新作を公開しています。もしよければ、完結までチャームドールの踊りをお楽しみください。
(あらすじ)
少し先の未来では、人は怠惰に生きることこそ美徳とされ、労働のすべてをドールに任せた。ドールとは人の集めた過去の歴史を集積し、自ら思考し行動ができる存在である。
人が姿を消す夜の間だけ、ドールたちは自由に会話することを許されていた。そしてそれぞれの役割をこなしながら、ドールたちは夢を語り合う。いつか働き疲れて止まったのなら、自分たちも人になれるのだと。チャームドールとして、踊りを踊ることだけを役割とする彼女も同じだった。
人の生存に直接関係のない彼女は、他のドールたちからすら見下されて、今日も公園の片隅で踊り続ける。
ある日、彼女は人の男と出会った。
彼女だけを見つめる男の視線は、チャームドールの中にある歯車をゆっくりと軋ませていく。
人になることを夢見るドールの末路を描く短編小説。
人とドールは相容れない。