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07 戦うための術 続き

最後の異世界転生譚 ――Echoes Beyond the Aurora Manuscript――
https://kakuyomu.jp/works/16818622171006782162


48話 お前の足止めは俺だ
スペルアベル平原でダラクの策が炸裂する。ガントールは地盤ごと崩落し、穴の中で無数のトガに囲まれる。地上ではウツロがダラクと対峙。
苦戦の末、ウツロがダラクに頭突きを食らわせ追い詰めるも、最終局面で凍てつく魔術が発動。ウツロは全身を凍りつかされ、動きを封じられてしまう。

ずっと火の描写をしていたダラクは伏線というか前振りでした。

「角が折れる」「喉が露出する」など身体的な危機の描写に加え、熱・冷気といった感覚描写が視覚と温度感を強く伝える。鋭く張りつめた戦闘描写の中に、「角がぱきりと折れる」といった生理的なリアリティがあることでハラハラします。
どんな攻撃も効かないんじゃ見ごたえがないので、怪我するときは怪我して、割と脆く描写しています。

49話 ふざけてやがる
ウツロの動きを封じたダラクは、彼の首をもぎ取り勝利を確信する。だが、魔導具であるはずの鎧の内側に、挑発的な呪術文様が刻まれていたことに気づき、好奇心と悪意から「深淵」を覗き込む儀式を行う。
ウツロの精神領域へと意識を飛ばしたダラクは、果てしない灰白の空間と無限に続く扉に遭遇する。そこに存在する魂の気配に辿り着いた彼は、さらなる奥へと踏み込んでいく。

緊張感のある戦闘シーンがサスペンスに移行。
精神領域に入ってからは文体もシフトして、冷徹な詩的さで描写。


50話 ふふふ
精神世界を探索するダラクの視点が描かれ、異常なほど整理された空虚な領域に違和感を覚えながらも進んでいく。そしてついに、謎の硝子扉の奥で、「ふふふ」と笑う少女――ウツロの真の姿と思しき存在と出会う。

精神領域の異常な静けさ。
精神の中に入る呪術戦というと、混乱とか錯綜の多重構造になりがちですが、ここではあえて極端な静寂を演出することで異常さを引き立てています。
ウツロらしいとも思えるけど、転生者であると読者は知っているので、やはりダラクと同じように困惑してしまう。
さらに少女のような存在がいるという転換は、物語構造そのものを揺るがすインパクトがあります。謎が謎を呼ぶ展開ですね。


51話 次は待ってあげない
ついに対面した少女とダラク。額から生えた角は、彼女が禍人であることを示す――だが、あまりにも鎧との印象が異なる。
問いかけにも視線を向けない少女は、ダラクの存在を無視するかのように『誰か』と会話しており、その態度にダラクの怒りは頂点に達する。
現実世界ではスペルアベル平原での戦闘が終結。ガントールが疲弊しながらも勝利をおさめ、首を持ち歩くウツロと合流する。ダラクは逃走したが、戦いの火はまだ完全には消えていない。

「あとで」たった三文字でダラクを退ける少女の異様な強さ。魔術も殺意も必要とせず、まるで異物が外部からの侵入を排除したような冷たさ。

後半は視点がガントールに切り替わり、戦闘帰結。


この章は物理戦・魔術戦・精神戦をフルコースで展開して、読者お楽しみシーンてんこ盛りとなっています(多分)。世界観の積み上げは第一部で済ませているので、後はひたすら戦闘、戦闘、戦闘です。

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