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Quonta
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    • 近況ノート137
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  • 2025年4月7日

    4/7

    哲学する目的は死に方を学ぶにあること                   モンテーニュ『随想録』二十章 哲学するとは死に備うることに他ならぬ                    キケロ
  • 2025年4月4日

    4/4

    忘れるのは 山へ行く道が消えて 同じ道に戻るとき おぼえているのは 道しるべのところから雲が湧き 時計の針が秋を思出させるとき 迷うのは その山道のまわりがうす紫の花で囲まれ 向うへと向うへと人を歩ませるとき そしてきめるのは 口笛が二つになり 四つになり やがてひとりになって帰ってくるとき                   (岸田衿子 イ 『忘れた秋』)
  • 2025年4月3日

    4/3

    書かれた鹿はなぜ書かれた森を飛び跳ねてゆくのか その柔らかな鼻先を複写する泉の表面から 書かれた水を飲むためだろうか なぜ頭をもたげるのだろう 何か聞こえるのか 真実から借りたしなやかな四肢に支えられて 鹿は耳をそばだてる――私の指の下で しずけさ その一語すらが頁を震わせる 「森」という言葉から生えた 枝をかき分けて 白い頁に跳びかからんと、待ち伏せるのは ゴロツキの文字どもだ その文節の爪先のなんと従属なこと 鹿はもう逃げられまい インクの一滴毎に大勢の狩人たち 細めた目で遠くを見つめ いつでも傾いたペン先に群がる準備を整え 鹿を取り巻き ゆっくりと銃口を向ける 今起こっていることが本当だと思い込んでいるのだ 白地に黒の、別の法則がここを支配している 私が命じる限り瞳はきらめき続けるだろう それを永遠のかけらに砕くこともっ私の気持ち次第だ 静止した弾丸を空中に散りばめて 私が口を開かない限りなにひとつ怒らない 葉っぱ一枚が落ちるのにも たたずむ鹿の小さな蹄の下で 草の葉一枚が折れ曲がるのにも私の祝福がいる 私が総ての運命を支配する世界が 存在するということなのか 私が記号で束ねる時間が 私の意のままに存在は不朽と化すのか 書く歓び とじこめてしまう力 いつか死ぬ一本の手の復讐                 ヴィスワヴァ・シンボルスカ「書く歓び」
  • 2025年4月3日

    4/3

    死者は死棺から起きあがり 噛みつく 憎しみではなく苦痛から それを止めようとして私は力を使い尽くす 森の奥深く ハイヒールを脱ぎ捨てる     ダッテ     私ガサビシイダケノコトナンダモノ     モウ起コッテシマッタコト     モウ取リ返シガツカナインダモノ 波が 次々に波が 波だけがあって 首狩り族が摩天楼に棲む 秋から冬へ 秋から冬へ 裸体が針のように堕ちて行き 乳房が膨張と収縮をくり返す 崩れていく骨が背後を覆うのに 私はなお違うことを考えつめる 森の奥に白い池がある                              中本道代「柊」
  • 2025年3月31日

    3/31

    死者 死体の謂ではない 生存ではない存在形式において存在する者 つまり異常の者 の思い為すこと、それが物語である 死者の思い為しを生者は生きている 死者に<思われて>生者は生きている したがって、生存とはそのような物語である                     池田晶子『リマーク 1997-2007』
  • 2025年3月29日

    3/30

    人、象徴の森を過ぎゆくと 木々、親密なまなざしで、人を眺む                  ボードレール「共感」
  • 2025年3月26日

    3/26

    わたしには 世界が足りないと 示された午後 錠剤が友だちでした お母さん、 それが毒だと あなたは何故云えるのか おいてかれたくないんだ 呟いたサカイメのひと わたしも って 云えなかったのは 別の船を選択していたから お母さん、 あなたは 何色の船に乗るの        あまのがわ 三角みづ紀
  • 2025年3月26日

    3/26

    朝、バスを待っている つつじが咲いている 都営バスがなかなか来ないのだ 三人、四人と待つひとが増えていく 五月のバスはなかなか来ないのだ 首をかなたへ一様に折り曲げて 四人、五人、八時二〇分 するとようやくやってくるだろう 橋の向こうからみどりのきれはしが どんどんふくらんでバスになって走ってくる 待ち続けたきつい目をほっとほどいて 五人、六人が停留所へ寄る 六人、七人、首をたれて乗車する 待ち続けたものが来ることはふしぎだ 来ないものを待つことがわたしの仕事だから 乗車したあとにふと気がつくのだ 歩み寄らずに乗り遅れた女が 停留所で、まだ一人、待っているのだろう 橋の向こうからせり上がってくる それは、いつか、希望のようなものだった 泥のついたスカートが風にまくれあがり 見送るうちに陽は曇った晴れたり そして今日の朝も空へ向かって 埃っぽい町の煙突はのび そこからひきさかれて ただ、明るい次の駅へ わたしたちが おとなしく はこばれていく                   小池昌代『永遠に来ないバス』
  • 2025年3月23日

    3/23

    生命は 自分自身だけでは完結できないように つくられているらしい 花も めしべとおしべが揃っているだけでは 不充分で 虫や風が訪れて めしべとおしべを仲立ちする 生命は その中に欠如を抱き それを他者から満たしてもらうのだ 世界は多分 他者の総和 しかし 互いに 欠如を満たすなどとは 知りもせず 知られもせず ばらまkれている者同士 無関心でいられる間柄 ときに うとましく思うことさえも許されている間柄 そのように 世界がゆるやかに構成されているのは なぜ? 花が咲いている すぐ近くまで 虻の姿をした他者が 光をまとって飛んできている 私も あるとき 誰かのための虻だったろう あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない                    吉野弘「生命は」
  • 2025年3月22日

    3/22

    あれは、いつの頃だったか怯懦と愉悦のうちうちに あたしの日々はひたりびたり あたしが天職を探すことなく あたしが天職を探すところなく あたしが天職はサンダルの貼子さん あたしに握る掌を恥じるいかつい手はなく あたしに勝る重労働があるかと思い あたしに怯える職業病があり血も凍り あたしは一日じゅう靴の底を舐めまわし あたしは小さな換気扇にむせび あたしは接着剤とシンナにとっぷり浸かる あたしは匂う肉親でなく あたしを潤う柱とあがめ あたしはせめぐ歩合制をなんとなくこなし あたしは嫁入道具にヤットコ忍ばせ あたしは稼(かし)いでもロールを握り あたしは子供の為に働き続け あたしへ続くあたし あたし あたしへ追いつく衰えがあり あたしへ物乞う身体に薬を与え あたしと腐食したエプロンの数々 あたしと工場のひさしは朽ちるを競い あたしとゴムのりと暮らした一生 あたし、匂いに酔ったまま あたし、やっと あたし、天国にいけるわ                           宗秋月『詩集』
  • 2025年3月21日

    3/21

     他の人が読まないだろうから私は詩を書き始めました。誰も、読んだ人でさえも理解できないだろうと、そしてきっと他の詩人も理解できないだろうと。  詩は内面を守るために私の周りにある渦巻きだと感じてますから、もし誰かが詩の中心を突き通せば、詩はその時……いえ貫けない部分が常に存在するに違いありません。常にこの内的な不可侵性があるに違いないのです。言語はいつも周りに回っています。                (メ―ヴ・マガキアン『ユリイカ』2000年2月号)
  • 2025年3月20日

    3/20

    ――混じりけのない感情を持つことができない、というのが人生の大きな問題である。つねに敵のなかにも好きなものがあるし、恋人のなかにも、なにか嫌いなものがある。こういう気持ちのもつれで、人間は年老い、額に皺が寄り、目の周りの溝が深くなる――。 ――もし妖精のように、心から愛したり憎んだりできるなら、私たちも妖精のように、長生きできるかもしれない――。                       W・B・イェイツ『ケルトの簿明』
  • 2025年3月19日

    3/19

    鹿は 森のはずれに 夕日の中に じっと立っていた 彼は知っていた 小さい額が狙われているのを けれども 彼に どうすることが出来ただろう 彼は すんなり立って 村の方を見ていた 生きる時間が黄金のように光る 彼の棲家である 大きい森の夜を背景にして                     村野四郎「鹿」
  • 2025年3月11日

    3/11

    This is Elisa Rae Shupe, the first person to obtain a legally recognized non-binary gender status in the US and a veteran, was found dead from an apparent suicide by hanging atop the Syracuse Veteran's Affairs Medical Center parking garage on Monday, January 27th, 2025. She was found fully wrapped in the pink, blue, and white transgender pride flag. Elisa had emailed loved ones and a couple of news stations a letter immediately prior to taking her life, hoping at least one source would publish it, but none even bothered writing a story about it. Here is the letter from Elisa Rae Shupe to the Trump Administration: "Fuck You America! I don’t want your hatred. I don’t want the military decorations and medals you awarded me. I don’t want your pension money for my distinguished military service and service-connected disabilities. I don’t want your health care to treat the mental illnesses you caused I don’t want more psychiatric ward commitments to keep me alive in a nation that I despise. I don’t want to be buried in any of your state or national cemeteries for veterans and military retirees. I don’t want to be buried anywhere on American soil. I don’t want any military honors or ceremonies to mark my death. I don't want my ashes to be stored on American soil. I want my ashes or remains to be spread or buried in international waters. I don’t want your flag anywhere near my body, remains, or ashes. I don’t want any members of my family other than my spouse to be on the vessel that disposes of my ashes or remains. My death is not a surrender. My death as a member of the third gender and transgender population does not mean you won. It solely marks the end of our association. You are not the land of the free. You are not a country getting made great again. Too much demonstrated hatred throughout your existence extinguishes any claim to previous greatness. You are a cesspool of zealots that worship a god that does not and has not ever existed. Enjoy your new royal family and third world dictator. I refuse to participate any further. Have that Nazi piece of shit Elon Musk and his DOGE henchmen deduct the savings from my $93,000 of federal pensions from your bankrupt coffers. The white man decimated and massacred the indigenous populations of the third gender on the lands now called America. It was only fitting that a white person restored it. You cannot erase non-binary and transgender people because you give birth to more of us each day."
  • 2025年3月5日

    3/6

    나는 온 몸에 햇살을 받고 푸른 하늘 푸른 들이 맞붙은 곳으로 가르마 같은 논길따라 꿈속을 가듯 정처없이 걸어가네 걸어만 간다 그러나 지금 들을 빼앗겨 봄조차 빼앗네 빼앗기겠네 나비 제비야 깝치지 마라 맨드라미 들마꽃에도 인사를 해야지 아주까리 기름을 바른이가 지심매던 그 들이라도 보고 싶다 그러나 지금은 들을 빼앗겨 봄조차 빼앗네 빼앗기겠네 나는 온몸에 풋내를 띠고 푸른 웃음 푸른 설음이 어우러진 사이로 다리를 절며 절며 하루를 걷네 봄신명이 지폈나 지폈나 보다 그러나 지금은 들을 빼앗겨 봄조차 빼앗겨 빼앗기겠네 私は全身に太陽を浴びて 青い空と緑の野がくっつき合うところに 髪の分け目のような野の道に沿って 夢の中を行くように 定めなく歩いていく ただ歩いて行く しかし今や野は奪われ 春さえも奪われようとしている 蝶よ燕よ得意になるな 鶏頭や野の昼顔にも挨拶をしなければ ヒマシ油を塗った人が草を刈ったあの野なども見たいものだ しかし今や野は奪われ 春さえも奪われようとしている 私は全身に草の匂いをおびて 青い笑いと青い悲しみが寄り合う間に 足を引きずりながら 一日歩く 春の神様が乗り移って見え しかし今や野は奪われ 春さえも奪われようとしている                李相和「奪われた野に春は来るか」
  • 2025年2月23日

    2/23

    I have slowly regained my strength since I started living with Sinophone academics. However, I have been consistently downgraded and underestimated everywhere in Vancouver, and I understand that this is the main reason I still haven’t fully recovered. People in Vancouver don’t make sense, but it’s the same—treating a 50-year-old experienced professor from Europe as if they were a child, from every angle, everywhere, all the time. Of course I need help but I also need respect.
  • 2025年2月20日

    2/20

    しにたいような消えたいような 水族館に行きたいだけのような、チューインガム みたいな切なさのために、わたし、死ぬ必要なんってないよ、 口を隠して、鼻を隠して、 世界からわたしを見えなくすればいいだけの、 簡単な自殺をしよう。               最果タヒ「マスクの詩」
  • 2025年2月20日

    2/20

    お父ちゃん ごめん 2キロちょっとしかなくて 小さく生まれてきてごめん 20歳にもなれなくて ほんのちょっとしかそばにいられなくてごめん お母ちゃん ごめん 夜、塾に行くとき携帯の充電切れてて心配させてごめん 船から帰ってくるときも 一週間も連絡できなくてごめん                       陳恩英「あの日以後」
  • 2025年2月20日

    2/20

    あなたは足がなくて行けないけれど幼なじみたちが先に行っている あなたの黒い文字で返事すら書けないあの明るい穴から手紙が来る あなたの子供たちがあなたの前で年を取り あなたより先に輪廻しに行ってしまった所から とっても明るい光のインクで書いた手紙が来る                   金恵順『死の自叙伝』「白夜 五日目」
  • 2025年2月20日

    2/20

    ぼくらがずtっと前に交わしたことばたちは捨てられたのじゃなく 今もあの森の奥深くへとぼとぼ歩いていくところなんです ちょうど今日あたり あの年の夏のことばがそこに到着したことでしょう                     パク・ユジュン「森」
  • 2025年2月20日

    2/20

    患者の容態に関する問題 1111111111111111111・ 222222222222222222・1 33333333333333333・22 4444444444444444・333 555555555555555・4444 66666666666666・55555 7777777777777・666666 888888888888・7777777 99999999999・88888888 0000000000・999999999 000000000・0000000000 診断0:1 26.10.1931 以上 責任医師 李箱
  • 2025年2月18日

    2/18

    広がりゆく弧を描き、まわりまわる 鷹には鷹匠の声がとどかない すべてが崩れうき、中心は保てない まったき無秩序が世界に放たれる               ――W.B.イェイツ「再臨」
  • 2025年2月18日

    2/16

    According to East Asian astrology, this year is a time to sever unnecessary ties, so I believe that if I lose connections with someone now, it means it’s the right time to let go. I am testing which is only for my money. My crafts are “No same. Each is unique.” “No shopping. Only within local businesses. Possibly hand-delivery.” “No $1 shop supplies for the protection of labor rights, fair trade, and the environment.” “All parts, without antiques, are nickel-free. Accepting a exchange due to preferences or allergies.”
  • 2025年2月15日

    2/15

    Mistrex Ara Lavish is The experimentalist exploring self-love and self-esteem through the combination of feminine and masculine energies on stage, as a form of performance art of our life and society. Pronouns Bitch for ABCD or my NAME
  • 2025年2月12日

    2/12

    I went to the waterfront theater on Friday night because a social worker gave me a ticket. The performance was a monologue of Trans life in Brazil. After monologue she asked the audience if her pronouns are “she”or “he.” A person in the audience answered “I always ask for pronouns.” Yes. It’s politically correct. But, No for me. I was a little bit sad, because asking pronouns in a dual gender society means "I know you are not man or woman". From my understanding, the person who answered her question does not have a "Sociological Imagination," ability or strength to see backgrounds of people or phenomena, especially the cultural and historical ones. Brazil is quite a difficult country for trans people, and activists like her are easily targeted by hate, but she came here to perform and tried to let us know how her life looks in her country. I want to respect her as a trans person using “she” as her pronouns.
  • 2025年2月10日

    2/10

    “I am sorry but I am so sad” Someone pointed out my writing about HIV could be hart people who has HIV. I said so sorry. But it’s an irony. I have been with HIV activism since the 90s and still with them. I should add it on my profile. Why people assume I am not positive. Because I am a AFAB? I have been criticized all of my life, “You can’t understand trans, racism, something something something” I am exhausted. People usually say, “You don’t know about North American culture” next. But our country’s education has been colonized by them. We have learned a lot. Research is same. I have taught them as a professional. What is the third? “Your English is not fluent” usually. I am so sorry but I am triggered. Because I am always said “You don’t understand” But I actually quite educated. This gap is killing me slowly every day.
  • 2025年2月9日

    2/9

    Irony has long been a cornerstone of social and political commentary. It can be a powerful way to spotlight issues and provoke thought. I love it and dont want to stop using it. I use irony in my messages because my thoughts and identity are complex. Misunderstandings can happen, but they provide a chance to explain and deepen understanding. I believe in the power of nuanced conversations, and I’m open to discussing how irony works to highlight important issues.
  • 2025年1月19日

    1/19

    六道とは、天眼(てんげん)・天耳(てんじ)・他心(たしん)・宿命(しゅくめい)・神足(じんそく)・漏尽(ろじん)なり。 *** 断食をする人は 諸々の外境を離れるが 味覚は消えぬものだ 主を観たときにのみ消滅する (『バガヴァッド・ギータ―』ニ章、五九) * 心を克服した人にとっては 心は最良の友となり 心を克服できない人には 心は最大の敵となる (六) * まことのヨギーは 万物の中に主を観 主の中に万物を観る 神理を知った者は すべての中に主を観る(二九)
    • 1件のいいね
  • 2024年12月19日

    12/19

    「市場に集まり 何を待つのか?」 「今日 野蛮人が来る」 「元老院はなぜ何もしないのか? なぜ 元老たちは法律も作らずに座っているのか?」 「今日 野蛮人が来るからだ。 今 法案を通過させて何になる? 来た野蛮人が法を作るさ」 「なぜ 皇帝がたいそう早起きされ、 市の正門に玉座をすえられ、 王冠をかぶられ、正装・正座しておられるのか?」 「今日 野蛮人が来るからだ。 皇帝は首領をお迎えなさる。 首領に授ける羊皮紙も用意なすった。 授与する称号名号 山ほどお書きなすった」 「なぜわが両執政官、行政監察官らが 今日 刺繍した緋色の長衣で来たのか? なぜ紫水晶をちりばめた腕輪なんぞを着け、輝く緑玉の指輪をはめ、 みごとな金銀細工の杖を握っているのか?」 「今日 野蛮人が来るからだ。 連中はそういう品に目がくらむんだ」 「どうしていつものえらい演説家がこないのか? 来て演説していうべきことをいわないのか?」 「今日 野蛮人が来るからだ。 奴等は雄弁、演説 お嫌いなんだ」 「あっ この騒ぎ。おっぱじった。なにごと? ひどい混乱(みんなの顔が何とうっとうしくなった)。 通りも辻も人がさっとひいて行く。 なぜ 皆考え込んで家に戻るんだ?」 「夜になった。野蛮人はまだ来ない。 兵士が何人か前線から戻った。 野蛮人はもういないとさ」 「さあ野蛮人抜きでわしらはどうなる? 連中はせっかく解決策だったのに」                         カヴァフィス『野蛮人を待つ』
  • 2024年11月21日

    11/21

      めぐりあい 小径のほとりで あのひとにめぐりあう あのひとの夢は水を濁さず ばらの花は開かなかった 驚きがわたしの魂を裂いた かわいそうな女の顔は 涙に濡れた さりげない口もとに 軽やかな歌があった わたしをながめその歌は 重苦しい歌に変った 小径をながめる 見なれぬ うつろな小径があった 陽の光まばゆく この顔は 涙に濡れた 歌い続け歩き続け わたしの視線を運んでゆく うしろに寄りそう花サルビアは もはやのびやかでなく蒼くなかった かまわない わたしの魂は 風にふるえた 誰に傷ついたのでもなく この顔は 涙に濡れた 今宵のわたしのランプのしたに あのひとはいなかった あのひとは知らない 甘松香(モスク)の花の匂い あの胸に わたしの悶えは突きささらない えにしだの香はたぶんあのひとの 夢に浸みていくかもしれない あわれな女のこの眼は 涙に濡れた ひとりぼっちは恐くなかった 飢えて渇いて 泣かなかった あのひとの行くのを見てから 心のなかの 神さまが わたしを傷に包んでしまった 寝間のうち わたしのために 安んじて祈る母の祈り いつまでも たぶんこの顔は 涙に濡れる                          ガブリエラ・ミストラル
  • 2024年11月16日

    11/17

    人生は過ぎゆき 引き戻そうとする者は 原始の糸玉に入り込む。 荒っぽいやりかたでも生き残りたいのなら 自分がずっと大切にしていた物を どこに隠すことができるだろう?                      モンターレ「転変、言語、つかのま」
  • 2024年11月14日

    11/15

    あの人をどこに葬ったのかわたしは知らない この膝にあの人の重みを感じない、 あの人を何で包んだのか わたしのこの両腕は役に立たない、 あの人にどのような死出の支度をしたのか わたしは知らない もし わたしの髪が元のままならば。 どのけがれた墓穴にあの人を納めたのか あの人の春の芳香とともに。 闇の中でまさぐりながら 岩々のあらゆる割れ目を 狂った女がひっかきまわさないことを人々は望んでいる、 泉のように あの人の全身を まず飲み込んで やさしく包むのが 必要であるならば!                  ――ガブリエラ・ミストラル『死のソネット』
  • 2024年11月14日

    11/14

    いざ行かむ 行きてまだ見ぬ 山を見む このさびしさに 君は耐ふるや                                   若山牧水
  • 2024年11月13日

    11/13

    パイナップルも竜舌蘭も まだ知らない、阿児よ、 わたしの胸に抱かれて、 いくつもの血の柘榴を循環させている おまえの血ではなく 受け入れた血で鼓動している、 そのように眠りながら、 母乳と血でこれほど完璧なのだ。 血の、光と 反射光を産み出す結晶体、 わたし自身の血で わたしを照らし出す きらめくランプ。                           ガブリエラ・ミストラル
  • 2024年10月5日

    10/6

    Why London at night is so beautiful, because the clutter of daytime is hidden and it is just rows of lights. The real reality is a dead asheshell.                ――Thomas Ernest Hulme,“Further Speculations”
  • 2024年10月5日

    10/5

    Perhaps these women want to go at night, on horseback, embraced by the shadows. Through the darkness and emptiness... ――Ismail Kadare “Who brought Dornchina back”
  • 2024年9月24日

    9/24

    Troy sinead o'connor I'll remember it in Dublin in stormrain and sitting in the long grass in summer keeping warm I'll remember it every restless night we were young then we thought that everything we could possibly do was right then we moved stolen from very eyes and i wondered where you went to tell me, when did that night die? you will rise you'll return the phoenix from the flame you will learn you will rise you'll return being what you are there is no other troy for you to burn and i never meant to hurt you i swear i didnt mean those i said i never meant to do that to you next time i'll keep my hands to myself instead oh, does she loves you? what do you want to do? does she need you like i do? do you love her? is she good for you? does she hold you like i do? do you want to me? should i leave? i know you're always telling me that you love me but just sometimes i wonder if i should believe oh, i love you god, i love you i'd like a dragon for you, i'll die but i'll rise and i will return the phoenix from the flame i have learned i will rise and you will see me return being that i am there is no other troy for me to burn and you should've left the light on you should've left the light on then i wouldnt have tried and you'd never have known and i wouldnt have pulled you tighter no, i wouldnt i have pulled you close i wouldnt screamed, "no, i cant let you go" if the door wasnt closed no, i wouldnt have pull you to me no, i wouldnt have kissed your face if we hadnt been there in the first place oh, but i know you wanted me to be there, no, no, no,oh every look that you threw told me so but you should've left the light on you should've left the light on when the flames burn away but you'll are sptting fire make no difference what you say you're still a liar you're still a liar you're still a liar *** At first I thought it was a song about a lover. Eventually I thought it must be about my mother. When Sinead died, I thought for sure it was. I thought she'd be confused by her mother for the rest of her life It's a terrible life. It's not too much to abuse Sinead and have her die in a car accident. It's beyond saving.
  • 2024年9月16日

    9/16

    「笑い」 ジョルジュ・バタイユ 笑え、そして笑え 太陽を 棘草(いらくさ)を 石を 家鴨を 雨を 法王の小便を 木乃伊(ミイラ)を 糞で満ちた棺桶を[Ⅳ 13]
  • 2024年9月13日

    9/13

    ソウルのイエス      鄭浩承   一  イエスは釣り糸を垂らし漢江に座っている。川のほとりで焚き火をたき、イエスは濡れた服を乾かしている。野の草は日ごと人間の刃に刺されて倒れ、草の花のような人間は一花咲かせて散るのだが、人間が美しくなるのを見ようと、イエスは冬の雨に濡れながら西大門刑務所の塀にもたれて泣いている。   二  酒に酔った夕方。地平線の向うへイエスの長い影が越えていく。人生の冷や飯を食わされたイエスの背中に、すばやく三日月が浮かぶ。苦痛の中に溢れる平和、涙の中に慕わしい事由はあるだろうか。ソウルのパンと愛と、ソウルのパンと涙とを思い、イエスは一人タバコを吸う。人の露と消える人を見て、人びとが砂を噛みながら眠る夜、落ち葉たちは遠く旅立つためにソウルにしばし留まり、イエスは絶望の果てへ歩いていく。   三  喉が渇く。ソウルが得静まる前に、人間の夢が先ず眠ってしまい、喉が渇く。灯火をもって歩く者はどこにいるのか。ソウルの野の道は見えず、夜毎に灰の上に座り込んで外套を引き裂き泣く者よ。銃声が聞こえ、雪が降り、愛と信じない。懐かしい人、懐かしい君たち、私と一緒に杯をとれ。雪の降るソウルの夜空のどこにも、私がしばらく頭を休めるところはない。君たちは私と一緒に杯をとれ。杯をとり闇の中へ、この世の切っ先を避けながらも胸に切っ先を受けて倒れた君たちは、雪の止んだソウルの夜の雪道を歩け。まだ悪人の野火は消えず、ソウルの夜明けに耳を傾ける静かな人間の耳は草露に濡れ、喉は渇く。人間が眠りに就く前にソウルの夢がまず眠ってしまい、ああ、喉が渇く。   四  人の杯を飲みたい。思い出の美しい人に会い、焼酎杯を交わし涙のビンデトクを共に食べたい。花びらが一つ、刃のように落ちる春の日、草の葉を擦る人の衣の裾の音を聞き、心の国より人の国に住みたい。明け方ごとに人の灯火が消えないよう、ソウルの灯に一人火を入れ、貧しい人の窓にもたれソウルの慕わしさを懐かしみたい。   五  私に侍る者は悲しく、私を悲しむ者は悲しい。私のために喜ぶ者は悲しく、私のために悲しむ者はさらに悲しい。私は私の隣人のために苦しまず、貧しい者たちの星を眺めなかったのに、私の名を切に呼ぶ者は不幸であり、私の名をひたすら愛する者はさらに不幸である。
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  • 2024年8月29日

    8/29

    こどもがおもらしする姿は なんてさまになるんだろう ハナをたらしたこどもの姿は なんてさまになるんだろう わたしはうらやましくてしかたがない あんなふうによだれをたらして みにくい姿で 母親をはずかしめてみたい あのころ なぜ  彼女の乳首にかみつかなかったのか 白くて まるくて やわらかい あれは たべものだ
  • 2024年8月25日

    8/25

    あまりに暇なので整理箱を開けたら懐かしい大学ノートやその切れ端が出てきて あまりにも暇なので20代くらいの自分の言葉を読んでいたら恥ずかしいやら お、これはいいぞ、と思うような作品が出てきたので 詩や短編小説のジャンルはおいといてささやかにこっそり発表する そしてあまりにも暇なのでデータ化しておいた(アホな自分) (けれどわたしは「詩人や小説家になりたかった」とは決して言うまい) 「無題」 わたしのなかでコトリ、と音がした。 今までの生活が 幻のように消え去り 静かになった。 バスに乗ろう。あの町へ行こう。 そして私は家の前で立ち止まる。 長いこと帰らなかったはずなのに、今朝でてきた時の 足跡が見えたような気がした。 家の前を通り過ぎ 雪野原に目をやる。 地平線の上を 小さな電車が 肩を落として走っていく。 写真をとろう。 壊れた街灯。 溶けかかった太陽。 雪から頭をのぞかせた 一本の すすきの穂 はるか昔 私が故郷と一緒に捨てた哀しい 忘れ物。 そんな写真をとろう。 心のなかで決して 着古した演歌のようなフレーズを 思い起こすまい。 そのなかに すでに答えがかくされているような そんな疑問は抱くまい。 分かりきっていることだ。 そして ひとしきり写真をとったら わが家へ帰ろう。 ドアを開ければ そこには いまはもういない家族たちが 幻の食卓を囲んで 笑っていることだろう。 冷え切った夕餉が湯気を立てていることだろう。 私は幻の子どもに帰って 昨日のように ドアを開けよう。 怒ってなんかないよ。誰も。 みんなお前を優しく迎えてくれるさ。 泣いたっていいんだ ぼくは子どもなんだから。 あったかい母さんのすがりついたって いたずら子犬のひげをひっぱったって みんなきっと許してくれるよ。 だから ほら 早く ドアを開けなよ。 ドアの向こうの 燃えさかる海へ。 みんな ただいま。 ただいま。 ただいま。
  • 2024年8月23日

    8/23

    廃嫡者(エル・デスデイシャドー) 私は冥き者、――妻なき者、――慰めなき者、 崩れはてた塔に住む、アキタニアの君主。 私の唯一の星は死んだ、――星ちりばめられた私の琵琶には 「憂鬱」の「黒い太陽」が刻まれた。 墓の夜の中で、私を慰めたお前よ、 返してくれ、ポシリポの丘とイタリアの海と、 傷ついた私の心を、あれほど喜ばせた花とm また、條々が薔薇に絡まる葡萄の棚を。 私は愛(アモール)か神(ポイポス)か、キプロス王かヴァロワ公か、 私の額は、今もなお、女王の口づけに赤らむ。 そして私は二度勝ち誇って地獄の河を渡った。 オルペウスの七絃琴の上で、父がかわるがわる 聖女の吐息と妖精の泣き声とを奏でながら。                          ネルヴァル『火の娘たち』
  • 2024年8月9日

    8/9

     危機のときはたいていそうであるように、「アンドロメダ病原体」をめぐる出来事は先見の明と愚かさ、無心と無知がまじり合って起きた。それに巻き込まれた者のほとんどが、このうえなく輝かしい時を経験し、同時に途方もなく愚かしい時をも経験した。従って、この出来事について何か書けば、かならず関係者の誰かを傷つけることになる。  それにもかかわらず、この話は語られなければならないと思う。わが国は人類史上最大の科学機関を維持している。絶えず新しい発見がなされ、それらの発見の多くが重要な政治的・社会的含みをもつ。近い将来、われわれは「アンドロメダ」と同種のもっと大きな危機に見舞われるかもしれない。このようなわけで、科学的危機が生じる過程とそれへの対応を一般の人びとに知ってもらうことは無駄ではないと信じる。 ――マイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』
  • 2024年7月16日

    7/16

    精神科医:独房はどうかい 被告人:快適よ 歩いたり読書したり     今は『スパイの名士たち』を 精神科医:最近 君自身や周りで何か変わったことは? 被告人:特にないけど     彼が話してくれない 精神科医:彼って?      重要な問題?      なぜ笑う? 被告人:さあ 精神科医:話す相手って?      話したい人が? 被告人:たまに話すの     ウィニファーよ     父親だと署名した     V・ユゴー通りで     彼を父とする署名を 精神科医:君は彼の声を聞いた? 被告人:話したんだってば 精神科医:どんな声をしている? 被告人:“わが子よ”と言うの     私も“父さん”と 精神科医:どんな話を? 被告人:“落ち着け 必ず解放される”と     心配いらないって 精神科医:俺がわかる? 被告人:ええ 精神科医:君の名前は? 被告人:ウィニファー     オットー・ウィニファーの娘 精神科医:でも身分証には何と? 被告人:ヘプナロヴァ―     そう呼ばれてる 精神科医:ヘプナル家で育った? 被告人:ええ 精神科医:母親は本物だろう? 被告人:さあ 確かなことは…     父はバチカンにいる     バチカンのCRV     秘密警察よ 防諜組織なの 精神科医:なぜ父親が違うと隠してた? 被告人:知らなかったもの     言えないわ 精神科医:よく話すのか? 被告人:週に2度は 精神科医:君も話をする? 被告人:ええ 精神科医:大声で? 被告人:聞かれないよう 小声で     ときどき父が歌うから悲しくない 精神科医:君は悲しい? 被告人:そうね 精神科医:なぜ? 被告人:わからない     悪かったと…     彼らに悪かったけど     同情しない理由が必要だった     今はわかる     ゲームの一部だったの 精神科医:どんなゲーム? 被告人:全部はわからない     でも すべきことはわかってた     自白よ 精神科医:犯してない罪の? 被告人:犯してない?     私がやったわ ウィニファーが 精神科医:罪を犯したのは どっち? 被告人:ヘプナロヴァー     でも罰は私が受けた 精神科医:彼女が言った… 被告人:やめて またやるなんて言ってない 精神科医:そうじゃない      彼女は前に死刑を望んでた      世に知らしめるために      君はどう思う? 被告人:たとえ吊るし首でも     私は死なない     父が助けてくれる        『私、オルガ・へプロブナヴァ―(Olga Hepnarova、1951~1975)』
  • 2024年7月14日

    7/14

    もしわたしが死ななければならないなら あなたは生きなければならない わたしの物語を語るために わたしの物を売るために 一片の布切れと 少しの糸を買うために (仕上がりは白く、長いテイルの、尾の付いたものに) ひとりの子どもが、ガザのどこかで 天国をじっと見つめ 炎のなか去った父親を待つあいだに ー 誰にも別れを告げることなく 自身の肉体にさえ おのれ自身にさえも 別れを告げなかった父親を ー その子が、凧を見つけられるように、高く舞い上がる、あなたが作ったわたしの凧を そしてきっと思う、その瞬間天使がそこにいて 愛を注ぎ返してくれると もしわたしが死ななければならないのなら その死に希望を運ばせて その死をテイルに、物語にするのです         "もしわたしが死ななければならないなら、物語にしてください"            リフアト・アルアライール(Refaat Alareer : 1979~2023)
  • 2024年7月10日

    7/10

    俺は貧乏暮らしに慣れてきた  金がないと嘆いたことはない 金などあっても もし世界中の金が俺の手にあっても 何をしてくれる この俺の苦しみを この俺の孤独さを ドミニク・ラピエール/ラリー・コリンズ『さもなくば喪服を: 天才闘牛士エル・コルドベス』
  • 2024年7月2日

    7/3

    僕は見た 凶器によって破壊された僕の世代の最良の精神たちを 飢え 苛立ち……             アレン・ギンスバーグ『吠える』
  • 2024年7月2日

    7/2

    壁 こころ遣いも憐みも毛ほどなくて、 恥知らずめ、ぐるりと私を壁で囲んだ。高く厚い壁――。 今は希望をなくし、中で腰を落とす私。 運命が私をさいなむ。思いつめる、私の悲運を、ただ一筋に。 外へ出られたら、あれもしたく、これもしたい。 壁を作られた時に気づかなんだ私の迂闊さ。 だが、築く気配もなかったので、音一つなかった。 こっそりと私を外界から閉め出した奴等め。           コンスタンディノス・カヴァヴィス(訳:中井久夫)
  • 2024年6月16日

    6/16

    S社主催のファンタジーノベル大賞に、やっと原稿を送付した。 がしかし、PDFでメールフォームに添付するのではない。もっとクラシックなものだ。これがけっこう大変だった。そもそも原稿枚数が300~500であり、紙に印刷して郵送するとなるとかなりかさばるのだ。 S社は世襲制なこともあり(K社もそうだ)、応募者のことを配慮してないのか、あるいはSDGsは無関係なのか、いまだに紙文化がメジャーである。自治体も真っ青だ。 そのうえ、コンビニのマルチコピー機はそうとう複雑で、最初わたしはあわあわした。完全に負けだった。その後、ネット検索して(店員には絶対に聞かない。忙しそうだから)予習をみっちりしてコンビニに向かったが、冒頭だけPDFがちゃんと保存されてなくて、結局手書きの原稿用紙に書いた。指が痛かった。 わたしの小説は長くても100枚前後である。しかも数年構想して執筆は数か月だから、結局はこれも200枚に至らなかった。どうしよう? とりあえず、既定の原稿用紙に印刷して送付した。 これが受賞しなかったら、カクヨムで公表したいと思う。KADOKAWAさん、いいよね?
  • 2024年1月21日

    1/21

    […]北欧神話のオーディンは聖なるユグドラシルの樹の根元にあるミーミルの水を飲んで智慧を得るが片目を失う。また、ルーン文字の秘密を知るために樹で首を吊り九日九晩晒して自らを捧げ最高神となる。大切な何かを捧げる代わりに聖なる力を得る。ここでは「失う」は「得る」ことであり、「欠ける」は「完成させる」というパラドックスが成り立つ。聖書では「めしい(盲目)」「足なえ」などの障碍は神の御業としてすでに聖列され、キリストの奇跡の証しとなる。こうした「障碍=聖列(聖化)」はラーゲルクヴィストやラーゲルレーヴの作品にも見受けられる。詩中では「盲目の詩人」は奇跡をもたらし、「僕たちはその神聖さに言葉を失」うとあり、即ち「聖化された詩人」を意味する。そして同様に、アニアーラ(フィンランド語で「無」を意味する)号は不慮の事故により軌道をはずれ修正不能となることで「聖化」され、永遠の宇宙という「聖地」へ旅立ったのである。      『アニアーラ』ハリー・マーティンソン 児玉千晶訳 「訳者あとがき」
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