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読書メモ㊸

午前中にめっちゃ長ーいひこうき雲を見ました。東の空から西の空へとぐいいぃぃんとまっすぐでした。日差しはきついけど風は涼しいし上空は冷えてるのかな、なんて富士山の方に目を向ければもくもくと夏みたいな雲が。
夏が来てますね、庭の月桂樹がカイガラムシにやられてました。木槿のハマキムシ対策の方に気を取られてました。悔しい。自然は待ってはくれないです。

そうそう、3年ぶりに全校運動会、という話題がニュースでやってました。我が家の娘の小学校も週末、3年ぶりに運動会らしい運動会の開催でした。種目を減らして半日だけでしたけど、保護者も炎天下のなか丸一日の参観はくたびれちゃうのでちょうどいいと思ってしまいました。人数制限があったりテント禁止になったりで、場所取り競争の必要もなくなりましたし。ちょうどいいです。声を出して応援できないのは寂しいですけど。

そんなこんなの週末でしたが、ちょっぴり息抜きで録り溜めしてあるアニメやドラマや積読のマンガなど鑑賞して、いまごろProduction I.Gの『海賊王女』でテンションが高くなりました。フェナかわええー、雪丸かっけえええ。ピンチに仲間が続々と駆け付ける展開はやっぱり滾りますね! 背景もキレイで音楽も素敵!って、肝心の最終回をまだ観てないのですが(時間が……)
それと今頃『ノラガミ』を読んでテンションがあがりました。や、アニメ化したとき(何年前よ)に原作マンガを購入して積みっぱなしで(……)。
ひよりちゃん良きヒロイン。かわいくて正義感が強くて。ひよりちゃんやツンデレな雪音くんに助けられっぱなしの夜卜がむしろヒロインな。なのだけど、ここぞってときにしっかりひよりを導いてくれたのはさすがはヒーローな。どっちが正しいのかってときに、きっちり正解を示してくれるストーリーは信頼できます。まだ14巻までしか読んでないですがー(時間が)
ちなみに今視聴中の中国ドラマは『花不棄-運命の姫と仮面の王子-』です。このヒロインのカフキも良き。可愛くて食いしん坊でしたたかでへこたれない強ヒロイン。食いしん坊ヒロインは食べてる姿がとにかくカワイイ。
そういえばだいぶ前に視聴した『明蘭』も肉好き不遇ヒロインでかわいくてこのドラマも面白くてめっさハマりました。「おまえは豚肉を頬張っていればいい」って言われたーい。
花不棄は仮面の王子がとにかくイケメンでそこも見どころだったり。眼福です! 私としては果たしてジャクヒがどういう立ち位置になっていくのか気になるところ。ええ、なにしろまだ序盤しか見てなくて、当て馬ヒーローにまだお目にかかれてません(時間がーーーー)
そうそう、国産ドラマでは『消えた初恋』にやられっぱなしでした。やばいです、乾いたおばさんのハートにもぎゅんぎゅんきました。

と、とにかくリアルタイムに乗らないワタシですが、なにやら話題になっていたらしい『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』は、広告で気になったので珍しく新刊を入手して読みました。直後、フリマアプリで出品即売り切れ状態続出でビビりました。人がいかに話題の本に飛びつくかを目撃しちゃいました。内容にも暗澹たる気持ちになっちゃって感想をまとめる気力が出なくてメモには取りあげませぬが。
説明をしない庵野監督が説明を始めたようにわからないと視聴をやめてしまう人たちに向けてわかりやすく作るか、あるいは、これからも早送りや十秒飛ばしをしない人たちに向けて作り続けるか、現場の声はひっ迫したものがあります。早送りをするに至る理由や原因を追究していく中でweb小説投稿サイトの影響も大とされてます。ラノベ編集者X氏の証言は的を射てるのだけど、そろそろ多面的総合的な考察が出て来てもいいのにな、とちょっと思ったり。


えー、で。前置きが長くなりました。読書メモです。

『このミステリーがひどい!』小谷野 敦∥著(飛鳥新社)2015/08

著書の小谷野氏、アマゾンで書籍やDVD に膨大なレビューを投げてます。見かけたときには「何やってんの!?」ってなりました。おかげでとある現代文学の評論本を買うのを見送りました。どこの分野でもですが、素知らぬ感じでプロがまじってたりするのだからすごい時代ですね。

で、本書は推理小説嫌いによる正直すぎる感想なので、突っ込んだら負け、もなにもなく身も蓋もなく突っ込んでます、ええ。そういうの含めて面白いものは面白いってことなのでしょうからここで著者の推理小説ベストにあげられている作品は読まねばってなりました。

主題はミステリーですけどエッセイ色が強くて矛先はいろんなところに飛んでます。

〈九〇年代ころから、推理小説は犯罪小説化し、さらに小説や映画が「ノワール化」と「スイーツ化」の二極化の道をたどっている、と私は見ている。(中略)/私はノワール化の中にも二種類あって、静かだけれど恐ろしい人間の性を描くものはよしとするが、残酷趣味に走っているのは歓迎しない。/これと連動してホラーものの流行があった。私はホラーものは、映画を含めてそう嫌いではないのだが、作者が幽霊の実在を信じていたりすると、ひく。
 対して「スイーツ化」は、九五年のオウム真理教事件のあたりから始まった「人権派」と連動している。(中略)/要するに犯罪者(殺人者)にも殺人を犯すにいたる経緯や理由があって、それを理解しましょうということである。〉(p197-199)
〈ところで「スイーツ化」といえば、むしろ世紀の変わり目あたりから、純文学のほうがどんどんスイーツ化している。先頭を切るのは川上弘美と小川洋子で、小川の、『博士の愛した数式』(二〇〇三)とか『ミーナの行進』(二〇〇六)とか、いったいこれは純文学なのか? というようなのが、後者は谷崎潤一郎賞をとっており、まあ谷崎は通俗なものも書いた作家ではあるのだが……。かといって通俗小説とも言い切れず、もはやこれは「スイーツ小説」という新ジャンルでも提唱するほかあるまい〉(p200-201)
〈イヤミスというのは、あまりに陰惨で後味の悪いものをいい、九〇年代頃から、ロマン・ノワールなどの影響か、次第に増えてきた。(中略)/そうはっきりとは分けられないのだが、推理小説でいえば、赤川次郎や西村京太郎はむしろさわやか系である。そして宮部の『火車』や高村の『レディ・ジョーカー』や、天童荒太の『永遠の仔』など、社会の暗い面を描いた推理ものが売れ、むしろ純文学のほうでスイーツものが増えて今日に至っている。私としては、純文学こそが、ほかの人が描かない人間の暗い面を描くべきだと思うのであるが……。〉(p207より)

ほんとですね。人に非ざる人の部分を描くのは純文学が得意とするところだったのでしょうに「殺人」という非日常を持ち込まないとそれができなくなってしまったのか、なんて思ったり。どっちが後か先かはわかりませんけど、純文学で綺麗な文章とか透明感とかって褒める手合いも多くて、綺麗で透明感なのが得意なのは本来は詩だろう、とか。こういうジャンル問題でもやもやするのは、それぞれの得意なところをダメダメにしちゃってることがもどかしいからかな、なんて今書きながら思ってみたり。


『堤中納言物語』角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 坂口 由美子 編 (KADOKAWA/角川学芸出版)

古典を再読しよう!キャンペーン!!(自分の中で)で、せっかくなら新しい訳を、と角川ソフィア文庫にお世話になりました。編者が女性だからか寸評のツッコミにいちいち共感できて楽しかったです。とどのつまり殿方がクズだよねっていう(笑) この編者さん、『源氏物語』を上げすぎなキライはあるんですが。

いわゆる短編集である『堤中納言物語』。有名なのは「虫めづる姫君」ですけど私が好きなのは「花桜折る少将」です。王朝物語のテンプレをきれいになぞったうえでのオチは今読んでもお見事でした。
他のお話はあまり記憶になかったんですが、それぞれに変化球っていうのが分かりました。散逸しやすい短編集がなぜ丸々現存していたのか、こういうふうにまとめた編纂者の腕が良かったからだ、とか。短編集のお手本のようなつくりなんですね。

ちなみに私、冒頭しか残っていない断片の「冬ごもる」がなんか好きだったりします。
「冬ごもる空の景色に、しぐるるたびにかき曇る袖の晴れ間は、秋よりことにかわく間なきに、群雲晴れゆく月の、殊に光さやけきは……」
綺麗な文章()ですよね。

〈院政末期、王朝文化は頽廃に向かっていた。それはかつてのエネルギーを失い、世紀末的な色を濃くしていく。物語世界は、次第にデフォルメされたもの、例えば、現実の恋よりも仮想世界の恋、恋愛ではなく性的刺激、共感を呼ぶ普遍的なものではなく好奇心を満たす奇想、になっていった〉(巻末「十の変化球と編者の妙――意外や意外の物語――」より)

この状況、現在と重なりません? 時代はめぐるのですね。それこそ「5分で読書」には『堤中納言物語』をプッシュしては、とわりかし本気で思いました。十代向けじゃないお話も入ってますが(汗)

2件のコメント

  • 楽しくノートを拝読致しました。
    明蘭は超楽しい作品でした~。構成の分厚さ、キャラの行動の一貫性など、完成度の高い脚本が自分にとってめちゃくちゃ勉強になりました。
    豚肉頬張ってれば良い(笑)ドラマ見てると、沁みる名言です。

    >『このミステリーがひどい!』小谷野 敦∥著(飛鳥新社)
    奈月さんのノート読んで電子書籍のサンプルをダウンロードしました。いやあ、口が悪い(褒め言葉)。冒頭のバカミス論、面白かったです。確かにトリックだけ見てれば、結構しょうもないものが多いですよね~
    ノワール化、スイーツ化についても興味深いです。

    >『堤中納言物語』角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス
    それぞれのタイトルそのものがとってもかわいいですね。また最後の仮想世界への恋愛物語が流行っていたという部分については確かに!と思いました。
    転生物も中世ヨーロッパのような異世界が多いですもんね。
  • 明蘭の脚本すごかったですよね。続きが気になって気になって、朝早く目が覚めちゃって明け方ビデオを見だしたりしてましたもん。
    政治論とか家族論とか人生論とかも、勉強になるところがたくさんでした。
    能ある鷹な明蘭、恐ろしい子ッ。おまえ馬球できるのかよ~と皆の度肝を抜いた馬球大会の回、何度も見返しちゃいました。

    そーなんです、ほとんどのミステリーがバカミスなのですけど。それをいったら。
    そーなんです、口が悪いんです(好き♡) でもだから、褒めてる作品は本当に面白いのだろうなと思えます。この人、それこそキャラとか人間観がぶれないエンタメが好きなのだろうなって感じがします。

    そーなんです、『堤中納言物語』は各話タイトルが素敵で、センスがいいです。真似したくなっちゃう、真似したことありますけど(爆)

    文芸がスイーツ化ならラノベはハーレクイン化だよって思っちゃいました。異世界とハーレクインは相性が良すぎたようで。流行り物が席巻するのはしょうがないにしても、そうじゃないジャンルの居場所を残してくれって切に思います。
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