みなさま、こんばんはー!
三月に投稿した初歴史if、「大坂春の掘り返しの陣〜豊臣は私(のお腹)が守ります!〜」を読んでくださってありがとうございます。
てっぺいさん、星をありがとうございます! ハートをくださった皆様もありがとうございます! とても励みになります。
本編はこちらです。
「大坂春の掘り返しの陣〜豊臣は私(のお腹)が守ります!〜」
https://kakuyomu.jp/works/2912051595749049245この話の続編は資料を見つつ、少しずつ書き始めています。秀頼視点で江戸時代を生きる豊臣家のお話です。今年のカクヨムコン応募できたらいいな。
でもまだ第一部第一章第五話。がんばりまーす!
あと、番外編を書いたのでこの近況ノートで公開します。
今日は、史実では悲しい日ですが、私のifでは幸せな日なので、今日投稿しちゃいます!
豊臣家に幸せになって欲しいと思っているあなた、あなた、あなた! めっちゃ幸せな番外編です。
十話の続きの時間軸です。
勝鬨
「勝鬨を、あげませんか?」
ポツリとつぶやいたお千に秀頼が目を瞬いた。
「何を言っているのだ、千」
「景気付けということ?」
高台院がおかしそうに聞いた。
「ええ。これからの豊臣の明るい未来を願って」
「でも千、そなた、そろそろ産月だろう。身体に触るのではないか?」
「何をおっしゃっているのです? 総大将は殿でございましょう?」
お千の言葉に母二人が納得したような顔をする。だが、本人がまだ訝しげな顔をしている。
「この勝利をもたらしてくれたのはそなただ。総大将と言うならばそなただろう」
「いいえ。秀頼様です」
「私は動いてもいないのだぞ」
どちらも譲らない。つい睨み合う形になってしまった。敵意は全くない睨みだが。
「何を言っているのです、秀頼」
その夫婦の痴話喧嘩を呆れたような目をして淀殿が止めた。
「先の戦の時も何度も言ったでしょう。総大将はよほどの事でない限り動くべきではないのです、と」
「母上……」
淀殿にもそんな事を言われ、秀頼が情けなさそうな顔をしている。
「……まあ、四人ならば」
そう言って諦めたようにため息を吐く。
でも、ここにいる四人ですむはずがない事をお千も淀殿も高台院もわかっていた。ここは大坂城の『奥』なのだ。
では、と秀頼が愛用の金色の扇子をぱっと開いた。いつ見ても指の先までぴんと伸びていて美しい。
「城の守りは戻った!これからの大坂の長く続く春を祝して勝鬨をあげようぞ!」
その力強い声にお千の心が弾む。
「えい、えい」
「おー!」
秀頼の掛け声に合わせて、三人の声が揃う。
掛け声が少しばかり小さかったので返しの声は三人とも声を張り上げた。
その声が聞こえたのか、何事だ、と且元と治長が覗きに来た。そして秀頼を見て何をしているか分かるとすぐにそれに加わる。
秀頼も止めなかった。
「えいっ。えいっ」
「おー!」
もちろん、女中たちも腰元たちも様子を見にくる。
「えいっ! えいっ!」
「おー!」
そうして加わるのだ。勝鬨の声に。
浪人たち、家臣たち、と、どんどんと増えていく人数に『これは終わらないな』と言いたげに秀頼が苦笑した。
「えいっ! えいっ!」
「おーっ!」
それでも楽しくなって来たのだろう。秀頼の声が少しずつ弾んで来ているのが分かる。
気になって我慢出来なくなったのだろう。ついに秀頼の側室の子供達、国松とお奈阿まで覗きに来た。それでも入りづらいようで二人でもじもじしている。
秀頼はそれに即座に気づいたようで扇子を『来い来い』というように軽く動かした。それを見た彼らの乳母がそっと背中を押して中に入れる。
「えいっ! えいっ!」
秀頼が子供達をしっかり見ながら心持ちゆっくりと掛け声をかけた。
真田幸村が軽くしゃがみ、子供達と目を合わせる。そうしてお手本となるように、見やすいように拳を上げてみせる。国松たちもそれに習った。
「おー!」
そう言ったあと、みんなの口から笑いが漏れたのは言うまでもないだろう。
その後も、何度も何度も勝鬨を上げる。
なんだかお腹の子が蹴る動きすら秀頼の声に合わせているような気までしてくる。
「えいっ! えいっ!」
「おぉーっ!」
大坂城中の人達の気持ちが一つになっているのをお千は感じていた。