通勤電車の帰り道、私の隣の座席に女性が座り、何かゴソゴソしています。
見たら「えっ?」 膝の上に、どう見ても新生児。
どうやら座席の前に立つ御主人に、抱っこ役を交代する為、抱っこ紐を取り外していた模様。外した抱っこ紐を、御主人は装着に悪戦苦闘し、長さ調整が上手くいかない・バックルをはめられない。もどかしくて奥さんは手を貸そうとするけど膝の上の赤ちゃんが落ちそうで怖い。
ちょっと勇気を出して
「あの、赤ちゃん抱きましょうか?」と声をかけた。
これが女性なら安心できるでしょうが、私は初老の男性
「あ、最近お孫さんとか……」
そりゃそうだ。赤ちゃん抱いた事のない男性には怖くて任せられない。
「20年前ですが、娘を抱いた事あります」実は27年前だったが
頷く彼女から、その子を受け取る。
まだ肌も赤黒く、首も全然でガクガクもの。聞けばまだ生後一か月。
とはいえ身体はしっかり覚えていて、完全に首を安定させた状態で抱きかかえました。時折り、目と目が合う。ちょっと微笑んでくれたかな。全然泣かずに安心。
ようやく2人は、抱っこ紐の装着を完了させ、何とか赤ちゃんは返せました。
「本当に、ありがとうございます」と言われたが、
いやいや、お礼はこちらの方が言いたい!!
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