愚かな独裁者の名前が、また一つ、歴史に刻まれた。
その狂った暴走の下に、無数の命が呆気なく消えていく。
愛おしい命が消えていくのを目の当たりにし、無数の人々がただ立ち尽くす。
そのひとりひとりの苦痛が、悲しみが、絶望が、ただの一雫も掬い上げられることはなく。
彼らの耐え忍んだ苦痛が報われることは決してなく。
何も生まない争いは、決してこの世からなくならない。
狂った指導者はいつも野放しにされ、時に大衆を狂わせ、時に無理やり支持を強要する。
恐ろしい武器が、何の躊躇いもなくそこここで炸裂し、人々の悲鳴を一瞬で呑み込む。
その爆音も悲鳴も、ただ虚しく空に吸い込まれるだけ。
今まで目の前にあった愛おしい声と微笑みは、二度とここに戻ってくることはない。
無数の人々の悲痛な叫びを聞こうともせず、狂った笑みを浮かべるあなたは。
あなたの望みは、一体何だ。
自分ひとりが順調に肥える道筋を、誰にも阻止させない。ただそれだけだ。
自分の皮膚が裂ける痛みを、心臓が止まる苦しみを、あなたは想像したことがあるか。
どうしたらいい。
人間のこの愚かさを、この世から抹消するには。
神はまた、黙って微笑むだけだ。