窮救の野薔薇を読んで頂き、
ありがとうございます。
誠に勝手ながら、第一章のラストを改編致しました。
改編前…
マリーナは、深く息を吐き、
その場で小さくしゃがみ込む。
「……領主って、大変ね……」
ガルムは、何も言わず、
その一歩前に立った。
いつもの位置。
守るための距離。
その背を見上げながら、
マリーナは、ほんの少しだけ笑った。
改変後…
マリーナは、深く息を吐き、
その場で小さくしゃがみ込んで囁く。
「ねぇガルム…お願いがあるの。」
「いかがされましたか?」
「撫でて。あの日の夜に、優しく頭を撫でてくれたように。」
新たな領主は、
1人の少女としてお願いをする。
「『よくやったよ。
すごいじゃないかマリーナ。』
って安心させて。」
ガルムはすぐには動かなかった。
盾としての役割を、
すべてを一度、胸の奥に仕舞う。
そして、一歩。
いつもの半歩前ではない。
守るための位置でもない。
ただ、人として近づく距離。
ガルムは膝を着き、少女の頭に触れる。
大きな手が優しく、力なく頭を撫でる。
捕まえるためでも、導くためでもない。
大きなことを成し遂げた孫を褒めるように。
そこに在ることを確かめるように。
「……本当によくやったよ」
低く、穏やかな声で。
「すごいじゃないか、マリーナ」
それだけだった。
だが、その一言で、
少女の肩から、目に見えない重さが落ちた。
「……よかった。」
小さな声。
領主としてではない、少女としての声だった。
ガルムはまた、沈黙する。
頭を数度撫でてから、静かに離した。
「ありがとうガルム。」
少女は立ち上がり、また領主に戻る。
そして同時に――
「ここにいる」一人の少女は、
「ここに立っていい」と、確かに認められた。