立ち上げた自主企画『純文学・批評』に従って、自主企画に応募して下さった詩川さんの『草を抜きつつ、吐露々々と』を僭越ながら批評させて頂く運びとなりました。拙い部分も多々あると思いますが、批評をさせて頂きます。
私が『草を抜きつつ、吐露々々と』を一読させて頂いて、最初に印象に感じたことは、作品の中では情景描写よりも心理描写の方が多分に含まれているということでした。そうして、それと同時に心理描写が詰め込まれている本文の中に幾くつか情景描写が重なり合っているのに気が付きました。
私はそのような本文を読んでいく中で、心理描写の中に情景描写が重なり合うのに疑問提起を発見しました。
本作は現在から過去にかけて、主人公の気付きが草抜きをしていた出来事から描写されていく物語なのに対して、肝心の主人公の外側の世界、情景描写が心理描写に比べてされていないように拝察いたしました。主人公の気付きを描写する上ではその主人公を取り巻く環境の描写、その環境に情緒を乗せた情景描写も必要だと私は考えました。
以下のことから本作では心理描写だけに特出せず、主人公の心理描写を形作る心象風景の外側の描写が必要だと感じました。
そうして、本作の特筆すべき部分は紛うことなく繊細な心理描写でした。
本作を拝読させて頂いて、今後の課題として挙げられるのは心理描写と情景描写の両立だと思います。既に完成されていると言っても過言ではない心理描写に情景描写を織り交ぜるとより作品に深みが増して、唯一無二の作品が出来上がると思いました。
総じて、私は本作には心理描写が洗練されているという印象を受けました。主人公の独白がどれも繊細なタッチで書かれていて、主人公の心持がありありと伝わってくるように感じました。
今回は詩川さんの御作に批評文を書かせていただきありがとうございました。私は詩川さんのこれからのキャリアを応援しています。素晴らしい作品をありがとうございました。そうして、最後までご一読頂きありがとうございました。