神格鑑定局の二作目となる「外口信人の平常業務/天幕の月下美人」を公開してからおよそ一週間が過ぎた。
公開以来、ずっと漠然とした不安を抱いていた。
それを言葉にするのは難しかったが、この一週間、小説を読みなおし、次作について構想し、他の方の創作に触れる事で、ようやく思考を整理することができた。
まず、先日公開した天幕の月下美人は、あまり良い作品ではなかった。
一度公開した作品を作者自身がこのように評価することは読んでくださった方々にとって失礼な行為だが、間違いは認めなくてはならない。
思えば、書いている最中から不安を抱いていたと思う。本当にこの作品は面白いのかと。
一作目の「神格鑑定局の平常業務」を書きあげた時ほどの自信はなかった。
私は自分の作品に自信を持てないまま「最後まで書いたのだから立派だ」と自分に言い聞かせて、天幕の月下美人を公開した。
最初の読者である自分自身を納得させないままに。
悔やむばかりだが、これは有意義な失敗だったとも思う。
学ぶ点は多かった。
筆者は神格鑑定局の物語を描くにあたり、外口信人という主人公を用意した。
そして、「前半で一般人たちが異能存在に翻弄される」「後半で現れた外口が粛々と鑑定業務を実行する」というテンプレートを構築した。
一般人から見た異能存在、プロの鑑定士から見た異能存在、二つの視点を用意したのは、我ながら良い案だったと思う。
同じような形式で神格鑑定局の作品を書いた方も多いだろう。
しかし、複数の視点で群像劇めいて物語を描写することは、まずシンプルに難易度が高い。一人称視点ならばなおさらで、思い返すと、外口以外の視点を描くのにかなり苦労した覚えがある。
この形式だと主役の登場が遅く、冒頭で"掴み"をしづらいのも問題だ。
私は前半の語り部たちに魂を込める事ができていただろうか?自信はない。本当に悔やむばかりだ。
バディとして用意した伊具奈岐 真言もとっ散らかせてしまった印象がある。
外口とはタイプの異なる新人鑑定士、戦闘能力はあるが戦闘での出番はあまりなく、そして普通の鑑定業務とは別に、外口と伊具奈岐のコンビの交流と成長も描かなければならない。
これは、それなりに上手く行ったとは思うが、もっと上手い書き方ができたのではないかとも思う。
そもそも、一つの事件で完結する中編ではなく、ちゃんと長編を通して描くべき事柄だったのかもしれない。
悩ましい。
そして次回作の構想。
こういった神格を用意したい、こういった事件を描きたいというのはたくさん思い浮かんでいるのだが、ここでは先述の「一般人視点→外口視点」のテンプレートばかりではなく、「平常業務」という名前そのものが縛りになっている。
「いや、この事件はもう平常業務というレベルではなくないか?」という悩みだ。
それで筆が止まっている。どう考えても間違いだ。
正直、私は迷走に片足を突っ込んでいたと思う。
だが、それを自覚することができた。
この失敗を生かし、また次の作品に活かしたいと思う。
書きたいことは多いのだ。