初めまして。さつき(Satsuki*)と申します。
星の数以上は存在するであろう一次創作の物語から、こちらの作品を見つけていただいたことへ、まずは深く御礼申し上げます。
今回、己の拙い世界観を土台とした創作物を、実際に触ることができる形へと起こすのは初めての経験でした。それだけでも緊張の連続ではあったのですが、何よりもプレッシャーを感じていたのは各登場人物たちの描き方です。
わたしの脳内という極小の密閉容器内でずっと狭い思いをしてきたであろう登場人物たちを、ほんの少しだけではありますが伸び伸びと過ごさせてあげられるようにと、自己満足ながらも書籍としての頒布を強行した次第でした。本作は、物語の柱となる登場人物たちの性格と日常を掘り下げ、本筋のストーリーの基礎建築を図ることを目的とした短編集なのです。
本創作『さよならBlossom』のあらすじは以下の通り。
―――二〇一〇年代、頭。
身近な連絡手段は、LINEよりもメールが主流だった頃。
大学では優等生である青年、香川 ゆずきは考え事に行き詰まったストレス発散のため、ゲームセンターへと向かう。太鼓型のリズムゲームをこなしていると、己のターンなのに勝手にプレイを始める男に遭遇。ユズキはワンゲーム代を奪還するため、パーカー姿の男を追いかけ、大捕物が始まるのだが……?
一方、駅前の寂れた噴水広場。
空腹からの死を覚悟したひとりのホームレスは、誰もいない夜へ響く澄んだ鼻歌を耳にする。
『おれ、あんたの声、もっと聴きたい』掠れた声へ応えるように現れたのは、鋭い瞳を持った美しく寡黙な青年だった。
奇しくも同じ日に引き合わされた、ふたつのふたり。彼らが、後にこの街のローカルアーティストとなる『さよならblossom』の姿なのだ。
一年後、約束された別れを見据えて。ハタチの花よ、何処へゆく。
……なにがなんやら、ですね。
音楽の授業以外では楽器に触れたこともなかった大学生の青年ユズキが、上記のとおり、あらぬ出来事へ巻き込まれてゆくことで何故かロックバンドを組むこととなり、人前で自らギターを握ることになり、挙句は……偶然に集った仲間たちと過ごす『ハタチ』へ、想像もできなかったほどの価値を見出してゆく……ような、青春群像劇と捉えております。本編は、未だわたしの脳内にしかございませんが(笑)
物腰は柔らかく見えるが、頭でっかちな堅物主人公、香川ゆずきがギターを握り。
圧倒的自信家と面倒臭がりを兼ねたロマンチスト、久和原新史がスティックを振るい。
人懐っこい笑顔は憎めないが、記憶障害を抱える忘れん坊、坂崎文乃がベースを支え。
常に寡黙であり、思考がとても読みにくい西洋風の麗人、宮澤杏梨が魂を叫び上げる―――さよならblossom、通称【さよはな】というバンドは、このようなメンバー構成で成り立っています。
バンドというからにはステージでライブパフォーマンスを魅せ、フロアの観客を熱狂させるのが一般的な活動のひな型と言えるでしょう。ライブ会場には公共ホールやイベントステージ等もありますが、多くはライブハウスという小さな会場に集約されます。バンド【さよはな】の近くには、運よく彼らが活動拠点にできるライブハウスが存在しており、それこそ本文内で度々登場した【Club Blossom】です。
関東地方の東側に位置する架空都市、花彩市内に位置するライブハウスはたった一軒。しかも、当時高校生だった音楽好きの少年 花井寄与隆(タカ)が、独断・独学で、一つのテナントを改築してできたものだとか。彼が歳の丈に見合わぬ挑戦を強行した目的は、たったひとつ―――一度だけ耳にした【さよはな】の音を、再びライブ空間で造り上げること。
さて、四人のハタチと音楽を引き合わせた人物として、『魔女』ことメリーの存在は欠かせません。
過度の空腹により道端で倒れていたフミノを助け上げたアンリ。近隣には『Rock&Jazz BAR MARY』と看板を出している寂れたスナック店舗しかありませんでした。この店のママがメリーその人。片や、行先不明で記憶も散漫。片や、自らの名前以外は口を一切割らない頑固者。黒と白の野良猫を拾った魔女は、退屈しのぎも兼ねてふたりに空き部屋を貸してやるのですが、そこへ備え付けられた楽器へ対しての反応を見て、ふたりへ音楽に触れることを提案します。ここに、ユズキとシンジ、そしてタカがどう絡んでくるのか……。
まぁ本編は、未だわたしの脳内にしかございませんが(笑)(二回目)(笑い事ではない)
今回掲載した短編たちは【さよはな】の四人を中心軸として、関わってくる者全員に少しずつ焦点を当てたものでした。自己満足ついでに、登場人物の簡単な紹介と各話にまつわるあれそれを、だらだらと述べさせていただきたいと思います。
そのにへ続く―――
