昔話には多くの「たろう」さんが登場します。桃太郎、金太郎、垢太郎、三年寝太郎、等々……全国的に有名な〇〇太郎さんから、その土地土地でひっそりと愛され続ける〇〇太郎さん迄、数え上げたらきりがない程大勢の太郎さん達。書類の記入例なんかでも「山田太郎」さんを見掛けたりしますよね。
ある日、「何で『太』なんだろう」と思いまして。
だって、「太郎」が長男を表しているとして、次男は「次郎」か「二郎」。更に下の男の子は「〇〇三郎」「〇〇四郎」と続いていくわけです。この法則に従うなら長男は「一郎」もしくは「先郎」でもいいんじゃないかと思ってしまうのです。実際、「一郎」さん、及び「〇〇一郎」さんというお名前の方は結構要らっしゃるかと思いますが、民話などで圧倒的人気の名前はやはり「〇〇太郎」。なんなら坂東太郎や滝太郎のように、生物どころか現象にも「太郎」を付ける程、浸透した呼び名です。これはやはり「太」という字が重要なのでは、と思った次第であります。
で、「太」の意味を調べてみたのですが、
1.大きい
2.ふとい・ふとる
3.尊い・最上
4.とても・非常に
5.おおもと・はじめ
成程、確かに「一」だけでは表しきれない意味が込められているのですね。屹度、「大きく太っている → 栄養状態がいい」、つまり、太れるということが豊かさの象徴だった時代を人類が過ごした為に、「他から抜きんでている → 素晴らしい → 一番だ」と転じていったのかと。更に1、2、3の意味から、4、5の意味が派生したのでありましょう。
ならば確かに、偉業をなした昔話の主人公達の名前に「太」の字が付くのは自然なことなのですね。それによく考えたら彼等、他の兄弟の話はあんまり出てきません。というか、兄弟がいるのかどうかもよく分からない話が多いですし。特に桃太郎なんて、出自を考えたら兄弟がいたら逆にびっくりしちゃいます。
数字としての一ではなく、意味として「太」の字が付けられた。それは、皆に愛されるお話の主人公に相応しいお名前なのかもしれません。
……成程……段々「太」という字が好ましく感じられてきましたよ。今後、体重計の数値が500g増えたりした際には、「太った」とネガティブな気持ちを持つのではなく、「500g分優れた」と考えるようにしたいと思います。