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ギータ・ゴーヴィンダの時代(12世紀インド)

🔴インドの官能(古代~近世官能シリーズ①)、https://bit.ly/4lmbagf
 ギータ・ゴーヴィンダの時代(12世紀インド)
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ギータ・ゴーヴィンダ
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 ギータ・ゴーヴィンダは、12世紀の詩人ジャヤデーヴァによるサンスクリット詩で、主に東インド(ベンガル地方やオリッサ周辺)のセーナ朝時代(11〜12世紀末)を背景にしています。

 この時代は、中世インドの転換期で、パーラ朝の衰退後、セーナ朝がベンガルを支配し、ヒンドゥー教の復興が進みました。イスラーム勢力の侵入が始まる直前で、ヒンドゥー文化が花開き、寺院建築やエロティックアートが盛んだった時期です。

 12世紀のベンガル(ガンジス・デルタ)は、世界最大級の河川デルタで、ガンジス川、ブラマプトラ川、ヤムナー河の支流が交錯する肥沃な平野でした。

 雨季には洪水が頻発し、豊かな土壌を生み、米作や果樹園が広がっていました。森はマンゴの木、タマーラの木、蓮の池に満ち、蜂の羽音と花の香りが漂う楽園のような風景。村々は川辺に点在し、竹や泥の家屋が並び、牛飼いの集落が詩に反映されています。

 春の季節は特に官能的で、詩のように花が咲き乱れ、風が肌を撫で、河畔の隠れ家(クンジャ)で恋人たちが密会するイメージが一般的。オリッサやベンガルの寺院(例: コナーラク寺院の影響)は、周囲の自然と調和し、河や森に囲まれていました。この自然の豊かさが、クリシュナとラーダーの恋を象徴する官能的な背景を提供しています。

 男性は主にドーティ(腰布)を巻き、上半身裸か薄い布を羽織る。王族や貴族は絹のドーティに宝石のベルト、トルク(首飾り)。クリシュナ像のように、孔雀の羽や黄色い布が象徴的。

 女性はサリーの原型(薄い布を体に巻きつけ、胸を露わにし、腰を強調)。宝石(鼻輪、足輪、首飾り、重い耳飾り)が豊富で、体を美しく飾りました。ラーダーのイメージのように、花の冠、ムスクのティラカ(額の飾り)、カジャル(目元)が官能性を高めました。

 気候が暑いため、布地は薄く、体型を強調するものが一般的で、寺院彫刻に見られるように、上半身裸や透ける布が普通でした。

 この時代、特にバクティや寺院文化では、性愛がタブーではなく、神聖なものとして自由に表現されました。カーマ・スートラの伝統が続き、性愛は人生の喜び(カーマ)として肯定的です。ラーダー・クリシュナの恋は既婚のラーダーがクリシュナ(他者の夫)と密会する禁断の愛ですが、神聖視され、霊的合一のメタファーとなっています。

 女性の性の自由度は高く、デーヴァダーシーが寺院で舞い、宮廷や村祭りで恋の遊びが奨励され、嫉妬、別離、再会が詩のテーマでした。

 カーストは厳しかったですが、バクティでは神への愛が平等でした。全体として、性愛の自由奔放さが宗教的に昇華され、現代から見ると驚くほど開放的でした。

 この時代は、イスラーム到来前のヒンドゥー文化の頂点で、ギータ・ゴーヴィンダは性愛を神聖化し、後世のバクティ運動に大きな影響を与えました。自然の豊かさと人間の情欲が融合した、官能的で霊的な世界だったのです。

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