いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。
『紅蓮の檜扇』著者の池頼和です。
今回は、物語の第四章「謀られた婚礼と本山包囲網」の舞台となった場所の、現在の姿をご紹介します。
作中では、西からは一条家の脅威、東からは長宗我部の浸食……と、美作守と茂辰が奔走したあの激戦の地。
数百年経った今、そこは非常にユニークなスポットへと変貌を遂げています。
■ 西の激戦地・須崎市:熱き戦いと、激熱のご当地グルメ
一条家との戦いの舞台となった須崎市。
ここは現在、高知を代表するご当地グルメ「鍋焼きラーメン」発祥の地として知られています。
鶏ガラ醤油ベースの旨味たっぷりなスープに、歯ごたえのある細めのストレート麺。
具材はシンプルにちくわ、ねぎ、そして生卵。
これらが土鍋でグツグツと煮込まれた状態で提供されます。
蓋を開けた瞬間に広がる鶏の香りと湯気はたまりませんが、とにかく熱い!
当時の戦況と同じくらい激熱ですので、聖地巡礼で召し上がる際は、火傷に十分ご注意ください。
また、須崎市のゆるキャラ「しんじょうくん」の頭に乗っているのも、この鍋焼きラーメンです。
ニホンカワウソをモチーフにした愛らしい姿ですが、ネットで暴れ回っている「ちぃたん☆」とは無関係ですので、お間違えなきよう(笑)。
■ 東の侵攻ルート・薊野(あぞうの):カオスな伝説建築
作中で香宗我部が手を伸ばし、攻め込んできた薊野周辺。
ここには現在、「日本のサグラダ・ファミリア」の異名を持つ「沢田マンション」が鎮座しています。
専門家ではないご夫婦が独力で建設し、増築を重ねたという伝説の集合住宅。
スロープを使って車で上の階まで上がれたり、一つとして同じ間取りの部屋がなかったりと、まさにカオス。その圧倒的な存在感と不可思議な構造を一目見ようと、県外からも観光客が訪れるディープなスポットとなっています。
イオンモール高知からも近いので、お買い物ついでに外観を見に行っても良いかもしれませんね。
※現在もお住まいの方がいらっしゃいますので、見学の際はマナーへの配慮をお願いします。
■ 南の拠点・種崎と池:謀略の痕跡と、命を救う場所
そして、国親が浦戸湾攻略の拠点とした種崎城。
現在は美しい松林が広がり、当時の殺伐とした雰囲気は微塵もありません。
実はこの周辺の歴史には、もう一つのドラマが隠されています。
国親は種崎を掌握する際、近くにある「池城」の城主の息子・池頼和(いけよりかず)に、自身の次女を嫁がせています。
そう、佐和だけでなく、元親にはもう二人、政略結婚によって運命を翻弄された姉妹がいたのです(もう一人の妹は吾川郡の波川家に嫁いでいます)。
かつて国親の冷徹な策謀が張り巡らされたこの「池」地区には、現在、県内でも有数規模を誇る「高知医療センター」が建っています。
人の命を奪い合った場所が、今は多くの人の命を救う場所になっている。
歴史の皮肉と、平和の尊さを感じずにはいられません。
激熱のラーメンをすすり、不思議なマンションに驚き、松林で歴史に思いを馳せる。
そんな「聖地巡礼」も、本作の楽しみ方の一つかもしれません。
▼本編はこちらから
『紅蓮の檜扇 ―姫若子の狂気を目撃した本山の盾―』
https://kakuyomu.jp/works/822139841786305622