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読書メモ65

なんと一年以上ぶりの読書メモ。
たまりにたまってたぶん大大放出です。



『彼女が知らない隣人たち』あさの あつこ (角川書店)

めっさリアルで面白かったです。現実にわたしたちのまわりでも起きている社会問題や家庭の問題。人物造形もあるあるで、着地点こそキレイにいきすぎかなぁと感じはしたけど、これからまだまだ家族のドラマは続く、ということで。
ほんとう、人生は長い長い冒険だし、知らなければならないことはたくさんあり。思慮的に生きなければならない時代なのだと改めて思わせてくれるお話でした。



『SIGNAL シグナル』山田 宗樹 (角川文庫)

SFが苦手な私は、好き嫌いせず読んでみるかぁって気持ちで期待しないで読み始めたのですが……面白かったです! きれいなSF青春群像劇でした。
ぼんやり終わるのかしら、なんて想像していたラストも、とりあえず謎が解明されて、壮大な宇宙観とともに私は物悲しさも感じちゃいました。
こんなふうな〈知〉の継承を私たち人類はできるのだろうか、なんて。きっと優秀な人たちがやってくれるはずさ! とか。



『記憶の果ての旅 』沢村凜(角川文庫)

最初さっぱりわからなくて、それでも面白く読めたのは文章の良さのせい。で、そのままさっぱりわからないまま進んでゆくのだろうかと思いきや、終盤、世界観が解明されてゆく……という。
世界観が解明されないまま終わるのが文学で、説明があるのがエンタメなんだと、今さらながら腑に落ちました。
とても今さらなのですけど、今って、こうやってはっきり答えのあるストーリーの方が主流なんですよね。そうでないとエンタメじゃないし。
でも私は、答えは出なくても文章や雰囲気で面白く読めていたので、結末がちゃんとしていて驚いちゃったという……とある映画みたいだなって思ってたらほんとにそんなんだったし。
でもまあ、ヘンな感想になっちゃいましたが、面白かったです!
この作者さん、ガチガチのファンタジーも出ているのでそちらも読んでみたいです。



『植物図鑑 』有川 浩(幻冬舎文庫)

冒頭で、私の好みの予感て思っちゃったんです。
わくわく読み進めて、あれよあれよと増していく甘さに、しまったこれ私が読んだらいけないヤツだった、と気づいたのが遅すぎました……。
それでも読み進めたのは、文章の良さにつきます。
そうして読み終わってみれば、なんというロマンティック・ラブ・イデオロギーなお話かと、読んでしまった自分に腹が立ち。
こんなに力のある作家さんが、こんなお話を書くのってずるくないですかあ?? ずるくないですかあああっっ。
この作家さんの恋愛ものは危険すぎるのでもう近づきません。絶対に。

※注 すごく褒めてます!



『ようこそ、古城ホテルへ』全4巻 紅玉 いづき(角川つばさ文庫)

ダークなイメージの作家さんなので、こんな少女マンガな表紙の本を出されていたことに驚いて手に取って見れば……やっぱりなかなかにダークでした。
タイプのまったく異なる四人のヒロインがそれぞれにめっちゃ良くて、四人とも好きです。
それぞれの持ち味を活かしての共闘は滾りまね!
個性的すぎてまとまりそうもなかった四人がみるみる絆を強めていくところは児童向けらしいかな。大人も読んでほっこりでした。
これ、子どもの頃に読んでいたら、私は絶対にジゼットに転んでいただろう自身があります。
4冊できれいにまとまっているけれど、続編ほしいです。



『火狩りの王 』日向 理恵子(静山社ペガサス文庫)
『火狩りの王<外伝> 野ノ日々』日向 理恵子(ほるぷ出版)

読んでいる間、ものすごい閉そく感でした。危機また危機。文字通り出口がまるで見えず、みんな無事でいてって思いだけでページをめくってました。
キャラクターはもちろん、犬たちがいいです。小さなからだで主人を一生懸命守ろうとするてまりに涙。そして彼方の頼もしさに胸熱。
それぞれがピンチを乗り越えながら進む先で助け手が現れることを、ご都合主義と捉えることもできるけど、でもリアルでもこうじゃないかな、未曽有の災害の中、ほんの少しの助け合いで支え合いながら進んでゆく、それが人じゃないのかなって思いました。
で、こちらは外伝も含めて完結なんだな、と。外伝を読んでほんとに良かった!
とあるキャラクターの過去話にアーッてなり。灯子のその後がすごく灯子らしくて良かったです。
考察のしがいのある物語なので、またじっくり読みたいです。



『刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機』関 幸彦 (中公新書 2655)

前回の大河の影響か、にわかに注目されだした感のある道長時代の軍事事件について。
私はそこまで実資を信用してないので「小右記」にだけ依拠するのはどうかと、この時代の研究本を読んでていっつも思うのだけど記録がそれしかないという。行成とかもっとアレコレ書いとけばよかっただろうに……いや、書けなかったのか?って妄想してにやりとなりますけども。
刀伊=女真族?が撤退したあとで第一報が内裏に届くおそまつさは置いといて、当時の地方のようすが知れたのがおもしろかったです。
対馬のことがもっと知りたいのだけど、なかなか良い資料が見つからない。今後に期待です。



『定年就活 働きものがゆく 』堀川 アサコ(角川文庫)

60歳で退職したヒロインの再就職活動と、ほぼほぼ他人な孫娘との交流。面白かったです。
コミカルに描かれてはいるけど、ヒロインが訪問する会社のなかなかにいや~な感じがあるあるで、笑って済ませられない部分が数々あったり。
血のつながらない孫娘が聡明で頼りがいがあり、こういう若者と信頼関係を築けるおばあちゃんが勝ち組だよねって思ったり。
日々アップデートしながら柔軟に歳をとりたいものです。



『金曜日のあたしたち』濱野 京子(静山社)

いつぞやのKACで未来のための金曜日をテーマにするきっかけになったお話です。気候変動以外のSDGsもてんこ盛りなお話。
スタンディングを通して他校生と交流したり、なじめずにいた同級生とも活動の輪を広げたり、甘酸っぱさもありと青春ストーリーとしても良かったです。
年配の人のなかにはいまだにSDGs自体を疑問視したり意識高い系と揶揄する声を聞くんですが、十代の青年たちにとっては直近の問題。
「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」などできることはたくさんあります。
ひとりでも多くの人がとりくんでくれますように!


『六人の嘘つきな大学生』浅倉 秋成(KADOKAWA)

文句なしに面白かった。登場人物それぞれの人物像が二転三転するのがお見事。
そりゃそうですよね、とある場面を切り取っただけでその人の人間性がわかるわけでもないし、二面性があるのはあたりまえ。
のだけど。最後の封筒のくだりは必要だったのかな、なくてもよかったなーって私は思いました。


まだまだあるので明日に続きます。

2件のコメント

  • 紅玉いづきさん……。
    私が書いた『夜の王』のネーミングは『ミミズクと夜の王』からでした。そういえば。
  • マジですか!!
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