●トマス(16)
かつて下層街で生きた少年。今はグレイ家に仕える十六歳の少年。大旦那様アルジャーノンの私付きとして重用されてきたが、現在はエリザベス付きとしてその傍らに立つ。礼儀と知性を身につけた一方で、過去の喪失と罪悪感を胸の奥に抱え続けている。守るべきものが増えるほど、自らの在り方に苦しむ少年。癖のある黒に近いダークブラウンの髪と、鋭い金茶色の瞳を持つ。
●チャールズ(17)
小貴族の三男として生まれた十七歳の執事。穏やかな気質と優れた気配りを持ち、人の心を自然と和らげる力を備えている。長い研修を終えて屋敷へ戻り、次代を担う執事候補として期待を集める。トマスにとって数少ない心を許せる友人でもある。柔らかな栗色の髪と、澄んだ青い瞳を持つ。
●アルジャーノン・グレイ(60代)
グレイ家当主にして、一族の繁栄を支えてきた老獪なる策士。人の心を見抜く洞察力と冷徹な決断力を併せ持ち、屋敷の誰もがその意志の及ぶ範囲から逃れられない。孫娘エリザベスを深く愛しながらも、その愛情さえ盤上の一手として扱う危うさを秘める。銀白の髪と、氷のように冷たい灰青色の瞳を持つ。
●エドワード(40代)
グレイ家へ婿入りした穏やかな紳士。かつての気弱さを克服し、今では家族と使用人たちを静かに支える存在となった。人の感情の機微に敏く、言葉少なながらも相手を見守る優しさを備えている。娘エリザベスの幸福を何より願う父親。淡い金髪と、温和な光を宿した淡い青色の瞳を持つ。
●ナルシッサ(40代)
アルジャーノンの実娘にして、グレイ家を支える女主人。常に冷静沈着で、感情よりも責務を優先する強さを持つ。厳格な姿勢の裏には家族への深い愛情を隠しており、とりわけ娘エリザベスには人知れぬ甘さを見せる。金髪に白銀が混じり始めた巻き髪と、冷ややかな灰色の瞳を持つ。
●エリザベス(17)
グレイ家の令嬢。寄宿学校を卒業し、再び屋敷へ戻ってきた十七歳の少女。男性への恐怖を抱えながらも、それに屈しない強い意志を秘めている。誠実で優しく、人の痛みに敏感な心の持ち主。トマスを私付きに指名したことをきっかけに、自らの感情と向き合うことになる。小麦色に近い長い金髪と、澄んだ灰青色の瞳を持つ。
●マーガレット(50代)
最古参のメイド長。厳しく頼もしい“屋敷の母”。若い使用人に目を配り、時に厳しく叱り、時にそっと支える。トマスの危うさをいち早く察し、陰ながら見守る存在。
●ジェームズ・ハワード(40代)
グレイ家家令。無駄のない所作と判断力を持つ完璧な執事。屋敷の統率を担い、使用人を導く。トマスとチャールズに高い期待を寄せつつ、その影に潜む危うさも見抜いている。
●エミリー(20)
エリザベスに仕える専属メイド。令嬢の心身を支えるため常に傍らに寄り添い、その変化を誰よりも早く察する。穏やかで気配りに優れる一方、主人を守るためなら毅然とした態度も取る。エリザベスにとって姉のような存在。柔らかな亜麻色の髪と、落ち着いた榛色の瞳を持つ。
●セドリック(24)
アルジャーノンの私付き執事であり、表には出せない任務を担う影の手足。冷徹な判断力と卓越した実力を持ち、主人の命令を完遂するためなら手段を選ばない。だがその内側には、誰にも理解されない不器用な情を秘めている。トマスの先達であり、最も近くでその危うさを見続ける人物。ダークブラウンの髪と、鋭い金茶色の瞳を持つ。