ヨルデリア:さて、これでみんなともお別れだ。ハルーン:えっ、三週間の約束は?ヨルデリア:父に頼むから、それは安心して良いよ。リトール:アンタ俺のことをナメてんのか。汚名返上まで付いていくって言っただろうが!ヨルデリア:でも本当に死ぬよ?リトール:死ぬ死ぬ言っている内は死ぬんだ。生きて帰るって言え!タイガス:私も同意見であるぞ!私も行くのである!ヨルデリア:そっちの方が帰れないよ!タイガスを連れていくなんて知られたら、ユーディン様とランケール家が私をただじゃ済まさない!ユーディン様ってとんでもないブラコンだし…。ハルーン:待ってよ、摂政ユーディンがタイガスのお兄さんだとしたら…。リトール:ああ、ユーディン・ゴドフロワ。帝国3大貴族で、英雄ゴドフロワの血を引くゴドフロワ家の当主だって言ったよな。父親は前皇后の兄…つまり、摂政ユーディンは皇帝の従兄でもある。ハルーン:つまりタイガスも皇帝の従兄なのか!リトール:それどころか、3大貴族のヒュバイン家の現当主の妹さんがユーディンの嫁だぜ。で、タイガスの方は3大貴族の最後の一族ランケール家から美人な嫁を貰う予定だ。ハルーン:タイガス、君、僕の思っていた以上にセレブじゃないか!タイガス:セレブだからこそ、貴族だからこそ、責務があるのである!ランケール家や兄上が私に行くなと言っても私は行くのである!もうこれ以上悲痛な涙を流す者があってはならないのである!ハルーン:…。
ヨルデリアの実家にて。ヨルデリアの父コーガ・コルナッハ:そうか。アマルナイ王国に行くか。ヨルデリア:はい。コーガ:ヨルデリア、二十年前の戦争の際、私はおぞましいものをアマルナイ王国で見た。ヨルデリア:…。コーガ:今まで口外することさえためらわれたほどにおぞましいものだ。ヨルデリア:…はい。コーガ:アマルナイの王族達による不老不死の研究の行き着いた果てを、私は見てしまった。ヨルデリア:…。コーガ:良いかい、ヨルデリア、人間はあっさりと死ぬ生き物だ。醜くて愚かで無様な生き物だ。弱くなり、老いぼれてしまう生き物だ。だが、その生き物としてのありのままの姿が愛せたとき、人間は本当に強くなるのだと思う。ヨルデリア:父さん…。コーガ:行ってきなさい。そして必ず『ただいま』をいうこと。約束だ。ヨルデリア:はい!ハルーン:あの…。コーガ:うん?
ハルーン:僕も付いていって良いですか?ヨルデリア:え!?ハルーン:僕は半分エルフなんで、少しなら向こうの地理も分かりますし。コーガ:ハーフエルフ、か…案内をお願いしても良いだろうか。ハルーン:ええ、お任せ下さい!ヨルデリア:で、でも!ハルーン:でもじゃないよ。僕はまた約束したんだから。ヨルデリア:…。父さん、行ってきます。コーガ:行っておいで。
旅立つ四人を見送って。コーガ:元リール騎士団長『帝牙』コーガ・コルナッハ。これは私が出る必要があるかも知れないな…。
帝国研究所にて。
ヤマナ所長:ヤッホー!ヨルデリアちゃーん!今日も超可愛いねえ、世界一愛しているよー!ヨルデリア:はい。良いものを何か下さい。リトール:うわぉ。ハルーン:一撃だね…。タイガス:いつものことであるぞ。ヤマナ所長:そのツンツンな所も超可愛いねえ!はいコレ、特別にあげちゃうよー!ヨルデリア:これは何ですか?ヤマナ所長:『通信機』と『使いの糸』さ!『通信機』はいつでもこの研究所と音声で通信できるようになるし、『使いの糸』は一度行った場所にいつでも行けるようになるんだ!ヨルデリア:凄いですね。それじゃまた。ヤマナ所長:またねぇー!チャオ!ラブラブに愛しているよー!リトール:おい、あれはいつもああなのか。ヨルデリア:いやいや、あのくらいなら大したことは無いよ、あれが所長の平常運転。ハルーン:いや、違うんだけれど、そうだね、そうだ。ヨルデリア:?タイガス:何を怯んでいるのであるか、この腰抜け共が。