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映画『オオカミの家』を観た!

またとんでもない映画を観てしまった…
ずっと観たいと思ってた映画『オオカミの家』を観たのでその感想などを書き残しておく。
本作はチリの作家 『クリストバル・レオン』と『ホアキン・コシーニャ』の二人組によって作られたストップモーションアニメです。
とてもよかった!
この作品は何といったらいいのか? 芸術?ホラー?文芸?
いやそんな一言で収まるようなものじゃないぞと言いたい

──眠るのは嫌い 夢を見るから

マリアはチリにあるドイツ人居住区 コロニアディグニダから脱走する。通称コロニーと呼ばれるその施設は、元ナチスの将校 パウル・シェーファーによって建てられた。表向きは学校として地域に溶け込むけど、その裏ではとんでもなく恐ろしいことをやっていた。
拷問、性的虐待、殺人までやるナチスそのもので、マリアは豚2頭を逃がした罰で100日間誰とも口を聞いてはいけないと命令され、この施設を脱走し、一軒の民家にたどり着く。
マリアはその家に避難し、2頭の子豚と暮らし始める。
大きい豚はアナ 小さいのはペドロと名付け、そこで理想の生活を夢みる

──お前の家は何でできてる?
マリアは豚に人間の手足を与え、人に教えるように豚に知識を与えようとする。
マリア自身あのオオカミ(コロニーの職員の大人たち?)から教育を受けていたけど、それ以外の方法を知らなかったから、結果的に豚を支配するようになる。

極端な話だけど、戦時中のナチスドイツはアーリア人だけの理想郷 ユートピアを作ろうとしていたんじゃないかと…それ以外の人種は劣等人種だと本気で思っていたから、ユダヤ人を600万人も虐殺したのかと思うと恐ろしい…
日本も、アジアをひとつの国にする『大東亜共栄圏』というユートピア思想があった。我々は西欧列強国にやられないように助け合い、協力しながら生きていこうと
した。
でもユートピアは最初から破綻するものだった。ナチスも日本も連合国の猛攻で国内を焼け野原にされ、敗戦国になった。
マリアのユートピアも破綻しはじめ、支配していたアナとペドロに縛られて食べられそうになり、あれほど避けていたオオカミに助けを求めた。

──わたしはお前の中にいる ずっと前から
マリアもオオカミに支配されていたけど、そのマリアもオオカミと同じ、支配欲があって自分より弱い豚が居たら、豚に自分の考えを押し付け、それが一番いいんだと思い込ませるように支配する。マリアのなかにもオオカミは居た。

実際にチリにあったドイツ人居住区を題材にしていて、その物語もすごくよかった!
ホラーアニメと言われているけど、確かに不気味な世界が広がっていたけど、何故か美しいと思えた。
『ミッドサマー』の監督『アリ・アスター』も「いままでにこんな作品は観たことがない」と大絶賛した。
誰も観たことのない作品!それを生み出すのはとても難しい。
レオン&コシーニャは、昔からあるアナログなストップモーションアニメという手法で、それまでこの世になかった作品『オオカミの家』を完成させた。
それはとてつもないこと!
いい映画を観たあとって、時間を有意義に使ったと思えるけど、『オオカミの家』を観たあとはそれより上の気分になった。

いつかこんな作品が作れたらいい

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