穏やかな昼下がり。
こんな時は運河沿いのお気に入りスポットでのんびり昼寝&釣りのゴールデンコンボを――
「レイジさん!!!! こんにちは!!!!」
しようと思ったらめちゃくちゃデカい声で挨拶をされた。
同じ騎士団の制服……それに、彼女の顔には見覚えがある。
「君は確か……広報課の」
「はい!!!! 以前インタビューをさせていただいた、シャーリーです!!!!」
声デカ。
そういえば、前もそんな印象を持ったっけか。
あと、あの時に受けたインタビューってなんか変だったんだよなぁ。
もしかしたら、今回もまた変な質問攻めに?
少し不安を感じたが、どうも今回は違うようだ。
「今回はレイジさんにとって耳寄りな情報をお持ちしました」
「耳寄りな情報ねぇ……給料が跳ね上がるとか?」
「それは騎士団長に相談してください」
正論で返されてしまった。
……強面の騎士団長に給料アップを直談判とか、恐れ多くてできないな。
「じゃあ、一体何の用だ?」
「実は、あなたの功績を本にしたいという方が騎士団の受付を訪ねられて来たようで」
「ほ、本!?」
つまり書籍化か……そりゃいい。
何を隠そう、前世の頃は一時期ラノベ作家となるべく投稿サイトへ小説を載せていたくらいだからな。もっとも、五作出して総PV9という悲惨な結果になったため、すぐにあきらめてしまったが。
「……うん?」
でも、待てよ。
さっき、シャーリーは俺の功績と話していたけど……俺の功績ってなんだ?
不正を働いた元三番隊隊長を監獄送りにした件か?
いや、元騎士団長兼悪徳学園長を監獄送りにした件?
或いは偽装して粗悪な武器や防具を騎士団に送りつけた専属工房の代表と工房長を監獄にした件かも?
いやいや、事件の規模で言えばグリアン島で伯爵家を監獄送りにした件も?
ひょっとしたビシャの森でクーデターを起こしたエルフを倒した件?
――ダメだ。
最近の話に限ったしても心当たりが多すぎる。
一体どの件なんだ?
この場合、本人に直接確かめてみるのが一番か。
「なあ、シャーリー」
「はい?」
「さっき功績って言ったけど、俺の功績って一体何なんだ? ほら、俺って紋無しの事務方騎士だから、部隊所属と違って武勲とかもないし」
「えぇっとですね……資料によると……」
シャーリーは持ってきた資料とやらに目を通す。
それによると、俺の功績は――
「まず、先日起きた痴話喧嘩の仲裁」
「ふむふむ。――うん?」
「あとはドブ掃除、いなくなった子猫探し、それから教会の屋根の修理」
……おや?
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ?
「あの……ちなみに、どんな内容の本を?」
「『町の頑張る人たち』というタイトルで、子ども向けの本だそうですよ」
「ふ、ふぅん……」
ま、まあ、黒騎士として暗躍していたことが表沙汰にならなかったし、これで少しでも騎士団に関心を持ってもらえたらいいか。
――って、俺の仕事で騎士になろうって子どもいるのか?
よくて町の何でも屋じゃない?
※レイジの真の活躍は本日発売の書籍にて!