石山 京

　ある日突然、人々がエニグマという化け物に変異した。それと同時に、一部の人間たちには異能力が宿った。メシアと呼ばれるようになった彼らは、安全圏を築き、日々エニグマと戦っている。 …

最後まで読むと少し怖い。 意味がわかると怖い。 そんな短編集。

　幼い頃に家族を亡くした少女、ハクは大陸最強の魔法使いに引き取られ森の中の小屋で暮らしていた。 　何の目的もなく魔法の勉強をしながら過ごす日々の中、師匠となった魔法使いに魔法学園…

　私の主人は他人の心の解らぬ人でした。子爵家当主としてそれが褒められるべきことか貶されるべきことか、それは一概には言えないでしょう。しかしながら結果として子爵のその特徴は、特長で…

最愛の人が死んだ

　魔王は斃された。 　天界と下界の狭間で、神と勇者と大賢者が死闘の果てに滅ぼした。 　黒く染まっていた空には数百年ぶりに日が顔を見せ、世界各地で歓喜の鐘が鳴り響いた。 　勇者は…

「狐の嫁入りって、狐がかわいそうだよね」 　二人で一つの傘をさしながら、彼に私は言った。 　夕茜が私たちを照らして、それでも雨は降っていた。 「お嫁に行くときは絶対に雨が降…

「おへそは大事なんだよ、鳴《なる》くん」 高校生の鳴が一つ上の先輩、窓に雨が打ち付け雷も光る中、水涼と同じ部屋で静かに本を読んでいると、彼女がふとそう言った。困惑する鳴をよそに話…

　人間の持ち得る才能のティア表。その頂点に君臨するのは努力の才能である。それを、大学四年である三上勇心は痛感していた。 　大学の研究テーマ決め。教授に急かされても一向に決まらない…

　ソフィアが働いている雑貨屋の店主はちょっとちっちゃくて、そこそこ変わり者で、かなり優しい。 　輝く銀髪に透き通るような碧眼。見た目は小さな子供のような店主さんだが、その実彼女は…