「陽菜、こっち」
不意に視界が暗くなった。
久遠先輩が私の背後の壁に手を、自分の身体で乗客の波を遮るようにして立つ。
「急に混んできたね」
先輩はそう言って一度周囲を見回した。
他人に押されないよう、自分の身体を盾にして空間を作ってくれている。
至近距離から伝わってくる先輩の体温と、包み込まれるような距離。
(なにこれ、なにこれ!?ヤバいって先輩近すぎるし!守ってくれてるし、壁ドンじゃんこれ。)
もう思考の整理が追いつかないほど混乱し、心臓の音がバクバクと高鳴り、顔は火を吹くほど赤くなっていく。
