そう、一目惚れだった。物語序盤に出てくる平和な村にいる『ＮＰＣ』は、ある日訪れた『主人公』に恋をしたのだ。名前も知らない、旅の目的も、どんな立場の人かも、何が好きかも知らない。自…

ひゅうどろろ。 生ぬるい風が吹き抜ける江戸の町の一角。そこで毎夜、蝋燭を共に語り合う幽霊侍・若林琥太郎と櫟屋の看板娘・お藤──二人は密やかに和やかに話に花を咲かせる。怪談話、恋の…

「人間って美味しいのかな」 うだるように暑い夏の日に、ミナ先輩は突然そんなことを呟いた。聞けば、ひとつ喰らえば不老長寿と謳われる、人魚の肉を食べたと言う。 語りながら少しずつ変化…

これはむかしむかしの物語。 鬼の頭領である桃姫は日々＂狩り＂をしながら平和に島を治めていた。ある日のこと、幾許かの人間が島に攻め入って来たとの知らせがあり、桃姫の夢と城が崩れ始め…

ある世界の片隅の──人里からうんと離れたその土地の地下深くにある【万物の墓場】と呼ばれる地下迷宮の──そのさらに最下層。 そんな辺鄙な場所にうっかり転生した魔王マイアと、たまたま…

　婚約者に捨てられ、魔女と謗られた令嬢リタ・ティエラ・ラジアータの回帰から始まるやり直しの物語。……のはずが……？ 「こんな展開聞いてませんわ！」 ---------------…

　都の外れで、女が捻り殺された──「ねじりおに」と呼ばれ恐れられたその鬼の呪いを祓うは、怪しい面で顔を覆った男と、少年法師の二人組。 「失礼、失礼、勝手な呪いなど返して仕舞えば良…

暇人の木戸番・小太郎と浪人・昌良が暇つぶしに妖怪を考え始めた。互いの怖いものをあれやこれやと混ぜていく。「名付けて妖怪ぐちゃぐちゃだな」「うむ、こりゃ確かにぐちゃぐちゃだ」 ※K…

木戸番の小太郎は、暇人仲間の浪人昌良に怪談話を聞かせる。「夜半に訪れる」「酒を置いていく」「謎の侍の」不思議なゆうれいについて────。 「というか昌良、お前は一声くらいかけやが…

番太の小太郎と浪人の昌良は暇人である。 ある日、小太郎は意中の女性の好みが己と離れていることを知り、昌良に相談するのだが……。 「誰しも己のために頑張る人がいたら気になるものよ」…

貧乏浪人の昌良は馴染みの煮売屋の娘おみつから言い寄られ、遂には勝手に花見の予定まで取り付けられてうんざりしていた。しかもそれをすっぽかしたのだとおみつがカンカンで──。昌良は友人…

暇人の木戸番小太郎と浪人昌良は、ある日金を出し合って富籤（とみくじ）を買う。一攫千金を夢見る二人だが、当然の如く外れて……。 ※KAC2023参加作品「アンラッキー7」 --…

深夜、コンビニの帰り道。僕はゴミ捨て場で生首を拾った。 ※KAC2023参加作品「深夜の散歩で起きた出来事」

番太の小太郎と貧乏浪人の昌良は暇人である。木戸番小屋に集まっては凡ゆる暇つぶしに興じる二人の七七七文字短編二本立て。 一話：縫い物をする二人 二話：貸本屋から借りた本（※） -…

「あの子が笑っている。こちらを見ている」 はじまりはありきたりな作り話からだった。 ひとの口からひとの口へ、「あの子」は在り方を歪に歪めながらどんどんと伝播していく。

横峯嶋と縦馬志麻は友人同士。ある日、志麻がある噂を聞いてきた。なんでも、北山で願いが叶うとか叶わないとか、変な噂話があるのだと。 「探検しようと思うんだよね。一緒行かない？」 こ…

僕は知っている。あのお休みばかりの古本屋には魔女がいるってこと────。魔女を見るたびに胸は苦しくなって、知りたくなって、これはきっと魅了の魔法に違いない……！ ※KAC2023…

人の一生が綴られる死神の本を管理する、死神のガロはどうにもこうにも抜けている。 新しく生まれた人の為のまっさらな本、まだまだ続きが望める本、終わりが近い本……本を求めて死神が店を…

「はらぺこべあー」はかわいいくまのぬいぐるみ。くまは悪いものを食べてくれる不思議なこ。 ※KAC2023参加作品です。「ぬいぐるみ」

貧乏暮らしの春兵ヱ＆秋親は、やたらめったらすごくて偉いと噂のゴトウ先生に儲け話を教えてもらう為、朝から出張る。立てば一刀斎、座れば春信、歩く姿は菊之助――とは貧乏長屋でも評判の法…