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⚓エレーナ少佐クロニクル、第6章 台湾有事、第3話(2) 2027年2月、首相官邸・危機管理センター

🔴「⚓エレーナ少佐クロニクル、第1章 佐渡ヶ島のエレーナ少佐」
 https://kakuyomu.jp/works/2912051600523706304
 2027年初冬、ロシア連邦東部軍管区は佐渡ヶ島に侵攻した。
 ⚓日本周縁の北朝鮮・中国との紛争と日本・東ロシア共和国の防衛戦
🔴「⚓エレーナ少佐クロニクル、第6章 台湾有事」
 https://kakuyomu.jp/works/2912051601367917075
 2028年、中国は台湾に侵攻、存立危機事態宣言が発令された。
 ⚓高井早苗は存立危機事態を宣言し与那国島防衛のために台湾有事に介入した

 第3話(2) 2027年2月、首相官邸・危機管理センター
 https://kakuyomu.jp/works/2912051601367917075/episodes/2912051601613508004

「第0段階、つまり与那国島と西表島への初期配備の実証。この費用が約100億円です。そして、先島諸島全域に第1段階の防衛網を敷くための費用が約700億円。この中には19式自走砲40両、秘匿兵器1000発、さらには1万発のPike超小型ミサイルと、それを運用する150両の無人車両が含まれます」

「総額800億円……大泉大臣。これは、トマホークに換算すると何発分かしら?」
「……たった100発分です、首相」
「トマホークの供与は遅れるわよね?」
「ヘグセス国防長官が予定されていたトマホーク400発の供与がイラン紛争で数年遅れると……御存知の通り、アメリカのFMS(対外有償軍事援助)の仕組み上、トマホーク400発の調達予算は全額の一括払いではありません。第一期の前渡金(アドバンス)として30%がFMS信託基金に振り込まれ塩漬けになってます」
「残り70%(数千億円)の予算は宙に浮いている状態なのね?」

「そうです。それを800億円に流用できれば……しかし、問題が……」
「財務省と会計検査院ね?」
「トマホークの予算は『スタンド・オフ防衛能力整備費』として紐付けられています。勝手に他へ回せば、財務省が黙っていない。明らかな財政法違反となります」
「彼らを黙らせる大義名分がいるわね?」

「トマホーク配備の遅延による『防衛力整備の代替措置』です。書類上の名目は『長射程誘導弾の国内研究・検証費』として処理し、防衛装備庁の特命随意契約で、榴弾砲、秘匿兵器、V-BAT、UGV、Pikeミサイルを生産、調達するという……しかし、これが露見したら……」

「あら、露見したら、私の政権が倒れるだけじゃない?最近の大泉大臣なら、私の後釜に座れるわよ?私、健康問題もあるから……」と高井はニヤッと大泉に笑いかけた。
「総理、それは……」
「冗談よ」

 高井の目から笑みが消え、氷のような冷たさが宿った。

「政権が倒れるくらいで済むなら安いものよ。もしこの無断流用がバレたって、戦争に負けてしまえば、私たちは歴史に名を残す大罪人として裁かれる。それでも、何もしないで国を滅ぼすよりはマシだわ」

 高井はモニターの光を浴びながら、紺野たち三人を真っ直ぐに見据えた。

「いいわ。おやりなさい。ただし、もし露見すれば、私の政権だけじゃない。政府はあなたたち三人を切り捨てる。……あくまで、『独立した技術研究』として進めなさい。もし先島諸島で火の手が上がった時、あなたたちの秘匿兵器が、この国を存亡の危機から救う最後の希望になることを祈るわ」

 紺野は深く頭を下げた。

 この瞬間、官邸の地下で、歴史の歯車が静かに、しかし決定的に戦争の方向へと回り始めた。

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