【あとがき】
本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
キャッチコピーに掲げた通り、この物語のおよそ85%は、昭和六十三年の夏に実際に起きた出来事に基づいています。
物々しい入門ゲート、多段トランスファープレスの地響き、武器庫のAR-18、試射データの裏紙を巡る社内の凍りついた空気、開かずの図面庫、そして東京の安宿で隣人から落とされた「人前で財布を出すもんじゃない」という鋭い一言――。
当時、18歳の機械電気工学科の学生だった私にとって、あの夏に起きた出来事はどこか奇妙で、ピリリとした肌寒さを伴う記憶でした。そのすべての辻褄が合い、「あのとき、国家の歯車が背後でどう動いていたのか」を本当に理解したのは、卒業後に自分の家庭の特殊な事情を知った、ずっと後のことです。
なお、作中に登場する総務の越知直子という女性だけは、硬派で煙たい現場ばかりだった当時の私の記憶の中に、せめてものロマンとして差し挟んだ15%のフィクションです(実在していてほしかったと今でも思います)。
冷戦末期の日本のものづくりと、その裏側にあった防諜の空気を少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
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遼一は就職後、この国のカウンターインテリジェンス機関とかかわりを持つことになるが、それはまた別のお話し