挿絵
ニューヒーロー参上!
サイバーパンク小説『透明マスクマン』。
「グブォホホバヒョッ! コレ、コレ、コレ〜!」
昌平橋のたもと。
暗闇のなかでレイバンのグラサンを光らせる三メートルの宇宙人が迫る。
古生物学者・近藤武満(三十四歳)は、マヤの遺跡で掘り起こした『水晶ドクロマスク』を頭へ叩きつけた。
ギュワオオオオオオォッ!!!
頭皮を火あぶりにされたかのような、脳細胞が焼き切れる激痛。
四秒間の臨死状態。
すべての因果が反転した、その暗黒のビジョンのなか、
「武満、システムの裏をかけ。ボイラーの圧力を限界まで上げるんじゃ」
死んだはずの師、陸軍中野学校出身で東大物理学科卒の特級ボイラー技師・阿川おじいちゃんが静かに笑った。
生還。
変身完了。
四十四時間四十四分四十四秒の、硅化へのカウントダウンが始まる。
愛車『陸王』のキックペダルを踏み抜き、ボンゴの哀愁のボレロ・リズムを響かせ、透明マスクマンの戦いが今、幕を開けた。
◇予告◇
三メートルの宇宙人が放つ、時空を歪める『超ひも理論』の波動が、透明マスクマンのクリスタルバリアを侵食する。
「クッ……! 身体の珪化(シリコン化)が始まるダス……! おまけに敵の女性宇宙人の色香がエロすぎて、クリスタルフェロモンが暴走するダス……!」
弱点にハメられ、陸王の横で這いつくばる近藤武満。
だが、彼の写真記憶(京大理学博士)の脳裏に、あの『化石のつぶやき』の一節が、そして一九七八年のバンバンボール大会優勝のあの栄光のパルスが、激しくフラッシュバックした。
「世界は進化しながら退化している。なんとなく、クリスタルダス!!」
阿川おじいちゃんの形見、銘刀・三池典太光世の柄をがしりと握りしめ、透明マスクマンは、すべてのインナーマッスル(カポエイラ)の軸を固定し、その剥き出しの眼光を宇宙人へと向けた。
【衝撃の大図解!】
「喰らうダス! 必殺──スカトロリウム光線ッッ!!!!」
目から放たれた無垢な白《シロ》の怪光線が、アキバの裏路地のダークマターを跡形もなく焼き尽くした。