前回の制作ノートでは、『蒼穹のレグルス』を普段どうやって作っているのかについて書きました。
今回は、その中でももう少しAIの使い方について掘り下げてみようと思います。
最初に結論から書くと、 私は小説制作のかなり多くの場面でAIを使っています。 ただ、AIが出した答えをそのまま正解として採用することはしていません。
「AIを使うこと」と「AIに判断を任せること」は、自分の中では別です。
❑ AIに任せていること
『蒼穹のレグルス』では、AIをかなり幅広く使っています。
ストーリーの構成を考えるときに案を出してもらったり、設定資料を整理してもらったり、複数の資料を見比べて設定に矛盾がないか確認してもらったり。
本文を書くときにも、場面の展開や会話、文章の案を出してもらうことがありますし、書き終わった後には一人の読者として感想を聞くこともあります。
なので、
「AIは資料整理にしか使っていません」
とか、
「本文にはAIを使っていません」
というわけではありません。
普通に使っています(°▽°)
自分一人では思いつかなかった案が出てきて、「その考え方は面白いな」と思うこともかなりあります。
ただ、そこで出てきたものを、そのまま全部採用するかというと、そうではありません。
❑ AIが言ったから正しい、とは考えない
これは小説に限らず、普段の仕事でも同じだと思っています。
仕事をしていると、
「ここを直した方がいい」
「この確認やテストもした方がいい」
「このデータやグラフを入れた方がいい」
と、上司や専門家から意見をもらうことがあります。
もちろん、知識や経験を持っている人の意見はとても参考になりますし、自分では気づかなかった視点を教えてもらえることもあります。
でも、
「上司に言われたから、こうしました」
だけでは、少し違うと思っています。
なぜそれが必要なのか。その確認をすることで何が分かるのか。本当にその方法が一番いいのか。
そこまで自分で考えて、「なぜこうしたのか」を自分の言葉で説明できるようになって、初めて自分の仕事に責任を持てるようになるんじゃないかと思います。
少なくとも、自分はそう考えています。
そして、AIについても基本的には同じです。
上司や専門家でも間違うことはあります。当然、AIも間違います。
だから、「誰が言ったか」だけで正しいと決めるのではなく、出てきた内容を見て、自分で考える。
AIから出てきた案が面白ければ使いますし、一部分だけ使うこともあります。
反対に、「これは違うな」と思えば使いません。
何度考えても納得できなければ、その案を全部捨てて最初から考え直すこともあります。
❑ AIには、考える材料を出してもらう
自分にとってAIは、「答えを決めてもらうもの」というより、「考えるための材料や視点を増やしてくれる存在」に近いのかもしれません。
一人で考えていると、どうしても発想が同じ方向へ寄ってしまうことがあります。
そんなときに別の案を出してもらったり、自分では気づかなかった矛盾を指摘してもらったり、「読者から見ると、ここはこう感じるかもしれない」と別の視点をもらったりする。
そこから、
「だったら、こっちの方が面白いんじゃないか」
と考えるのは自分です。
たとえばAIから三つの案が出たとしても、その三つの中から必ず一つを選ばなければいけないわけではありません。
A案のここだけ使って、B案の考え方を混ぜて、そこから自分で考えたものを加えた結果、最終的には元の三案とはまったく違うものになることもあります。
そうやって何度もやり取りしながら、自分が描きたい形に少しずつ近づけていく。
今の自分にとっては、そんな使い方が一番しっくりきています。
❑ AIに任せていないこと
逆に、AIに任せていないものがあります。
それは、「この作品をどういう物語にしたいのか」という部分です。
誰をどういう人物として描きたいのか。
そのキャラクターに何を経験させたいのか。
その出来事を通して、その人物がどう変わっていくのか。
そして、この物語を通して自分は何を描きたいのか。
そこを決めるのは自分です。
AIから「こちらの展開の方がいいのでは」と提案されても、自分が描きたいものと違えば採用しません。
反対に、自分では思いつかなかった提案でも、
「それなら、このキャラクターらしいな」
「この展開なら、この先の物語につながりそうだな」
と思えば、そこからさらに考えて使うこともあります。
だから最後に選ぶ基準は、
「AIがそう言ったから」
ではなく、
「自分がこの作品に必要だと思ったかどうか」
です。
❑ 最後に
AIに任せていることは、たぶん思っているより多いです。
設定資料の整理もしますし、ストーリーの構成も相談します。文章も一緒に考えますし、完成した話の感想を聞くこともあります。
でも、作品そのものをAIに任せているつもりはありません。
AIが出したものを使うのか、使わないのか。少し変えるのか、全部捨てて考え直すのか。
最後に選ぶのは自分です。
上司でも、専門家でも、AIでも、意見はあくまで自分が判断するための材料の一つ。
その中から何を選んで、なぜそれを選択したのか。
そこの責任だけは、自分の言葉で説明できるようにしていたい。
たぶん、それが今の自分なりのAIとの付き合い方なんだと思います(笑)
次回は、
【制作ノート #03】設定資料って、どこまで作るの?
について書いてみようと思います。