市川拓司

大学時代の恋人、雅司と再開した由佳。元恋人は才能豊かで、つねにエネルギーにあふれていたが、一緒にいるには激しすぎる人だった。ところが久しぶりに会った彼はひどく衰弱し、栄養失調を起…

わたしが十歳の頃、この町に越してきた陽治。 いつも穏やかで、自由気ままな彼は、ひたすら一つことに打ち込み、自分だけの世界を打ち立てていた。 すこしずつ、すこしずつ親しさを増してい…

大学進学を機に、一人暮らしをすることになったわたしが選んだのは、 築37年の２Kバストイレ付き、家賃35000円の格安物件。 木造モルタルアパートの部屋の押し入れの奥の壁には、明…

喪った恋人の一人息子への、募る想い。 世界の片隅でひっそりと肩を寄せ合うように生きる父と息子に次第に惹かれていく 真帆の気持ちは、もう、溺れる一歩手前で――