「株価防衛戦」で、妻がいなくなった家で昊天さんはどうしていたのかなあと思って書いた番外編「欠けた月」。きょうのお絵描きはそのラストシーンから。
メイドさんが入るので、妻がいなくても家の中は常にととのっている。しかし、妻がいないことで欠けたピースは埋まらない。
「連絡してみようかな」と思うけど、すぐに打ち消す。「契約だから」と言い聞かせる。
彼にとって、電話というのはどでかい花束を送りつけるより困難なコミュニケーション手段なのです。
花は一方通行だけど、電話はリアルタイムかつ双方向ですから。
しかも、妻はいきなり消えてしまった。状況的に、実家から差し向けられた車で連れ去られた可能性が高いけれど、万が一、彼女の意思だったら。
代理人を通して離婚の話を進めるのは「契約だから」耐えられるけれど、電話口で直接「もう家には戻らない」と言われたら。
ちなみにこの話の舞台は2015年の3月ですが、ところでこの時期に上海で月は見えるのだろうかとAIと一緒に調べたところ、昊天さんが見ていたのは夜の終わりに白く残る「有明の月」だということがわかりました。明け方に向かう空に細く、いまにも消えてしまいそうな月を、ひとりで見ていたのですね。
この時間があったから、妻が戻ってきたあとの、「お前が待っててくれたから」「待つって結構大変だろう」という言葉により彼の実感がこもっていたのかなと思います。
