• エッセイ・ノンフィクション

9/11

いわしの集団のなかで泳いだことがあります
夏の真さかりの、まだ五センチくらいの小いわしの群れが
浜辺まで近寄って来ることがあるでしょう

しかし、わたしが思い浮かべていたのはlifeということばでした
泳いでいると妙なことを考える

その真ん中にいるのにさわれないんですよ、lifeは――

わたしはもどかしい、わたしはさわれなかった
あれがlifeなんだ、今こそ悟る
あれがlifeなんだ




                      衣更着信『孤独な泳ぎ手』

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