今週は書きまくっています。いつにも増して。
書いているというより、記録しているという作業に近いかも。
喉の奥で、ずっと、冷たい水を飲んでいるような感覚がしていて、文章を書くたびに喉が冷えます。氷水です。紙コップで提供される飲料の自販機で売られているやつみたいな。あれをぐいっと飲んでいる気分です。
私はよく「精神に温度がある」と感じるのですが、あれは比喩ではありません。本当に冷えています。
今週は毎朝、午前六時四十分に目覚めています。
目覚めるというより、夢の世界から戻ったみたいに我に返ります。
目覚めた後は白湯を飲んで、ベランダに出ます。
柵が妙に低いです。風も強い。春先の風は人間を変な方向へ導いてしまうような構造をしているので嫌いです。押してくる感じがある。
そんなベランダでは植物を育て始めました。葉を擦ると金属みたいな匂いがします。私は生活を整えていないと、自分の内側の変な部分が膨張してくるので、道具にはかなりこだわっています。
コーヒーミルは手挽きです。音を立てて回していると、脳のノイズが少し静かになります。豆は深煎りばかり。浅煎りは酸っぱくて怖いので苦手です。何を考えているかわからない味がします。
食器はほとんど白です。例外は、青いガラスの小皿が一枚だけ。十代の頃、海辺の骨董市で買いました。縁が欠けています。そこから光が漏れるので気に入っています。
この前、その皿に生ハムと無花果を載せて食べました。そういう瞬間だけ、「生きる」という行為が少し高級になります。
私は高級な人生に憧れています。
お金持ちになりたいという意味ではなく、苦痛から解き放たれたいのです。
苦しみたくない。
さてさて。今週も新たなアイディアが浮かびました。いくつもの連載を同時に抱えるのは大変ですから、現在連載中の「ゆで卵と恐蜥」が完結したら書き始めようと思います。
ちょっと意味がわからない物語です。でも、わからないものを書いている時だけ、私は少し安心します。意味が完全に理解できるものって、たぶん全部、死んでいるので。
最近は夜になると洋楽を流しています。古い時代のノイズが好きです。音楽というより、遠くで雨が降っているみたいだから。
スマホの某サブスクリプションアプリの再生ボタンをタップした瞬間、世界が急に丁寧になります。
ああ、この世界には「ゆっくり触らなければいけないもの」がまだ存在しているんだな、と思います。
私は不老不死になりたいです。
これは昔から変わりません。
ただ、「永遠に生きたい」のではなく、「終わる時間を自分で決めたい」のだと思います。
勝手に終わらされるのが嫌です。
なので、とりあえず来週も小説を書きます。
生き延びるために。苦痛を和らげるために。
今週はここまで。
来週もたぶん書きます。
雨宮妃里