• 現代ドラマ
  • ホラー

「夢現〜龍と蜂と檜〜」あとがき

 お読みいただき、ありがとうございました。
 お楽しみいただけていたら、幸いです。

「夢現~龍と蜂と檜~」https://kakuyomu.jp/works/16817330659439181500

これは、殺人を担ってきた三つの集団が、それぞれの道を歩んでいく話です。
 また、五章から一章につながっていくという、連環の物語でもあります。
 その中で、核となる人物が檜惣時郎。
 もう一人、鍵となるのが新井現です。
 二人について、第一章は新井現、第二章は檜渥、第三章は新井青、第四、五章は檜惣時郎の視点で描きました。それぞれの章で、主人公たちは自分の知っていることしか語れません。
 しかし、全章通してお読みいただいた方には、この物語全体の神様のような視点を持つことができたのではないかと思います。
 
 2025年1月1日現在の「夢現~龍と蜂と檜~」主要人物関連の状況を書いておきます。
 
 檜惣時郎と二十七代現一狼は、1991年に亡くなりました。
 また、二十八代現一狼と、青龍も、2010年に亡くなっています。
 その後、夢現流は箕津明羅が二十九代現一狼となりました。
「龍」では、新井明が跡を継ぎ、「白龍」となります。

 檜渥は高校卒業後、有隣学園大学という私立大学の人文学部に入学し、檜家を出ます。
 大学では、惣時郎が単独で片づけた面倒ごとの後始末をする羽目になり、事件に巻き込まれていきます。このあたりが、第31回鮎川哲也賞一次選考通過作の「骸骨は微笑うだろう」で描いた話でした。
 事件後、渥は別の大学に入り直します。惣時郎がらみの事件にまきこまれる日々を経て、再び有隣学園大学の工学部に入学。大学院を出て研究者となります。
 31歳のとき、二十八代現一狼と青龍が相討ちで死ぬのを目の当たりにし、精神が不安定になった渥は、休職を余儀なくされます。
 兄の錦と、恋人の保護を受けながら数年を過ごした後、復帰。結婚し、一子をもうけて四十路を迎えます。
 大学で教鞭を執るかたわら、2020年に有隣学園大学に入ってきた甥を見守ることになります。
 甥は、錦の次男で、2023年度大学を卒業、有隣学園大学大学院に進みます。
 
 錦は国会議員を務めた後、地元の首長となります。親友で秘書の宮原和也と相談した結果、決めたことでした。
 地盤は錦が国会議員になる前に惣時郎の地盤を受け継いでいた葭原水貴に引き継がれました。
 錦の旧友の遠山大樹は投資に詳しく、檜家の資産運用に関わっています。
 地域密着型に戻った檜家は、かつての関係者で希望する人たちを雇い入れます。
 檜家の離れは再び開放され、岩田の指導の下、見事な日本庭園が造られます。内装も雇われた人たちの手によって一新されます。
 このあたりの檜家の様子は、ノベプラさんで公開している檜惣の高校時代の物語「たぶん、王様と、僕」にある通りです。
 
 錦の長男、惣は大学を卒業後、2023年に一般企業に入社。社会人として東京で生活をする傍ら、政治家になるべく、葭原水貴の元で学ぶことになります。
 
 ここまでが、令和7年1月1日までに起こったことです。
 少し未来のことも。
 2026年。錦の次男は大学院を修了、夏に、渥の同僚の研究者に呼び出され、事件に巻き込まれます。このあたりが、第11回鮎川哲也賞一次選考通過作「玉楼の鎖」で描いた話でした。

「夢現」を最初に書いたのが1995年くらいのことだったと思います。
 30年間くらい、この物語を抱えてきました。
 その間、ノベプラさんで公開している檜惣の話も含めて、いくつもの檜家関連の作品を書きました。
 いつも、意識の底にあるのは、「夢現」の五章からなる世界でした。
 この5つの物語は2003年の3月末までに、同人誌として発表しました。
 けれども、予算の都合上、中とじのプランで作ったので、ページ数に余裕がありませんでした。
 今回、紙幅を気にしない形で書き直すことができ、ホッとしています。
 
 これからも、檜家がらみの話は書いていくと思います。
 また、お読みいただけたら幸いです。

 この度はお読みいただき、ほんとうにありがとうございました。

         2025年2月3日 江東うゆう

 ※2025年2月4日に、ノベプラで公開している「記念写真」を、なろう、カクヨムでも公開します。第四章と第五章の間の話です。お楽しみいただけましたら幸いです。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する