やれやれ完結した!
ここからはちょっと後書きみたいなものを。
切っ掛け
SHINeeの万能鍵、KEYくんのソロワーク「Pleasure Shop」のSF的なコンセプトに触発されて。
「自分をモデルにしたAIが自分に悪意を向けたらどうなるか」「喜びを与えるふりをしてそれを奪っても罪悪感を持たない存在とは」という、ある種思考実験に近いコンセプトを持った曲で、そのことが頭の片隅にあり「死んだ人間の記憶や意識を引き継いだAIがいたとしたらそれはその当人と言えるのか」ってところに意識が飛び、死んだ人間をモデルに人工生命を作るとしたら倫理的な障壁はないのか?等考えてるうちに小説にしてみたくなりました。
第8話「少し冷たいと思ったが、それは気のせいだと思い直してその手を握った。」って一文は、Pleasure Shopの「내밀어 준 두 손 끝이 조금 차가워도 기분 탓야」って歌詞のまんまです。
色々思考がとっちらかった状態になってから書き始めたので「Pleasure Shop」からはかけ離れてしまいましたが、これをきっかけに一人でも多くの人がこの曲を聞いてくれたらそれに優る僥倖はございません。
ポップで明るいハウスミュージックながら歌詞やMVのそこここに不穏さが漂う曲です。
特にサビの「You're welcome」の繰り返し、中毒性すごい。
https://m.youtube.com/watch?v=LgQRl5qED6c
もしこれが気に入ったら前作の「Good & Great」も是非。日々頑張る社会人に絶対刺さります。
今まで現代を舞台にした日常ものなら書いたことがあるけど、近未来SFで何が大変で楽しかったかって、世界観の構築。
基本今とそこまで変わりないけど今より少しだけ便利、そして地球環境の悪化を抑えるため今よりも緑化が進んでいる。そんな世界です。
スマホなんかももうその頃にはないんじゃないかと思ったけど代替になるようなものが思いつかず。
あるとしたら二つ折りスマホをもう少し小さくしたようなデバイスかなと想像してみました。ホログラムみたいなもので画面が拡大できたりする。
そしてレプリカの描写思いの外手こずりましたね。
感情的な受け答えをする、しかし心がない存在ってものすごく頭使う。
創作作品のロボットって当たり前みたいに心があるのが多いけど、その方が断然書きやすいからだなこれ。
でもレプリカに心があるとこの作品自体成立しなくなるので……。
参考になったのは三原ミツカズ先生の短編「集積回路のヒマワリ」です。
三原ミツカズ先生は近未来SFも数多く手掛けられてますけどあの世界観は素晴らしいのでぜひ一度お読み頂きたい。
あと、感情AIに関する本もすごい読みました。
今どの程度まで研究が進んでいるのかとか。何をもって感情というものを定義するのかとか。
専門書ってお値段張るから図書館通いしました。
我が自治体ありがとう。
平野啓一郎さんの「本心」もシチュエーション的に被るなと思ったけど書くのに精一杯でまだ手を出せてません。早く読みたい。
書いてる最中に「死者とテクノロジー」なんて本が出たりして心乱されました。お高いし図書館にはないし。
本編の章題は二字熟語で揃えたけど第1話とエピローグだけは違えてます。
ピンと来た方も多いでしょうがどちらも室生犀星の小説から頂いてます。好きなんです、室生犀星。
キャラメイキング
高塔心陽と野田美琴
この年頃のある種の少女たちの、彼氏より家族より強い絆を持つ親友同士という関係を書きたかった。
お互いに対して恋愛感情ではないけれどそれに近くてそれより強い友愛を持ってるような。
個人のパーソナリティーでなく関係性に焦点を当てたかったので特に特徴のある少女ではないです。
パフェ食べてはしゃいでおそろいのネイルでテンション上げる、普通の少女たちです。
竹内
マッドサイエンティストはSFの華ってこともあるけど「Pleasure Shop」の「人に喜びを与えるふりをして喜びを奪っても罪悪感を覚えない存在」が人工的な存在である必要はないなと思って。
ていうかそういう奴おるよね!
そういった人も恐らく親しい人や身内に対しては普通の人なんだろうけど、竹内は全方位に対して罪悪感を持たないサイコ野郎にしてみました。というか、書いてるうちにいつの間にかそうなった。こんなバケモンになるはずじゃなかったんだけどなぁ。
ぶっちゃけ書いてて一番楽しかったのも一番お気に入りもこいつ。
ムカつく、イヤ、怖い、嫌いと思ってもらえたら幸いです。
佐伯
竹内と対極の存在。
助手という立ち位置に、人工生命の存在に激しく嫌悪と罪悪感を覚える、倫理の権化のような人間性を置きたかった。
あと、レプリカのフォロー役でもあるので彼女がいなくなることでバレに繋がりやすくする意図もあり、途中リタイアさせるには倫理感に押し潰されて貰う必要があった。
6話後書きにも書いたけどキャラメイキングにはカトリックの友人が監修して下さいました。
ゆるしの秘跡等も彼女のアイデアです。
ほんとにありがとう。
教会のシーンでもいっぱいアドバイスもらいました。
あなたがいなければ書き上げられませんでした。ありがとう。