※第一章までの内容を含む番外編です。
本編未読の方は、ネタバレにご注意ください。
今回は、本編のちょっとしたおまけ――水着回です。
物語の進行には直接関係しない、キャラクターの日常を切り取った番外編となります。
イラストとあわせて、ゆるく楽しんでいただければ幸いです。
※イラストは生成AIを使用しています。
◇
夕暮れの水辺で、資料用の撮影をしていた。
被写体は信長ひとり。撮るのは黒川さん。
そして、なぜか構図の監修に異様な熱量を見せているのが光秀で、俺――宮田はその付き添いである。
「信長様、視線をもう少しだけ右へ」
「右?」
「はい。黒川さんのカメラではなく、その少し奥です」
「細かいのう」
信長はそう言いながらも、扇を口元に添えて視線を流す。
黒川さんがファインダーを覗いたまま言った。
「その角度、いいですね。動かないでください」
「ほら、これでよいではないか」
「まだです」
光秀が即答した。
「左肩を少し引いてください」
「またか?」
「先ほどより二センチほど」
「二センチ」
「はい」
「光秀、おぬしは何を目指しておるのだ」
「最善です」
「答えになっておらぬ」
俺は横で見ていたが、もう何回目の調整なのか分からない。
「光秀さん、さっきから信長さんより細かいところ見てません?」
「当然です。信長様を撮るのであれば、中途半端にはできません」
「本人はもうだいぶ飽きてますけど」
「聞こえておるぞ、宮田」
「ですよね」
黒川さんは二人のやり取りにはほとんど構わず、画面を確認している。
「光秀さん」
「はい」
「肩は今のでいいです。ただ、袖が少し重なってます」
「信長様、右腕を少しだけ前へ」
「黒川までそちら側か」
「私は撮る側なので」
「職務に忠実すぎぬか?」
そう言いながら、信長は言われた通り腕を動かした。
黒川さんが一度だけシャッターを切る。
少し間を置いて、もう一度。
「はい。これで」
「終わりか?」
「一度確認します」
みんなでカメラの画面を覗き込む。
夕景を背に、扇を添えた信長がこちらを見返している。
赤を基調とした装いも、夕日の色も、妙にきれいに収まっていた。
しばらく黙って見ていた信長が、ふっと口元を緩める。
「……悪くないな」
「だいぶ気に入ってません?」
「悪くないと言っただけだ」
「二回見直してますけど」
「確認しておるのだ」
「拡大までして?」
「細部も大事であろう」
「急に光秀さん側に回ったな……」
横を見ると、光秀も静かに頷いている。
「よい出来です」
「うむ。光秀の指示も、たまには役に立つ」
「先ほどまで散々文句を言っておられましたが」
「結果がよければよい」
「すごいな、この人」
黒川さんがカメラを持ち直す。
「じゃあ、信長さんはこれで大丈夫です」
「うむ」
「次、光秀さんも撮りましょうか」
光秀が一瞬だけ固まった。
「……私もですか?」
「せっかくなので」
その横で、信長が楽しそうに笑う。
「よかろう。今度は私が構図を見てやる」
「結構です」
「なぜだ?」
◇
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、本編の合間にあったかもしれない水着番外編でした。
こういう本筋とは少し離れたところで、偉人たちが好き勝手している時間も、ときどき近況ノートで載せていければと思います。
気になった方は、ぜひ本編『【SSR】織田信長(猫耳)を実装したら、本人が監修しに来た。』のほうも覗いてみてください。
※今後もキャラクターごとの番外編・イラストを掲載する予定です。リクエストがあればどうぞ