■あらすじ
正しく直すって、なんだっけ。町の修理屋には今日も依頼が来る。
少し先の未来。
古い街並みと新しい技術が同居する旧市街に、町の修理屋「ナオシヤ」はある。
止まった古い扇風機。
送信済みなのに、声だけ届かないメッセージ。
演奏を止めたところに、知らない誰かの下手な鼻歌が混じる録音。
部品の消耗か、AIの不具合か。それとも、別の何かがいるのか。
好奇心旺盛な技術担当のシエラと、店主ハンク、ミラ、ノア。機械を調べ、話を聞き、ときには依頼先へ出向きながら、持ち込まれる困りごとに向き合っていく。
古い機械、新しいAI、魔法、そして説明のつかないもの。
一つの依頼が一区切りするたびに、ナオシヤの面々のことも少しずつ分かってくる、町の修理屋の連作物語です。
■ナオシヤの面々
【シエラ】
ナオシヤの技術担当。頭の回転も手も速い、ひょうひょうとした天才肌。
軽口をたたきながらも、作業はきちんと確かめる。ただ、気になるものを見つけると、自分で調べずにはいられない。人に任せるのは、少し苦手。
【ハンク/おやっさん】
ナオシヤの店主。元・王立応用技術院の最高技術監という経歴を持つ、頑固なベテラン技術者。
雑な仕事には口うるさく、褒めるのも苦手。そのくせ、周りの面倒はよく見ている。近所では、昔の肩書きより「ナオシヤのおやっさん」で通っている。
【ミラ】
ハンクのところに居候している、スピリチュアル好きの姪。
不思議な話になると、途端に目が輝く。一方、AIの処理や記録の食い違いを前にすると、真剣な顔で考え込む。興味のある話では、おやっさんにも遠慮なく質問を重ねる。
【ノア】
ナオシヤに顔を出す、生意気で負けず嫌いな子供。
年上にも遠慮がなく、シエラにも平気で絡む。口は悪いが、嬉しいときは顔に出るし、助けられれば照れながら礼も言う。怖いときほど、平気なふりをしたがる。