コメントで、他ヒロインとのエンディングが読んでみたい、との声をいただきました。
瑠璃や兎川先生エンドとなると、強引でリアリティが欠けてしまうと感じたため、1番可能性がありそうな鹿内みかんエンドを書いてみました。
《鹿内みかんエンド》
~緑子がみかんに襲いかかるシーン~
「やめろ」
格闘技で鍛えたスムーズな動きで、緑子の手首をつかんで包丁を弾く。そのまま押し倒すように緑子にタックルすると、瑠璃がぺたぺたと先輩に近寄り、拘束を解いた。
「瑠璃は先輩を連れて逃げてくれ」
「でも、そしたらおにぃが――」
「俺は大丈夫。今の見ただろ?」
猫目を大きく見開いた瑠璃は、敬意のこもった視線を向けながら頷いた。
「はいっ」
「これで本当に二人きりになったな」
「……私の負けだね」
「今回のはさすがにやりすぎだったと思うぞ」
「……」
緑子は何も答えない。
すっかり燃え尽きている感じだ。
冷静になれているということなので、また興奮して包丁を握ったりはしないだろう。
「俺はずっと緑子が好きだった。でもそれは……甘えだったのかもしれない。結局俺は、緑子に対して一途に想いを寄せる自分に酔っていたのかもな……」
「そんなこと……ないよ。紫音は……」
「無理しなくていい。こんなことがあった後だからいろいろ気まずいけど……また関係をやり直すことはできないのか?」
「……え?」
「俺たちはずっと一緒だった。瑠璃も一緒だ。これまでと同じ関係とは言わない。言わないけど……ここで緑子と縁を切るのは違うと思う」
「紫音……やっぱり私は、紫音が好き」
この時、緑子は初めて『笑み』を見せた。
その笑みとは、純粋な好意による、曇りのない笑顔だった。
部室でみかん先輩と二人きり。
あんなことがあったから普通に気まずかったが、先輩はそんな空気を一切出さない。
「浮かない顔だね。あのこと、まだ気にしてるのかな?」
「気にしないわけないじゃないですか」
「朝から犬飼さんは謝ってきたし、そもそも紫音くんは何も悪くないんだよ」
「元凶は俺なので」
「そうだね。紫音くんが魅力的なのが悪いんだ」
軽く微笑み、トランプをめくるみかん先輩。
今日のゲームは神経衰弱だ。
「紫音くん、もう犬飼さんとの件は終わったって考えていいんだよね?」
「はい。なんとか友達として関係を修復できそうです」
「それは良かった……それじゃあ、新しい恋、してみない?」
「新しい恋?」
「あたしの言いたいこと、さすがにわかるよね? 紫音くんは鈍感なのかな?」
もしかして、とは思っていたが。
やっぱり先輩は俺のこと――。
「紫音くん、あたしと付き合おっか」
こうして会話しているうちに、みかん先輩は全てのカードを回収してしまっていた。また俺の負けか。
相変わらずゲームが強すぎる先輩を前に、俺は真剣な表情で頷く。
「よろしくお願いします」
「やった。今から紫音くんは、あたしの未来の夫だね」
いきなり立ち上がり、部室の鍵を閉める先輩。
そのままロッカーから何かを取り出す。
「部活が終わるまでの残り1時間、紫音くんの体はあたしのものだから。覚悟しててね」
先輩が取り出したのは、しばらく視界に入れたくもない、拘束道具だった。