灯ル

大学一年の春。 新しい生活の記録として、一冊のノートが書き始められる。 授業のこと、食堂のこと、静かなキャンパスのこと。 どこにでもある日常の断片。 ただひとつ気になるのは――「…

友人の不可解な自死を取材しに行ったフリーライターが、 友人のものと思われる“ひとつの日本人形”を拾った――。 以来、彼の日記には、 誰にも説明できない音、匂い、影が記されていく。…

喫茶店の呼び間違いから始まった“名の抜け”は、コインランドリー、理髪店、図書館、集合倉庫、そして寺の鐘楼へと波紋のように広がる。白で白を刷る□ラベル、四つの釘穴、黙った鈴、角が欠…

頼まれごとを断れない“僕”は、寺の息子・蓮見先輩と出会い、怪異×日常の継ぎ目へ踏み込む。合図はいつも同じ――チャイムや通知が短→長で二度鳴り、一本の足音が近づく。原因は目に見えな…

非常勤講師・羽佐間のもとへ、宛名のない封筒と白い正方形の紙が届く。 紙の四辺には間を空けた仮名──「し　ず　の」「う　し　ろ」「よ　り」「の　ぞ　く」。 中央には小さな□。 手順…