デスクトップを眺めてたら、ちゃんと整理していないテキストファイルがたくさん散らばっていた。
とりあえず、書いた話を置いてるフォルダにポンポン放り込んで行ったのですが、一つだけ。一つだけ身に覚えのない話が紛れていた。
他はボツを含めて、「あーあの時の」って書いた覚えがあるのですが一つだけ。一つだけないやつが。ある。あるはずないのに。
本当に身に覚えがない。ファイル名が「金属バット クリスマス パソコン」、更新日付は2025/04/06。
誰かの書いた話を解析するためにコピペしてたか?いや、でも何か書いてる内容が私が書きそうなんだよなぁ。
こう、最後まで書いたのか書いてないのかもよく分からない……。
えーと、以下にひとまず文章を記載しておりますので、身に覚えのある方がご覧になられていましたらご一報ください。私はなかったです。
*************以下、テキストファイルの内容******************
「パソコンある?」
「ありますよ」
「じゃ、検索して。「金属バット」「クリスマス」よ」
「え? 今、春っスよ?」
「つべこべ言わない!!」
「は、はい!」
まあ、検索するぐらいお安い御用だ。素早く「金属バット」「クリスマス」とキーボードにタイピングすると右手小指でエンターキーを押した。
「何が出た?」
「えーと、芸人の「金属バット」さんのクリスマスのイベ「望んでたんと違うっ!!」えー?」
部長が不満の声を上げていたが知らんがな。
「でも結果は変わりませんよ。一体部長はどんな結果を望んでたんですか?」
部長はチラっとコチラを視線を送るとすぐに外し、頬を赤らめる。
「なんか、こう、その、クリスマスにあった野球選手の心温まる様なエピソードみたいなのがないかなーなんて」「ないでぇす」「否定早いわよっ!?」
とはいえないものはない。
「いっそそういうエピソードを我々で起こしますか、なんて」
「それいい。採用」
は?
そんな訳で社会人リーグに参加してる企業のグランドに我々の姿はあった。
「なんで社会人リーグ。高校生なんだから高校球児にバット配りましょうよ?」
「むりよ! 甲子園は木製バット! 金属バットは……」
「なんで勘違いしてるんっスか? 逆ですよ。高校野球や少年野球は金属バット、社会人や大学は木製バットですよ」
「え、そうなの? ……撤収!!」
えー?
そんな訳でうちの高校の野球部の部室の前に金属バット20本を持参して訪れている。
「そんな訳で寄贈するわよ」
「もう購入しちゃったし良いですけど、アリなんです?」
「いいんじゃない?」
「ウチ、何部でしたっけ?」
「は? 文芸部に決まってるでしょ? なに寝ぼけてるの?」
文芸部がバット買って来年予算通るんですかね? かね?
「それじゃ野球部に贈るわよ」
そう言って部長は金属バットを20本持って野球部に入ろうとした。ちなみにミニスカサンタのコスプレをした上である。あ、俺はトナカイ。春なので暑い。
「メリークリスマス!!」
部長が陽気に野球部のドアを開ける。着替えていた野球部員たちはキョトンとしてる。
「今4月」
「知ってる」
まあ、12月だとしてもキョトンとしてたと思う。
「へい、トナカイ、カモン」
「イエス、マム」
俺は担いでいた袋から金属バットを20本取り出す。
「良い子のみんなにプレゼントだよ♪」
野球部員のキャプテンが躊躇しつつ言った。
「4月なのに?」
「そう、4月なのに」
あ。ダメだ。勢いに呑まれた。そうして結局野球部は文芸部からのバットの寄贈を受け取った。
「ダメに決まってるでしょ? 何考えてるの?」
生徒会長が大変苦い顔をして苦言を挙げた。まあ、だろうと思う。なんで文芸部の予算で
野球部のバットを買っているんだ。納得のいく回答ができるのか、部長。
***************ここまで********************