※フィクションです
元夫の笑顔が好きだった。彼の作る料理が好きだった。
どんなに忙しくても、笑顔で仕事をこなしてスタッフの気持ちを和ませて、お客さんにも良い雰囲気が届くような、決して役職者ではないのに裏方から店を動かすような仕事の仕方が好きだった。
そんな人が、自分の店を持ったら変わってしまった。
忙しくなると機嫌が悪くなる。オープンキッチンで不機嫌な姿をお客に見えるような奴は馬鹿だ、と自分で言っていたのも忘れてしまったかのように。
極め付けは酒癖の悪さ。
お酒が好きなのは知っていたし、私にお酒の楽しさを教えてくれたのも彼だった。
でもいつからか、酒に溺れるようになった。
酔うと、誰からかまわず偉そうに説教をするようになり、私の友人にも嫌な思いをさせたことが何度もある。
そして、店の運転資金にと借りたお金が入った封筒から少しずつ減っていく一万円札。
変わっていく夫のそばで、私も、私たちの関係もどんどん壊れていった。
今夜のこの、底なしの焦燥感の背景に設定したBGMは、米津玄師の『LOSER』でした。
ザラついたビートが、当時の「もう戻れない場所まで堕ちていく」感覚と、私の冷えた怒りを思い出させて、血の気が引きます。
💡この借入運転資金の出所は、第一章を読んでくださった方はお分かりかと思います。
まだこれから読み進める方に向けて、コメント欄でヒントを教えてあげて下さい😊
ネタバレは厳禁ですよ🤫
ログの全編一気読みは作品ページから👉