
メイド喫茶での感想戦。
オメガターカイトのライブが終わって、俺たちはオメガターカイトガチ恋勢として語り合うためにここにいた。俺もガチ恋勢だから彼らの気持ちはよくわかる。その上で俺がルイとタマモと付き合っている、という現実を一体どうしたものか……。
「では田中氏はその付加価値をどこに見つけたと?」
「もちろん古内院タマモちゃんでファイナルアンサー。あんなエッチな子はいないでござる!」
それもわかる。今日のライブでタマモの胸はバルンバルン揺れていた。あれはもう男としては勃つしかない。Gカップとかどうやったらできるんだ。アメイジンググレイス。神の思し召しとしか思えない。
「それは田中氏がおっぱい星人だからであろう!」
「おっぱいが嫌いな男子なんていません!」
「それはまぁ根拠としてわかるでござるが」
「佐倉氏はどう思うでござる?」
「あの胸を揉みたい」
「わかるでござるぞ。叶うならば、あの巨乳を揉みしだきたい。それこそ男の本懐というもの。あのおっぱいを揉めるならもうこれで終わってもいい……だからありったけを、でござるな!」
しかもタマモの胸って結構敏感なんだよな。他の女子より胸で感じやすいというか。胸に触れるだけで敏感に感じてしまうタマモも愛らしいんだよなぁ。あの鋭敏さは、女の子として優秀過ぎる。どれだけ男を喜ばせる身体だよっていう。過積載にもほどがあるぞ。
まぁ俺以外には揉まれてほしくないのも事実だが。
「しかしあの大きさであれば乳輪大魔神……」
「失礼なことを仰るな! 木村氏! 綺麗なポッチに決まってますぞ!」
そうだそうだー!
「そういう貴殿はサヤカ推しであったな?」
「メスガキ系ビッチアイドルですぞ!? あの愛らしさでザァコザァコとか言われながらナニを踏まれたら果ててしまうのが俺のファンタジー!」
いわゆる片中サヤカはメスガキ系ビッチアイドルだが、思ったよりメスガキではない。やるときは俺にわからされているし。いや、そういう意味ではメスガキなのか。夢の中で一方的だから攻めに見えるのであって、こっちから攻めるとすぐにわからされてしまうタイプ。しかも惚れている相手には甘えて、全裸で抱きしめてくるタイプ。
意外と従順で、尽くしてくれるのだ。惚れた男に対してはどこまでもドマゾで忠誠心が強いんだぞ?
「佐倉氏はサヤカちゃんをどう思っているのですか!?」
「可愛い。それは確かだ。しかもロリ少女枠を確保する、という意味ではオメガターカイトでも必要不可欠な要素」
「でござろう! やはりメスガキしか勝たん!」
そのメスガキはつい先日俺にわからされてアンアン鳴いていたが。
「いや、皆さん分かってござらん。本当に純情可憐なのはイユリちゃんをおいて他にいない。あの百合気質。たまに思い出したかのように動画やラジオで『ルイお姉様♡』とか言っちゃう百合の花園。オメガターカイト内部での恋愛を夢見れば八百イユリちゃんは安全牌。我々男に汚されない高嶺の花こそ至高!」
あー、そのイユリも俺とニャンニャンしているんだが。
「マアジお姉様♡」と甘えてくるイユリはとても可愛らしい。
俺も女体になって彼女の身体を貪っているが、おっぱい大きいし身体は甘いしでとても嬲りがいがある。女体になって女の子の身体を弄るのも、それはそれで勉強になるんだよなー。たがいに何処を触れば気持ちがいいのかとか。どういう行為が女の子の身体を興奮に導くのかとか。女体は神秘の塊だ。
「イユリちゃんは百合気質だから男子とのトラブルもない。女の子が好きだから一生処女のまま! これが推さない理由になるだろうか!?」
「しかしあれは百合営業でござろう?」
いや。ガチだぞ? アイツ。知ってるのは俺だけだが。
「佐倉氏はどう思っていますか!?」
「ルイユリは至高」
「ですよね! ルイお姉様もイユリちゃんを愛していれば世界は愛に満たされる!」
「イユリちゃんも結構おっぱい大きいし」
「あの胸をルイちゃんに揉まれると思うと某……」
わかる。色々と勃つよな。
「イユリちゃーん! 一生処女でいてくれ!」
「それはルイちゃんにも言えること!」
「タマモちゃんにも!」
「サヤカちゃんにも!」
俺は脂汗をダラダラとかいていた。ここで俺と彼女たちの関係がバレれば村八分どころではない。磔刑にされかねない。茨の冠をつけて十字架に張り付け。そして石を投げられる。その姿は聖書に刻まれ二千年以上語られ続けるだろう。まぁそれでもあいつらは俺の女だが……南無。
「拙者はアワセちゃん推しですぞ。おそらく華族の出なのでしょう。あの気品ある美しさはまるでお姫様のようで」
「令嬢のような雰囲気あるもんな」
「まさにそれで。佐倉氏はわかっておりますな」
ちょっと前にお見合いしたからな。もちろん言えないが。
「拙者アワセちゃんガチ恋勢で。彼女と恋できるなら還暦に割腹してもいいくらい」
「他の男は寄せ付けない? 同担拒否?」
「ですな。佐倉氏。拙者にだけ微笑みかけてほしい。ガチ恋勢としては真摯にそう思…………佐倉氏? その微妙な表情は?」
「ナンデモナイデス……」
寝取られ趣味で俺がルイやタマモとキスをするところを見て腰砕けになり、俺が他のアイドルの色のサイリウムを見るだけで変な汗をかくとか、どう言えばいいんだ?
「きっと従順で男が苦手なお姫様ですよ。アワセちゃんは。穢れを知らない深窓の令嬢で、子供がどうやってできるのかも知らない可憐なお嬢様……」
うん。まぁ。夢を見るのは自由だ。
「そういう佐倉氏の推しは? さっきから全員の意見に頷いていますが。箱推しとわかっていても特別な一人はいるでしょう?」
ルイとタマモが俺にとっては特別だ。二人とも俺が幸せにする。彼女らの処女は俺が予約しているのだ。とはいえ、それを言うわけにもいかず。
「そうだなぁリンゴちゃんも可愛いが杏子ちゃんもいいよな」
「杏子ちゃん。確かに可愛い。ハーフなのであろうな。あの金髪は」
「美少女としては確実に上位。何より一人だけ金髪ということで差別化も出来ている」
「箱推しとはいえ、佐倉氏は杏子ちゃんに好意的?」
「嫌いになる要素あるか?」
一部例外を除いて。
「うーむ。推しではないので熱意をもっては語れんが、杏子ちゃんも可愛らしいのでなぁ」
「告白されたら付き合うだろ?」
俺が聞くと全員難しい顔をした。
「否定も難しい。我々は喪男であるから」
「キモイよなー」
「でもそんな拙者らにオメガターカイトは微笑みかけてくれるのだ」
「だからこそ我らも推しているのだから」
「現実は厳しいがドルオタの熱意で何とか生きている、といったところか」
じゃ、もう推すしかないな。
「ルイちゃんを拙者は愛してござる!」
「なにおう! タマモちゃんこそナンバーワン!」
「サヤカちゃん! わからせて!」
「イユリちゃん! 百合のまま生きて!」
「アワセちゃん! 俺だ! 結婚してくれー!」
「「「「「で、なんで佐倉氏は目を逸らすので?」」」」」
「いや、その、皆さんの熱量にあてられて……」
その全員と夢の中で相手取っていると、言いたいけど言えないもどかしさ。あいつらは俺の女だぞ、と醜い独占欲が俺を支配していて。このまま彼女らを抱いて、オメガターカイトが誰のものなのかをわからせたい。
そうしたい気持ちは俺の中に確かにあって。本当に反吐が出る。下種の極みだ。わかっている。俺が間違っていることは。俺がキモイことは。俺が罪深いことは。でも譲れないという意味で、俺のガチ恋勢もドルオタのガチ恋勢も、そこに違いはないわけで。
けれど俺は感想戦では一人の箱推しとして存在している。ルイの肢体も、タマモのおっぱいも、サヤカの生えていないお股も、イユリの百合気質も、アワセの寝取られ趣味も、全部が全部愛おしい。あいつらは俺の女で、たとえオメガターカイトガチ恋勢でも渡したくない。その意味で、俺もある種の深刻なオメガターカイトガチ恋勢なのだろう。