本日の公開部分(以下)で、ドッケおよび入り海サリプトンに到着しました。一年くらい前に小さく小さく見えていたカルバ・エテラの群れを至近で眺めます。
着いたー!!
【movie】は、このシーンで見えた入り海サリプトン。動画になりました。
https://www.pixiv.net/artworks/140405492※本編を一部貼ります。でも今回もあまりネタバレ要素はありません。そーっと覗いてみてごらん状態です。
第89話 ドッケで会いましょう
https://kakuyomu.jp/works/16818622175783741158/episodes/822139843884142231 入り海サリプトン、それからドッケがもうすぐ見える地点にやってきました。
山脈から峰がいくつも張り出しているので、それに隠れて入り海はまだ見えていません。けれどカルバ・エテラの大きさが視力強化するまでもなく、指でピッチを開いたくらいに大きくなって見えています。
山中の道を進んでいます。数十メートルおきにほかの旅人もちらほらといます。
ドンタン・ファミリーも、商人や冒険者と思われる旅人たちもドッケに向かって南下しています。
あとひとつだけ、峠が残っています。
それを超えるとドッケに至る地点です。
ミロスト大陸を南北に走るキトセト山脈。
この大山脈の西側は、ほんの数百キロメートルの土地をへだてて、大洋となります。つまりキトセト山脈は大陸の西側の壁のようなものです。
入り海サリプトンは、このキトセト山脈の切れ目から海が入り込んだ土地でした。
ウインは地図を見てこんなふうにたとえます。トゲベニにも慣れて、片手で地図を持てるのです。
「調味料の小袋にピッと切れ込みが入ったみたいな、入り海サリプトン。入り海っていうだけあるんだね。大陸のかなり内部に海が侵入してる」
トキトがウロコハヤガケの上で膝をぴーんと立てて腰と背中を伸ばし、額に手をかざしています。
「うーん、まだ峠を越す前だから見えねえけど。ウインの調味料の切れ込み、たしかにそんな感じだったよな、地図の上じゃ」
カヒがトキトに並びます。
「うん。こちら側のどこからでも切れます、をうまく切り始めたみたいだった」
「あー、あれ切れ目ができなくてぐにゃぐにゃすることがあるやつ」
そんな会話をしていると、ハートタマが感知します。
「おいキョーダイたち、前にいる旅人たちが大喜びの気持ちをあふれさせてるぜ。ありゃあ、ドッケが見えたってことじゃねえか?」
聞いた仲間たちは、騎乗生物の歩みを速めます。
峠で道は大きく西にカーブしていました。道幅も広くなり、誰もがそこで足を止めて景色を眺めることができるようになっています。
六騎の騎乗生物が、そこで止まります。
カヒが、感極まった、という声を挙げました。
「わ。わわわ。やっほー! やっほー! 見えたぞー!」
ウインが本好きらしく、こんな言葉で景色を描写します。
「見下ろす形になっているから、まるで箱庭を眺めているみたいだね! 両側はここから下っていく山の尾根。そこに挟まれた入り海サリプトン。湾《わん》の形が奥に長く続いているのが、きれいな青色で染まってよくわかるよ。そして、ここからはサリプトンとドッケを上から見ている……それなのに!」
ウインはバッと上に視線を動かします。後頭部に高く結ったポニーテールが、それ自身の重みで揺れ、陽光で褐色に輝きました。
「すごいね! 数百メートルのこの峠から見ても、カルバ・エテラたちが、高い! 語源のとおり、カルバ|《カラス》・エテラ|《天空の》だ。いくつもいくつも、自由に飛んで螺旋《らせん》を描く千羽鶴っていう見た目だよ!」