騎士崩れの話がなんかいつの間にか600PVを越していた。子供のころから約10年、ネットで物書きをしていたが、これほど見られたのは人生で初めてでした。
しかし、かつてなろうメインで活動していた時に思っていたことではあるが、PVが増えてもブックマークや評価はあまり伸びない故に自己の尊厳を保つ事に苦心してしまうものだ。
何せ10人が見てそのうちの一人が私を原石と思ってくれたならば、感激だが、100人が見てそのうちの一人が原石だと感じるならば、それはおそらく、作者の私とあなたが狂った世界に住んでいるはずだ。私の世界はきっと、健常な社会には通用しないおかしな世界なはずだ。
PVが増えるだけの鳴かず飛ばず。いっそ談合してみるか? なんて思ってしまうくらいだ。最も不正や露骨な戦略はとてつもなく嫌悪しているので絶対にやらないが。
きっとあと5400人に見てもらえたら、狂った世界の住人が増えるかもしれない、それに期待してもっともっと描き続けるしかない。
そういえば、次に書きたい話に関連するが、私は某ロシア語でデレる作品を心底苦手だ。あれはロシア人やカザフ人のナードの知り合いにウケがいいのは事実だが、それは、彼らの視点から日本の学生という非日常を体験できるという、日本とは異なった評価軸があるからだ。
しかし、私を含め、ロシア語学習をしている人々の一部はあの作品を苦手としている。以前、作者のインタビューをネットで閲覧した事がある。作者が語るには、妖精のようなロシア人女性とロシア語の神秘性というステレオタイプを記号的に消費している。以下引用
「考えているうちに「あれ? これ普通に外国語でやればいいのでは?」と思い、異世界転生モノだと世界観説明や舞台設定の説明が面倒だったこともあり、シンプルに現実世界恋愛にすることにしました。そこで、どこの国の言語にするかを考えた際に、まず英語はわかる人がいるからダメ。せっかく外国人の血を引いたヒロインにするなら、日本人とは全然違う容姿の美少女にしたい。そう考えた時に……直感で、ロシアだな、と。なんとなく、ロシアの美少女って妖精じみた神秘的な美しさがあるイメージがあったので。ロシアを選んだのはそれが理由ですね。」
原作者も実質的に語っていたが、そもそもロシア人である必要が無い。絶対にロシア人の血を引いている必要はない。これならばシンダールでもエスペラントでも、フランス語でもドイツ語でもいいはずだ。ラテン文字ならなんとなく読まれてしまうと言うのであれば、アラブ系やユダヤ、ギリシアでも良いではないか?誰も読めないキリル文字よりも異物感の強い文字で、前者二つは右から読む異国情緒にも神秘性にも、どの言語にもない独特の響きであふれていると言うのに。
ロシア人を選んだのは実に単純に日本人が美しい外人女性に抱く理想像のステレオタイプだからとしか思えない、もしくは日本で人気のある外国で白人の国というイメージで上から探し見ただけと感じた。
また、そもそも論としてロシアとは単一民族の国ではない。スラヴ系、ゲルマン系、中央アジア系、東アジア系、ユダヤ系その他。本当に多くの民族と言葉、宗教が存在する巨大な国家である。その中のスラヴ系の血を引いている者を主人公に選び、なおかつ銀髪碧眼のロシア語話者の娘を選んだのであれば、それはステレオタイプを据え置いただけに過ぎない。
あとX(旧Twitter)で昔見た広報のロシア語が酷すぎて、最低限のチェックも入れていないのかと思って普通にドン引きした。シヴァ温泉ってあったと思うんだよね。Спасибоの誤字。一体どうやってそれを入力したんだ?
確かに娯楽なんだから、面白ければいいっていうのは事実だ。私はどうしても受け付けなくて一巻で止めてしまったが、多くの人が評価すると言うことはきっと面白いのだと思う。ただ、これはあくまでも個人的な考え方だが、描く対象にリスペクトを持つべきだと思う。いや、あの作品が絶対にリスペクトを持っていないとは言わない。他人の脳内を想像することはできても、それは想像に過ぎないのだから。
ただ、私は5年以上ロシア語に触れ、帝政ロシアから旧ソ連の文学や食文化などを中心に研究している。
ロシア語の学習は、個人的に英語よりは簡単だったが、それでも難しい。形容詞と名詞のセットとその単数複数の格変化を暗記し、人称で変化する動詞の語尾やパターンをおぼえ、例外的な属格要求や正書法をおぼえ、手書きのロシア語のマジで汚い文字を読むために筆記体を習得した。今の知識はロシアという大きな地域への興味を原動力にした、寝る間も惜しんだ努力の末に集められている。
我々がそうして得る物を、作者は翻訳アプリで出し、人称変化が不正確なまま投稿していた事はロシアやロシア語へのリスペクトがあったと言えるだろうか? また、彼のインタビューのどこにロシア系のヒロインである必然性があったろうか?
しかし私は、この作品の編集部や作者をとても評価したい別の側面がある。それはロシアによる特別軍事作戦という名前のウクライナに対する軍事侵攻の開始後、ロシアと名の付くあらゆるイベントが自粛し、ロシア料理店を冠するレストランや物産展に誹謗中傷や攻撃が起き、恵比寿駅ではキリル文字表記が不適切だから消すべきだなんて言論もあった。しかしそんな中で作品はあくまでもフィクションであり、刊行され続け、アニメ化にまで至ったのは正に表現の自由の勝利であり、この勝利は頭ごなしに物事を否定する本当に何も考えない人々と真正面から戦った人々の努力の賜物だと思っている。
それはそうとしてあと、もう一つ嫌っているものがある。都合のいい異国性を消費する事だ。
私がおかしいのは分かっている。うがった目で見ているのは分かっている。でも多くの読者ははロシアという文化圏を好きだから見ているわけではない。ロシア語を好きだから見ているのではない。彼らは理想化されたスラヴ娘の空想を見たがっている、そう思ってしまう。
彼らは理想のスラヴ娘にボソっとささやかれ、彼らだけがその意味を理解できるという体験をしたいだけだ。
ところで私は奥ゆかしいブリヤート娘にТвою матьって言われたことがあります。Но,у неё нет хуя...どうやってファックすると言うのか。
今度、関西弁でデレようとするウクライナ人の女の子に、ロシア語で「うち」って何て言うん?って聞かれた話書こうと思ってる。フィクションです。
引用元
燦々SUN「周りにはわからない、2人だけの“秘め事”感がいい――『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』著者インタビュー」『ダ・ヴィンチWeb』、2021年12月5日、2026年1月2日閲覧、
https://ddnavi.com/article/d893361/a/