大型連休が無事に幕を下ろしました。
今年の連休は家族旅行へ出かけました。夜、宿泊先の旅館で原稿を書く私を見て、家族が何と思ったかは分かりません。おそらくは心配したことでしょう。前にも増して執筆にのめり込んでいる自覚がありますから。
私の生活には、くだらないこだわりこそあれど、活力が漲っているとは云えない空気が漂っています。ゆえに健康的でエネルギッシュな生活スタイルを営んでいる人の話を聞くと、どうにも自嘲せざるを得ないのです。
諸先輩方が凝りに凝った朝食をとるのに対し、私は朝にキャベツと豆腐しか食べません。気が向けば、そこにフルーツを付け加えるくらい。不愉快なのです。正午を前にして、体内へ油脂が入り込んでゆく感覚が。
さてさて。
今週から『ゆで卵と恐蜥』の連載を始めています。先週に公開した『Hazardous Flowers』と並行し、暫くは二作同時に書いてゆくことになります。私にとっては未だかつてない挑戦ですが、何とかなるでしょう。
『ゆで卵と恐蜥』は日常系のSFで、ダウナーな文体を意識しています。舞台は1999年。主人公は研究者の女性。平凡な研究活動の日々に割り込むように突如として謎の生物が運ばれてきたというストーリーですが、私は少し首を傾げています。
果たして1999年が平凡だったのか?
当時私は1歳でしたから、覚えていませんが、人類滅亡の予言なるものが世間を騒がせていた事実は歴史として知っています。いつだってオカルトを信じる人が大半を占めることは無いでしょうが、年末に世界が滅びますと言われて心穏やかでいられる人は少ないはず。真偽のほどが分からず、ましてやそれをわずかとはいえない数の人が信じていた。考えてみると異様な状況ですよね。激烈ではないにせよ、うっすらと恐怖感じみたものが漂っていたような気がします。
今回『ゆで卵と恐蜥』の主人公はガチガチの理系として設計しています。常に数字と向き合い、数字によって裏付けが成り立たない事象については否定的な感想を抱く、かなりロジカルな人物です。よって、世間に漂うオカルト予言は信じておらず、その一方で現実的な課題として2000年問題を懸念しています。史実を見ればどちらも世界に大した影響を及ぼさなかったのですが、後からは何とでも言えるもの。彼女のように予言は信じずとも、2000年問題を恐れていた人は多かったのではないでしょうか。前者と違い、後者には数字に基づく可能性の補強が施されていたわけですからね。自他に充満する不安感を前に、彼女は如何なる行動に出るのか――私といたしましては、その部分に当人の人間味を感じられる小説になれば幸いです。
今週はここまで。
来週もたぶん書きます。