最新話(SS)をお読みいただきありがとうございます。
今回は、少しだけ紗羅の裏側の設定について語らせてください。
本編では完璧な令嬢として振る舞っていた紗羅ですが、彼女のその「完璧さ」は、生まれ持ったものでも、純粋な善意からでもありませんでした。
血が繋がっていないという強烈なコンプレックス。役に立たなければ捨てられるという義父からの無言の圧力。彼女は生き残るために、必死に「偽りの聖女の仮面」を顔に縫い付けていました。
彼女が本当に欲しかったのは、誰かを救う力などではなく、数百円のキーホルダーやガチャガチャの指輪で喜べるような「ただの普通の女の子」としての幸せでした。
しかし、彼女の作られた完璧さは周囲を狂わせ、友人を傷つけ、結果として彼女自身に「私は人を不幸にする偽物だ」という呪いをかけてしまいます。
だからこそ、彼女は蓮への恋心に気づいた時、その想いを「安っぽいプラスチックの指輪」と共にバッグの奥底へ封じ込めました。汚れた偽物の自分は、彼の隣に立つ資格はないと信じ込んでいたからです。
107回目の世界線。もし、蓮と紗羅が本音をぶつけ合うことなく、すれ違ったまま最期の時を迎えていたら――という残酷なifの結末です。
彼女が最期に見せた、タイトルにも通じる「自己犠牲」。それは真の聖女と呼ぶにふさわしい尊いものでしたが、彼女自身は最後まで自分を偽物だと思い込んだまま散っていきました。
本編(109回目)のラストバトルで、蓮が彼女にどれほどのものを与え、彼女の仮面をどうやって叩き割ったのか。この絶望の107回目を知っていただいた後で、もう一度本編の二人の結末を思い返していただけると、また違った景色が見えるかもしれません。
引き続き、彼らの物語をよろしくお願いいたします!