貴方は隣に住む人が、果たして同じように生きている、つまり、貴方と同じ意識があると言えますか?
…言えないんですよね。
哲学的ゾンビというものがありますが、あれが示すこととは、人は誰しも他の人が同じ意識を持つかを知り得ないということ。
私たちは私というもの以外の、私に対して無知なんです。
人に努力を要求してしまうのは、教えている相手がどのような難しさを抱えているかを知り得ないということに気づいていない、自らの無知を自覚していない状態。これこそ無知の無知なのですよ。
今まで伝わってきた無知の知は余りにも、無知の自覚のない人間が解釈してしまったのでしょう。無知を自覚し、謙虚に学び続ける態度というのが伝わっていますが、学び続けるのが難しい人間、無知を自覚するのが難しい人間、謙虚な姿勢というものを習得するのが難しい人間等々様々な困難さを持つ人がいるのに、自らの無知をまるで理解していない人でないとこの言葉は出ないでしょう。
本当の無知の知とは、自分以外を知り得ないということを学んだ事により初めて無知を自覚出来る。これが真の無知の知なのでしょう。
出来ない人に、出来るように努力することを求めてはならない。なぜなら全ての人は、必ずしも自分のようにできる訳ではなく、自分と相手は何もかもが違い、それを自分は知り得ない無知であるから。無知の知は、この無知に気づくことから始まる。
人は自ら以外を知り得ない無知なのである。