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【詩人】野﨑博之(のさきひろし )

  • @BENTA_20250315
  • 2025年3月18日に登録
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  • 8月16日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 8,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  『ベンタ』ープロボクシング青春小説【前編】が、  【 8,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、  岩手県三陸の出身またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  前編をご愛読いただいた皆さまへの感謝を込めて、 「ベンタ」序章 特別編が、公開中です。  タイトルは、  序章 特別編【分銅家の因縁 ―清巌流宗家、藤堂白鷗ー】  サブタイトルは、 【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 【序章~第三章までの前編】をじっくりと読んでいただいたみなさま、  これを読むとこれから先【後編 第4章~第6章(最終章)】の展開が一体どうなっていくのか?  興味津々になること請け合いです。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  ぜひぜひ、読んだご感想やコメントをお寄せください!    野﨑博之(のさきひろし)
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  • 8月3日

    「Song ご訪問ありがとうございます!」様、応援コメント、感謝!

    「 Song ご訪問ありがとうございます!」様 登場人物への深い理解と、 一話ごとの心のこもった応援コメント、 本当にありがとうございます! 作者冥利に尽きます。大変うれしいです。 【前篇】「序章~第三章」+「序章 特別編」だけで、 10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、 深く深く感謝を申し上げます。 後日公開予定の【第三章 特別編】もあわせて、 お楽しみいただけると幸いです。 「Song ご訪問ありがとうございます!」 さんの作品を、読ませていただいております。 現在発表されている作品、 「学年一の美少女に振り回されて恋愛相談を始めることになった件。」 青春真っ只中の若者らしい会話のリズム感と、 男女の微妙な切り返しの面白さ。 このメンバーで、今後どんな展開になっていくのか、 非常に楽しみです。 「Song ご訪問ありがとうございます!」 さんの小説をこれからも応援しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 7月22日

    光り輝く未来 様、レビューコメント、感謝!

    光り輝く未来 様 物語への深い理解と、各章ごとへの心のこもったコメント、 本当にありがとうございます! 【前篇】「序章~第三章」+「序章 特別編」だけで、 10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、 深く深く感謝を申し上げます。 後日公開予定の【第三章 特別編】もあわせて、 お楽しみいただけると幸いです。 「光り輝く未来」さんの作品を、 読ませていただいております。 現在発表されているなかで、特に以下の3作品、 『伝想家(でんそうか)~匠の技の守り人~』連載中。 家業を継がなかった主人公と、継いだ妹。家業を継ぎたかったのに継げなかった、出版社で出会った妻。 このなかで、主人公がJ-POPの作詞家として成功していく作品がまた、とても素晴らしい出来栄えです。 『46億年の記憶 ~命、それは奇跡の旅路~』完結済み。 学術研究者の夫婦が、生命の誕生を自らの体験を通じて、物語を進行させていきます。 このテーマに挑んだ事が、まず素晴らしい。 そして何と言っても特筆したいのは、 書き続けておられる詩の連作、私詩(わたくし) 。 「深い洞察」と「真面目さ」、そして確かな構成力。 どのテーマに対しても感じられる、 温かなお人柄から生まれる表現力。 光り輝く未来様の小説をこれからも応援しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 7月12日

    霧生かずほ 様、レビューコメント、感謝!

    霧生かずほ 様 物語への深い理解と、各章ごとへの数々の熱いコメント、 感謝申し上げます。本当にありがとうございます! 【前篇】「序章~第三章」+「序章 特別編」だけで、 10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く深く感謝を申し上げます。 後日公開予定の【第三章 特別編】もあわせて、お楽しみいただけると幸いです。 「霧生かずほ」さんの作品を読ませていただいております。 新選組を題材にした小説は、過去様々な作品に出合いましたが、 「霧生かずほ」さんの『なごりゆき』は、土方歳三の人生を中心にすえ、第一話目の書き出しから、有名な「池田屋事件」~大政奉還という難しいテーマに対して、自分のものを描き出そうとする「真剣」さと「真摯」さ、確かな構成力と、豊富な語彙の表現力。 大変な力量を感じました。 霧生様の小説をこれからも応援しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 7月10日

    mynameis愛 様、レビューコメント、感謝!

    mynameis愛 様 心のこもった、そして物語の導線を読み解いたレビューコメント、ありがとうございます! 【前篇】序章~第三章だけで、長い10万字を超える物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 現在公開されている【序章 特別編】と、後日公開予定の【第三章 特別編】もあわせて、お楽しみいただけると幸いです。 mynameis愛さんの作品を、ピックアップしながら少しづつ何作か読ませていただいております。 その中でもカクヨムで最初に発表した作品、 「届ける先のぬくもり」は、特に印象に残りました。 mynameis愛さんが、本当に描き出したい作品「テーマ」とは、こういう視点なのではないか、と感じました。 mynameis愛さんの作品の構成や、登場人物の語りの表現を読むと、今後は「シナリオライティング」方面の作品も期待したいなと感じました。 方向性としては、このジャンルでの文学コンクールを目指しても面白いのではないかと思いました。 mynameis愛さんの小説をこれからも応援しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 7月8日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 7,500 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  『ベンタ』ープロボクシング青春小説【前編】が、  【 7,500 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、  岩手県三陸の出身またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  前編をご愛読いただいた皆さまへの感謝を込めて、 「ベンタ」序章 特別編が、公開中です。  タイトルは、  序章 特別編【分銅家の因縁 ―清巌流宗家、藤堂白鷗ー】  サブタイトルは、 【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 【序章~第三章までの前編】をじっくりと読んでいただいたみなさま、  これを読むとこれから先【後編 第4章~第6章(最終章)】の展開が一体どうなっていくのか?  興味津々になること請け合いです。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  ぜひぜひ、読んだご感想やコメントをお寄せください!    野﨑博之(のさきひろし)
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  • 6月17日

    小田島匠様、コメント、感謝!(つづき)

    小田島様 小田島さん、コメント、ありがとうございます。 プロのアスリートや格闘家は、決して長くない現役生活の中で最高の結果を出すために、想像を絶する努力の積み重ねをしながら生きている方々だと思います。本当に尊敬します。 勇利アルバチャコフ(ユーリ海老原)ですか・・・? 小田島さんは、よくご存じですね・・・! 勇利アルバチャコフは、少数民族のロシア人で、元WBC世界フライ級のベルトを9度防衛した名ボクサーでした。 勇利アルバチャコフは、幼い頃からロシアのボクサー養成所で技術を学び、アマチュア時代チャンピオンとなりましたが、その練習メニューの中には、日本ではあまりやらない、ロシア独自のものがあります。 小田島さんに読んでいただいた、 「2-2 何より体力と技術を磨け! 徹底的に体を鍛えろ!」のお話のなかに、先程のロシア独特なメニューが一つ取り入れられています。 徳川会長から話を聞いたトレーナーの田口と村木が相談してメニューに加えました。 そんな感じで、プロボクサーやジムの関係者の方が読んでも楽しめるようなものを散りばめておりますので、じっくり読んでいただけると嬉しいです。 宜しくお願い致します。 のさきひろし
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  • 6月16日

    香月 深青様、コメント、感謝!

    香月さん、コメント、ありがとうございます。 1話、1話が長い物語なので、読者の皆さんが少しづつ読んでいただいた積み重ねの結果だと感謝しております。 香月さんの、「お父さん」シリーズは、どのお話も構成がよくできていて、心に残りました。とても良い作品でした。 連載中の「派遣さん~」は、1話目から表現がとても柔らかく、着眼点と主人公の心の動きの表現が素晴らしいなと感じました。 お話を楽しみながら、引き続き応援しております。 のさきひろし
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  • 6月16日

    小田島匠様、コメント、感謝!

    小田島さん、コメント、ありがとうございます。 昭和のテニスマン、いやぁ、本当に面白かった! マッケンローや神和住純といった、名選手の名前が登場して、ヴィンテージのウェアやラケットデザイン、ガットの種類など、小田島さん「流石だな」と思いました。 特に練習メニューや、ラリーの展開など、こんなテニスの小説が読みたかったと云える作品でした。 青春のお供にボディビルどうですか? ~ 最強ビルダー小田島昇 高校編 ~ も、大変完成度が高いエンタメ作品で、とても気に入っております。 この作品と昭和のテニスマンとの関係性もまた、よく考えられていて、素晴らしいなと感じました。 是非とも、続きの大学編を楽しみにしております。 のさきひろし
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  • 6月11日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 7,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  『ベンタ』ープロボクシング青春小説【前編】が、  【 7,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、  岩手県三陸の出身またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  前編をご愛読いただいた皆さまへの感謝を込めて、 「ベンタ」序章 特別編が、公開中です。  タイトルは、  序章 特別編【分銅家の因縁 ―清巌流宗家、藤堂白鷗ー】  サブタイトルは、 【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 【序章~第三章までの前編】をじっくりと読んでいただいたみなさま、  これを読むとこれから先【後編 第4章~第6章(最終章)】の展開が一体どうなっていくのか?  興味津々になること請け合いです。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  ぜひぜひ、読んだご感想やコメントをお寄せください!    野﨑博之(のさきひろし)
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  • 6月7日

    香月 深青様、レビューコメント、感謝!

    香月 深青 様 心のこもった、そして物語の要点を読み解いたレビューコメント、ありがとうございます! 【前篇】序章~第三章だけで、長い10万字を超える物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 前編を読んでいただいた方のために、特別編2編をご用意いたしました。現在公開されている【序章 特別編】と、後日公開予定の【第三章 特別編】もあわせて、お楽しみいただけると幸いです。 香月様の作品を読ませていただいております。 何気ない日常の【生活・人生の機微】を繊細に描き出す、香月様の数々の作品には、静かな感動を覚えました。 と同時に作品に対する「姿勢」や「テーマ」に、 大変感心を致しました。 香月様の小説をこれからも応援しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 5月15日

    「ベンタ」【序章 特別編】に散りばめられたエピソード再発見!

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、  先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、   村木が次の段階に入ることを告げます。  プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。  二年間の努力の末に、プロテスト合格。  そしてデビュー戦をKO勝利で飾ってから三年。  二人はついに世界タイトルに挑戦が決定します。  前日行われた記者会見の模様をリアルタイムで、静かに見つめている親子がいました。 (ここまで「序章・第一章・第二章・第三章」)   ここからの続き……。  お待たせしました。 「ベンタ」序章 特別編のはじまりです・・・! ここから以下は、 現在【カクヨム】で公開中のエピソードをお楽しみください。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------  【序章 特別編【分銅家の因縁 ー清巌白鷗流宗家、藤堂ー】】 < 第19話   【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 >      ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 武術は、身を守るためと同時に生き残るための手段と考えますと、 それは肉体と精神の凄まじい鍛錬と技術の集大成でありますので、 戦いの時代に生きていた武士や武術家たちは、 現代に生きる私共の想像をはるかに超える感覚で、 神経が研ぎ澄ませれていたと思います。 海斗とトラブルを起こした総合格闘家の場面は、 プロの格闘家が、本来の武道家としての臭覚が押さえられず、 デビューしたての海斗を、武道家の目線で試すために右ストレートを放った・・。 のですが、 これを単純にスポーツとしてとらえますと、 田口トレーナーの言葉通り、 「怪我無く、避けられて無事でよかったな」となりましたが、 【武術】として捉えますと、 鍛錬されているとはいえ不用意に出した手は、 合気道や柔術なら手首をとられますし、 侍の時代の戦場なら、短刀や腰刀で腕が切られていた、 という、古武道の ー清巌流宗家、藤堂白鷗ー の解説 でした。 あの場面、海斗は無手でありましたので、 誰にもわからないように自分の動きを隠して、 パンチを繰り出した相手のプロ格闘家だけに理解できるようなレベルのお返しをした、 海斗にはそれを可能するだけの根拠があった、 と思っていただけましたら、第四章からの【後編】が面白く感じられるのではないかなと思います。 【前編と特別編】に散りばめられた様々な疑問や謎は、 【後編の第五章と最終第六章】で、 すべてが明らかになる予定です。 お楽しみに・・・ということで・・・。 よろしくお願いいたします。(😊) ------------------------------------------------------------------------------------------------------ 生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、 どん底だと感じるとき、 人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」 の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、 「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、 「道標」作品の思いが込められています。 「カクヨム」で連載中、 【ベンタ】前編・特別編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「カクヨム」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』+ 序章 特別編 に散りばめられた、『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 5月12日

    小田島 匠様、感謝!

    小田島 匠様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 小田島 匠さんの作品を少しづつ読ませていただいております。 「狂気の男」は、素晴らしい作品でした。 その他の作品も引き続き応援させていただきます。 今後ともどうか宜しくお願い致します。 のさきひろし
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  • 5月9日

    雨之コウ様、感謝!

    雨之コウ様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 雨之コウさんの作品を少しづつ読ませていただいております。引き続き応援させていただきます。 今後ともどうか宜しくお願い致します。 のさきひろし
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  • 5月9日

    N様、感謝!

    N様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 Nさんの「フク」を読ませていただきました。 とても良い小説でした。 他の作品も引き続き応援させていただきます。 今後ともどうか宜しくお願い致します。 のさきひろし
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  • 5月7日

    おこのみにやき様 レビューコメント、感謝!

    おこのみにやき様、レビューコメント、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。おこのみにやき様の、妖刀使いの悪徳鍛造師〜法外な値段で武器を売る鍛造師に転生した俺は、最強の『妖刀』で剣の時代を終わらせ至高の一太刀を鍛造する〜を楽しみながら読ませていただいております。 最強・最高の妖刀がどうなっていくのか? おこのみにやき様の小説を引き続き応援致します。 今後ともよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 4月25日

    緊急告知、第2報! 【前編】連載中「ベンタ」の【序章 特別編】が公開されました!!

    【前編】連載中「ベンタ」の【序章 特別編】が公開されました!! ご愛読の皆さまへ、お待たせしました!! お約束しておりました、 【前編】連載中、「ベンタ」序章 特別編が、本日公開されました。 タイトルは、 序章 特別編【分銅家の因縁 ―清巌流宗家、藤堂白鷗ー】 サブタイトルは、 【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 【序章~第三章までの前編】をじっくりと読んでいただいたみなさま、 これを読むとこれから先【後編 第4章~第6章(最終章)】の展開が一体どうなっていくのか? 興味津々になること請け合いです。 ぜひぜひ、読んだご感想やコメントをお寄せください!
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  • 4月23日

    緊急告知!【前編】連載中、「ベンタ」序章 特別編の公開が決定!!

    緊急告知! ご愛読の皆さまへ、お待たせしました!! お約束しておりました、 【前編】連載中、「ベンタ」序章 特別編の公開が決定いたしました。 公開予定日は、4月25日(土)の早朝(の予定)です。 タイトルは、 序章  特別編【分銅家の因縁 ―清巌流宗家、藤堂白鷗ー】 サブタイトルは、 【ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技チャンピオンとの事件勃発】 【序章~第三章までの前編】をじっくりと読んでいただいたみなさま、 これを読むとこれから先【後編】の展開が一体どうなっていくのか? 興味津々になること請け合いです。 どうか、4月25日 土曜日をお楽しみに!
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  • 4月19日

    虫松様、レビューコメント、感謝!

    虫松様、レビューコメント、感謝いたします! 心のこもった、そして物語の主題を読み解いた、 熱いレビューコメント、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 (実は、後編も同じ程度の長さがあり、全体を読むにはとても長すぎるので、みなさんが読み疲れないようにとの配慮から、第4章~第6章(最終章)を未公開とさせていただいております。 その間に、特別編2編をご用意しております。 どうかお楽しみにして頂けると幸いです。 虫松様の、歴史小説・現代物・短編・ファンタジー系の構成・表現力に、感心しながら読ませていただいております。 虫松様の小説を引き続き応援致します。 今後ともよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 3月30日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 6,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 【 6,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、岩手県三陸の出身、  またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  どうか、みなさんお楽しみに!  特別編の発表まで、  もうしばらくお待ちください。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 3月30日

    祝! ありがとう 「ベンタ」が【 500 PV 】突破!! 【序章】~【第三章】まで公開中( 全7章)

    祝! ありがとう 「ベンタ」が【 500 PV 】突破!! 【序章】~【第三章】まで公開中( 全7章) 「カクヨム」で連載をしております、 ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 いつのまにか【 500 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする 二人の十五歳の青年、ベンタ と 海斗。  5年に渡る奇跡の物語(全7章)の【前編】序章~第三章。  ボクシング や 格闘技 が 好きな方。  物語の舞台となっている千葉県 松戸市、  ベンタの出身地 和歌山県、  海斗の出身地 岩手県 三陸エリア に、  現在 お住まいの方、または、ご出身の方。  阪神淡路大震災、東日本大震災、  能登半島地震等で被災された方。 「ベンタ」のもう一人の主人公、分銅海斗は、  東日本大震災の被災者です。  人生に迷い、悩み、苦しんでおられる方。  そして 何より 【青春・努力・友情・夢の実現 の 物語】 が 大好きな方。ぜひ みなさんで、 多くの方におすすめください。 【序章】~【第三章】まで公開中(全7章)    ※ 特別編 2作品   (1) 序章  特別編 【 分銅家の因縁。清巌流宗家、藤堂白鷗 】  (2) 第三章 特別編    【 二人の祝勝会と突然訪れた淡い青春の出会い 】      の 発表まで、もうしばらくお待ちください。    どうか、みなさんお楽しみに!  今後とも、「ベンタ」に、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 3月6日

    青山 翠雲 様 レビューコメント、感謝!

    青山様 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ー に、 素晴らしいレビューコメント、ありがとうございます! 長い【前編】を読んでいただき、感謝申し上げます。 高校進学を目前にした不幸な生い立ちの2人のスポーツ少年に、 プロボクシングという考えもしなかった人生の選択肢が眼前に現れ、 苦悩しながら、とても楽とは思えない過酷な道を突き進んでいきます。 ベンタと海斗は、なぜその道を選んだのか?  なぜ選ばなければならなかったのか? その答えは、 「ベンタ」【後編】第四章から第六章(最終章)を最後まで読み切ったときに明らかにされます。 近々、特別編の公開を予定しております。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 3月1日

    稲毛塔名様、レビューコメント、感謝!

    稲毛塔名様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 レビューコメント、ありがとうございます。 あわせて、星★★★ Excellent!!! ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読でいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 また、箇条書きで 1.面白かった点 2.良かった点 3.期待している点 まで、教えていただき、感謝いたします。 稲毛塔名様の「株を題材」にした小説等を、 引き続き応援致します。 今後ともよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 2月26日

    かむけん様、感謝!

    かむけん様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 感謝申し上げます。
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  • 2月26日

    小海倫様、レビューコメント、感謝!

    小海倫様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 レビューコメント、ありがとうございます。 【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読でいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 併せて、応援と格闘技系のスポーツに興味のある方へのお勧めのお言葉をいただきまして、感謝感激です。 新選組を描いた「Shanghai samurai dad&son〜新選組・原田左之助 山崎烝 大陸冒険譚〜」等、少しづつ読ませて頂いております。幕末の新選組を描いた数多の本の中で、 今までどこにもない構成が読者をひきつけます。 小海倫様の小説を、引き続き応援致します。 今後ともよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 2月9日

    ひまえび様、レビューコメント、感謝!

    ひまえび様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 レビューコメント、ありがとうございます。 公開中の【前篇】だけで、10万字を超える長い物語を読み込んでいただいたことに、深く感謝を申し上げます。 併せて、励ましのお言葉をいただきまして、只々感激致しております。 日本~南北アメリカ~ヨーロッパの地域・歴史の背景まで、ひまえび様の描き出す異国情緒あふれる多様な世界観と、加えて北宋時代の高貴な少年の数奇な運命を描いた「忘れられた皇子」等、発表されている本数、長編小説の構成力に、(少しづつ読ませて頂きながら)感心致しました。 ひまえび様の小説を引き続き応援致します。 今後ともよろしくお願いいたします。 のさきひろし
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  • 2月7日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 5,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 【 5,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。  人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする 二人の十五歳の青年、ベンタ と 海斗。  5年に渡る奇跡の物語(全7章)の【前編】序章~第三章。  ボクシング や 格闘技 が 好きな方。  物語の舞台となっている千葉県 松戸市、  ベンタの出身地 和歌山県、  海斗の出身地 岩手県 三陸エリア に、  現在 お住まいの方、または、ご出身の方。  阪神淡路大震災、東日本大震災、  能登半島地震等で被災された方。 「ベンタ」のもう一人の主人公、分銅海斗は、  東日本大震災の被災者です。  人生に迷い、悩み、苦しんでおられる方。  そして 何より 【青春・努力・友情・夢の実現 の 物語】 が 大好きな方。ぜひ みなさんで、 多くの方におすすめください。 【序章】~【第三章】まで公開中(全7章)    ※ 特別編 2作品   (1) 序章  特別編 【 分銅家の因縁。清巌流宗家、藤堂白鷗 】  (2) 第三章 特別編    【 二人の祝勝会と突然訪れた淡い青春の出会い 】      の 発表まで、もうしばらくお待ちください。    どうか、みなさんお楽しみに!  今後とも、「ベンタ」に、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 2月2日

    もちうさ様、感謝!

    もちうさ様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 感謝申し上げます。
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  • 1月29日

    小海倫様、感謝!

    小海倫様、「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。感謝申し上げます。
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  • 1月29日

    ひまえび様、感謝!

    ひまえび様、 「ベンタ」ープロボクシング青春小説ーに、 星★★★、ありがとうございます。 感謝申し上げます。
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  • 1月28日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 4,800 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 【 4,800 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、岩手県三陸の出身、  またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  どうか、みなさんお楽しみに!  特別編の発表まで、  もうしばらくお待ちください。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 1月10日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 4,500 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、  ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 【 4,500 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、岩手県三陸の出身、  またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  どうか、みなさんお楽しみに!  特別編の発表まで、  もうしばらくお待ちください。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 12月27日

    祝! ありがとう 「ベンタ」が【 200 PV 】突破!!【序章】~【第三章】まで公開中( 全7章)

    祝! ありがとう 「ベンタ」が【 200 PV 】突破!! 【序章】~【第三章】まで公開中( 全7章)  3月に「カクヨム」で連載が始まった、 ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、 いつのまにか【 200 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする 二人の十五歳の青年、ベンタ と 海斗。  5年に渡る奇跡の物語(全7章)の【前編】序章~第三章。  ボクシング や 格闘技 が 好きな方。  物語の舞台となっている千葉県 松戸市、  ベンタの出身地 和歌山県、  海斗の出身地 岩手県 三陸エリア に、  現在 お住まいの方、または、ご出身の方。  阪神淡路大震災、東日本大震災、  能登半島地震等で被災された方。 「ベンタ」のもう一人の主人公、分銅海斗は、  東日本大震災の被災者です。  人生に迷い、悩み、苦しんでおられる方。  そして 何より 【青春・努力・友情・夢の実現 の 物語】 が 大好きな方。ぜひ みなさんで、 多くの方におすすめください。 【序章】~【第三章】まで公開中(全7章)    ※ 特別編 2作品   (1) 序章  特別編 【 分銅家の因縁。清巌流宗家、藤堂白鷗 】  (2) 第三章 特別編    【 二人の祝勝会と突然訪れた淡い青春の出会い 】      の 発表まで、もうしばらくお待ちください。    どうか、みなさんお楽しみに!  今後とも、「ベンタ」に、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 12月6日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 4,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、   3月に連載が始まった、 ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、  なんと、 【 4,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする二人の十五歳の青年。  5年に渡る奇跡の物語。  ボクシングや格闘技が好き、  千葉県松戸市、和歌山県、岩手県三陸の出身、  またはお住まいの方、  そして何より本が好きなお知り合いの方に、  ぜひ「ベンタ」をおすすめください。  どうか、みなさんお楽しみに!  特別編の発表まで、  もうしばらくお待ちください。  今後とも、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(6)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ---------------------------------------------------------------------- 【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 第18話   3-6 待ちに待ったベンタのデビュー戦 一五八ポンド二分の一 >     ----------------------------------------------------------------------  年が明けてついに待ちに待った連絡が徳川ボクシングジムに入った。   ベンタのデビュー戦の相手、大田聡の所属する吉川ジムから対戦オファーを受ける連絡が田口に入った。痛めていた右拳が完治して練習が再開できるようになったため、二ヶ月後という日程で調整することで合意した。徳川ジムにとってもその方が都合がよかった。その間にベンタが十七歳になるからだった。向こうにとってはあくまで試合感を失わないための目的で、新人ボクサーのオファーを承諾したのだった。  その日からベンタと村木の猛特訓が始まった。  バイト先のリネン工場の人達も大喜びで仕事の調整に協力してくれた。  そして約二か月後、ついにベンタのデビュー戦の日を迎えた。  後楽園ホールの会場には、海斗のデビュー戦の時と同様にあのテレビプロデューサーがいた。  米国に本社を置く世界的スポーツ専門チャンネルのテレビ会社、スパルタンTV日本支社長、マイケル・フォックス・ジュニアだ。プロテストの時に偶然見かけた海斗とベンタが気になり、徳川会長にベンタと海斗をこれからずっと追いかけさせて欲しいという長期撮影の交渉をした人物だった。日本のどのメディアよりも素早い契約だった。それ以来、一か月に一度徳川ジムに撮影クルーを連れて練習風景やインタビューを撮っていくようになった。   米国(アメリカ)のロスアンジェルスに本社を置く世界的スポーツ専門チャンネルのテレビ会社、スパルタンTV日本支社長のマイケル・フォックス・ジュニアにとって先日の分銅海斗と同じく、今日この日から日本のボクシング界に何かが始まる予感、ベンタのデビュー戦を見届ける最初のメディアになるのだという喜びと、その昔マイク・タイソンを初めて見た時のような衝撃と興奮が呼び起こされた。  スパルタンTVスタッフの撮影の準備は、今日もすべてにおいて万全だった。  あとはベンタの入場を待つだけだった。  スパルタンTV撮影クルーのカメラがリング中央に向けられた。  放送席には毎度おなじみの赤石アナウンサーがスタンバイOKのサインを出していた。 「さあ、このボクシングの歴史を刻む聖地に、本日注目の選手が登場してきます」 「昨年の高校総体で活躍したフェザー級の尾崎と同日にプロテストの試験を受け、全くの無名ながら相手選手を一ランド、左のボディブロー一発で倒した東弁太一(とうべんたかかず)選手のデビュー戦です」 「ボクシングを始めてまだ二年。なんと十七歳になったばかり」 「後楽園ホール初登場です」 「解説は、おなじみ「リング」日本版編集長のジョー平仲さんです」 「平仲さん、宜しくお願い致します」  赤石アナウンサーが紹介した。 「宜しくお願いします」  ジョー平仲がいつもの落ち着いた声で答えた。 「平仲さん、将来が期待される尾崎と階級が違いこそすれ、共に無名ですが先日デビュー戦をKO勝利で飾った分銅海斗選手と同じ徳川ジムの注目の選手がまた一人出てきました」 「そうですね。先日の分銅海斗選手の時もお話ししました通り、取材のために尾崎君のプロテストを見に行った時の話です」 「その日偶然見かけて驚かされた選手が二人いたわけです」  解説のジョー平仲が続けた。 「尾崎君以外はただの新人テストという事で全く情報がなかったわけなんですが、誰も予想もしていないまだ十六歳の若い二人の少年のような選手が、その日衝撃的なボクシングを見せたんです」  平仲がまたしてもレポート用紙を見ながら簡単に説明を始めた。 「一人目が先日デビュー戦を鮮やかな一ラウンドKOで勝利を飾ったスーパーライト級の分銅海斗(ぶんどうかいと)選手」 「そしてもう一人が、同じ日にプロテストを受けて、相手選手を左のボディブロー一発でダウンをとったミドル級の東弁太一(とうべんたかかず)選手」 「この二人は中・重量級の選手という事でも突然騒がれだした選手です」「驚くのは二人ともボクシングを始めてまだ二年の十七歳で、尚且つ、同じ徳川ボクシングジムの所属だってことです」  平仲がダイヤモンドの原石をもう一つ見つけた、というような口調で話した。  赤石アナがつなげた。 「関係者に取材しますと、あの日見に来ていた多くのジム関係者の人達が一様に、『とにかくこの二人には驚いた』と言っていました」 「プロテストを見ただけで今までこんなコメントを聞くという事は、過去私の中の記憶ではあまりないと思うのですが?」  赤石アナが、疑問を投げかけた。  ジョー平仲がその問いに答えた。 「私の知る限り無かったと思います」 「十五歳からボクシングを始めてまだ二年の浅いキャリアでまだ十七歳」 「若くてこれだけの体格の選手が日本にも登場してきたという点と、大柄でありながらスピードと同時にパンチの強さもあるという点にあると思います」 「過去同じミドル級で日本人初の世界チャンピオンになった天才竹原慎二選手は、日本人離れした体格で新人王や日本チャンピオン、東洋太平洋(OPBF)のタイトルを全て獲っています。特に東弁選手は、ミドル級のオリンピック金メダリストで世界チャンピオンとなった村田諒太選手以来、ようやく登場した衝撃的な選手と云ってもいいと思います」 「今までもいろんな選手を見てきましたが、プロテストのスパーを見ていて「うっ」と唸るような場面は、井上尚弥選手以外いままで有りませんでしたから、分銅海斗選手といい、これだけの素材にこれからもなかなか出会うことはないと思いますね」  平仲が明快に答えた。 「そうしますと、この東弁選手もやはり徳川ジムの期待というだけの話ではなく、日本のボクシング界が今後注目していく選手という事になりますでしょうか」  赤石アナウンサーが聞いた。 「ぜひ竹原選手や村田選手のようなスケールの大きな選手になって欲しいと思います」  平仲のベンタに対する熱い思いが伝わってきた。 「これから一体どこまで成長して強くなるのか、本当に楽しみというほかありません」  リングアナがマイクを持ち話を始めた。 「ミドル級四回戦、両選手入場です」 「さあ、まずはミドル級注目の選手……」  赤石アナの言葉に少し力が入った。 「今日がデビュー戦の十七歳」 「東弁太一(とうべんたかかず)選手が入場してきました」  まずは青コーナーから田口と村木に付き添われて、ベンタが軽くステップを踏むような仕草をしながら、柔らかく両手と体を動かし、ゆっくりとリングに向かって歩いてきた。  田口と村木は、徳川ジム専用のTシャツを着て首にはタオルをかけ、ベンタを前後で挟んで歩きながら一緒に入場してきた。  背中に英語表記で、上部に「TOKUGAWA」、真ん中に「M」の大きな字の下に小さく「MATSUDO」、下部に「BOXING GIM」とプリントされていた。 「東弁先輩、がんばれー」 「ベンタ、和歌山から応援に来たぞ!」  コーチの巻川がバスケットチームの先輩後輩や保護者を引率し、中学の担任だった高橋先生と進路指導だった前田先生が同級生や保護者を引率して応援に駆けつけてくれた。 「先輩、がんばれー」  どこからか懐かしい和歌山のイントネーションの声援が飛んできた。 「東弁太一選手がリング下にある松ヤニをシューズにつけてリングに上がりました」 「さあ、今日がデビュー戦の十七歳」 「初めて試合用の一〇オンスの黒いグローブを両手に付けて登場です」  赤石アナウンサーの口調に徐々に力が入ってきた。 「続きましては……」  ホールで歓声が上がった。 「大田、がんばれー。今日もKOで頼むぞ!」  声援が飛んだ。 「次は赤コーナー、竹中ジムの大田聡の入場です」 「前回判定勝ちで勝った試合で肩と肘、そして拳を痛めてようやく治ったばかりの復帰戦という事になります」  赤石アナウンサーがベンタと大田、それぞれの観客席の方を見ながら、「すでに両選手への応援の声が聞こえています」  と熱がこもった口調で実況を始めた。 「ねえ、平仲さん、前回分銅選手のデビュー戦の時にもお話ししましたが、この後楽園ホールは、何とも独特な雰囲気があるのが特徴だと思います」「ええ、なんといっても、リングと観客席が非常に近いというのが特徴ですから、なかなか慣れるまではこの雰囲気に飲まれてしまう選手も多くいると思いますし、まさにこれがボクシングの聖地といわれる由縁の一つだと思いますね」  リングアナが、わざとタメを作って一呼吸置いた。 「只今より、ミドル級四回戦を行います」 「青コーナー、一五八ポンド二分の一、徳川ジム所属、東弁太一。今日がデビュー戦です」 「赤コーナー、一五九ポンド二分の一、竹中ジム所属、大田聡、戦績は三勝0敗」 「さあ、両選手の紹介が終わりました」 「大田、東弁、両選手がレフェリーを挟んでローブローやバッティングの注意等を受けながらリングの中央で向かい合っております。かたや注目の新人と、アマ出身の対決となります。身長は東弁が一八〇センチで少し大田より高いという感じです」 「さあ、注意が終わり、両選手が青と赤のそれぞれのコーナーに分かれました」 「セコンドがリングの下に降りました。ゴング鳴ります」 「東弁選手が、一〇オンスのグラブに額を付けて、目をつぶっています」  先ほどまで声援合戦で響いていた声が小さくなり、何か得体のしれないものを見る前の息を飲むような光景がホール全体を包み込み、異様に静まり返った。 「東弁の緊張はどの程度か?」 「果たしてキャリアのある大田にどこまで通用するか?」 「カーン!」 「ゴングが鳴りました!」  赤石アナが叫んだ。 「ボックス!」  レフェリーの声がホールに響き渡った。 「試合が始まりました!」 「リング中央まで近づいてお互いにグラブを軽く当てました」  赤石アナが状況説明をした。 「お互い一発のあるパンチを持っていますからね、不用意には出れませんよ」  平仲が注意を促した。 「それだけにリードブローの出来具合が重要になってくるかもしれません」    平仲が視聴者にヒントを解説した。 「バン!」 「おお、大田がいきなり大振りの右ックを出したぁ」  赤石アナが叫んだ。 「しかし、東弁選手が左のグラブでしっかりガードをしてました。どうですか、平仲さん?」 「東弁選手はデビュー戦とはいえ、しっかりパンチが見えてますよ、落ち着ついてます」  平仲がベンタの冷静さを評価した。 「さあ、東弁は緊張がほぐれたか?」 「ガードを固めて、相手の動きをしっかり見て、常に動いています。この調子でいいと思います」  大田選手のガードの隙間を狙って、バンタの左リードパンチが、まるで普通の選手の左ストレートのように伸びて、凄い音を立てながら、当たっていた。  「バシッ!」 「ちょっと大田が嫌がるそぶりをしましたね?」  赤石アナウンサーが、見逃さなかった。 「東弁選手のジャブが、結構当たってきましたから、いい勝負になるんじゃないでしょうか?」 「東弁選手の強いパンチが、どこで出てくるか?」 「大田選手も前に出ながら掴まえたいと思っているでしょうが、東弁選手はこのクラスでは珍しいくらい動きが早いですから、攻めにくいと思いますよ」  大田はあまり足を使わず、べた足から強いパンチを打ってくるファイタータイプだった。  一方、ベンタの方は、 「キュッキュッ、キュッキュッ」  ベンタが細かく動いてステップを踏み、シューズの底がリングマットに擦れるたび音が響いた。  お互い距離をとってジャブの打ち合いが続いた。  大田の経験やパンチを警戒してベンタが不用意に近づかず、動きながらジャブを出す戦法だった為、特に大きな見せ場は無く、一ラウンド目が終了した。 「平仲さんの採点は、五対五のイーブンです」  赤石アナウンサーが視聴者に報告した。  ベンタが青コーナーに戻り、一分間のインターバルに入った。  ベンタがうがいをし、マッサージを受けながら、田口と村木のアドバイスに頷いていた。  村木はベンタの耳元で何やらひそひそ話をして、送り出した。  ブザーが鳴った。 「セコンドアウト」   会場にアナウンスが流れた。 「カーン!」  ゴングが鳴った。 「ボックス!」  手を交差しながら、レフェリーの掛け声が響いた。 「さあ、二ラウンド目が始まりました!」  赤石アナウンサーが、少し高揚した声でスタートを告げた。  徐々にベンタのパンチの強さが勝り始めた。 「キュッキュッ、キュッキュッ」 「バシッ、バシッ!」  というベンタの放つパンチの音が、ホールに響き始めた。  二分過ぎ、タイミングを計った大田の強烈な右ストレートがベンタの左顔面を襲った。 「キュッキュッ」 「バシッ!」   と同時に、大田の右わき腹に強烈な痛みが走った。 「キュッキュッ、キュッキュッ」 「バシッ、バシッ!」  次の瞬間、予想出来ないドラマが待っていた。  大田の脳天に衝撃が走り、意識が朦朧となった。  しばらくして大田の意識が戻った時、ジムのトレーナーとベンタの声が聴こえてきて、大田は赤コーナーの椅子に座わらされ、肩にはタオルが掛けられていた。  次の日のスポーツ新聞のプロボクシング欄には次のように試合結果が記されていた。 【今日がデビュー戦の十七歳。ミドル級四回戦注目の新人東弁太一(とうべんたかかず)選手、後楽園ホール初登場。相手はこちらも期待の大田聡選手。初回、中重量級らしい重いジャブの打ち合い。相手のパンチをしっかりパーリングと上体を振ってかわし的を絞らせず。手数では東弁選手が徐々に上回っていた。一回は五対五のイーブン。二回、二分過ぎ、大田が放った右ストレートを頭を左にずらしながら大田の右わき腹に強烈な左のレバーブローが炸裂。大田の動きが一瞬止まった瞬間に眼の覚めるような早くて重いワンツーが顔面にヒットし初めてのダウンを奪う。二分四十秒、今度は右のフェイントから左ボディの連打でガードが下がった瞬間に重い右ストレートが左顔面に炸裂。二度目のダウンを奪ったところで大田の赤コーナーからタオルが投げられベンタのTKO勝ちが宣言された。セコンドの田口と村木が両手を上げてリングに駆け上がった。レフェリーがベンタの右手を高々と持ち上げた。東弁選手が対戦相手の大田のコーナーに行き、一礼をして「ありがとうございました」と挨拶。東弁選手がリングの四方に向かって一礼、その姿を見て観客が大きな拍手をした。セコンドの田口と村木が大喜びで東弁選手にタオルをかけながらリングを下りて退場していった。リングを降りて去っていく東弁選手に向かって、観客が「また観に来るからな!」と興奮気味に次の試合への期待を込めて大きな拍手と声援を贈った。徳川会長が嬉しそうな顔でうなずいた。観客席から応援していた徳川ジムの田上、矢尾板、小島、分銅たちが大喜びですぐに控室に直行した。日本ボクシング界についに登場した、ヘビー級にまで手が届くかもしれない若干十七歳の逸材。日本の中重量級に現れた、村田諒太選手以来の怪物のような新人のデビュー戦を目撃できた観客の興奮がホール全体を飲み込んでいた。この試合の解説をしていたジョー平仲さんは、「ボクシングを始めてまだ二年。全くの無名ながら期待の中重量級の新人ボクサーが見事なKO勝ちでデビュー戦を飾った。前評判通りの重いパンチは威力抜群だった。ジム同門の分銅海斗選手と共に今後が非常に楽しみだ」【観戦談】  徳川ジムの同期生、分銅海斗(ぶんどうかいと)と東弁太一(とうべんたかかず)。  この奇跡のように出会った二人の十七歳が、この数年先にとてつもない事を成し遂げるボクサーになることをまだ誰ひとり知る由もなかった。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- ついにベンタのデビュー戦の時がきました。 相手の選手もハードパンチャーで強い選手です。 緊張で最初は体が動かなかったベンタですが、 徐々に冷静さを取り戻し本来のパワーを発揮して戦います。 ベンタのデビュー戦、いかがでしたでしょうか? ここまでで、序章~第三章までの連載がすべて終了いたしました 。  これから先は、急展開の【後編】第四章~第六章(最終章)に続きますが、その前に、「ベンタ」をご愛読いただいたすべての皆さまに、スペシャルプレゼントをご用意いたしました。 「ベンタ」特別編です。  特別編は、2作となります。  (1)【序章 特別編】分銅家の因縁、清巌流宗家、藤堂白鷗      ー ベンタと海斗の前に現れた総合格闘技の強者との事件勃発 ー        (2)【第三章 特別編】      2-1 ベンタと海斗の祝勝会      2-2 十七歳のベンタと海斗の前に突然現れた、          一歳年下の二人の女子高校生との運命的な出会い       さあ、どんな内容になっているのか? 発表は、もうしばらくお待ちください。 お楽しみに・・・。 生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 「テイルズ」で連載中、【ベンタ】前編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「テイルズ」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(5)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、で公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ---------------------------------------------------------------------- 【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 第17話 3-5 海斗のプロデビュー戦 一三八ポンド二分の一 >     ----------------------------------------------------------------------  後楽園の会場には、一人のテレビプロデューサーがいた。  二月のプロテストの時に多くのマスコミと一緒に会場にいて、将来の有望選手として騒がれていた八王子ジムの尾崎を取材するために来ていたが、その時偶然見かけた海斗とベンタが、尾崎以上に気になり、その日以来秘かに注目していた人物だった。  ベンタと海斗の二人にプロライセンス証が届いた頃、突然徳川会長とマネージャーの田口に連絡を取り、会いたいと云ってきたのだった。そしてベンタと海斗をこれからずっと追いかけさせて欲しいという長期撮影の交渉をした人物だった。  徳川は田口や村木と相談し、海斗とベンタ本人の了承をとったうえで、契約をした。  日本のどのメディアよりも素早い動きだった。それ以来、一か月に一度、徳川ジムに撮影クルーを連れて練習風景やインタビューを撮っていくようになった。  この人物こそ米国のロスアンジェルスに本社を置く世界的スポーツ専門チャンネルのテレビ会社、スパルタンTV日本支社長、マイケル・フォックス・ジュニアだった。  彼は父の仕事の関係で日本にいた時に生まれ、その後米国ロスアンジェルスで育った。  両親とも日本が大好きで、音楽やアニメ、お寿司やラーメン等の日本食は勿論、生活スタイルや文化(カルチャー)が、日本語と共に幼少から自然と入ってくる環境で育った。  二十二歳で日本に留学の為に再来日して東京外語大学大学院を卒業した。日本の歴史や文化に精通したなかなかの日本通だった。マイケルはロスアンジェルスの本社に報告をして、偶然見つけたこの無名の十六歳の新人二人のレポートを提出し、何とか上司の許可を取り付けたのだった。  上司からは当初無駄な投資になるといわれて否定されたが、責任は自分がとるという強引さで【B&K(ベンタと海斗)プロジェクト】を立ち上げたのだった。  仕事柄普段多くのスポーツ選手に携わってきた。最後の最後までどんなどんでん返しが起こるかわからないのがスポーツの最大の魅力なのだが、本当に何が起こるかわからないといった未知数のドキドキする興奮を感じる場面には正直それ程出会った事はなかった。  プロテストで偶然見かけた二人の若者の未来を身近で見続けたいという、これ程までに思わせるもの、期待を感じさせるのは何故なのか、自分でもはっきりとした理由がわからなかった。  あの日から半年以上追いかけてきた『スペシャル(特別)だ』と感じさせる二人の選手。  そのうちの一人がボクシング人生の幕開けを迎えようとしている。 『まさに今日この日から何かが始まる。それを見届ける最初のメディアになるのだ』という喜びが、マイケル・フォックス・ジュニア自身に猛烈な喉の渇きを感じさせた。  スパルタンTVスタッフの撮影の準備はすべてにおいて万全だった。  あとは海斗の入場を待つだけだった。  撮影クルーのカメラがリング中央に向けられた。  放送席には毎度おなじみの赤石アナウンサーがスタンバイOKのサインを出していた。 「テレビのスタジオから、放送席? 放送席? 赤石アナウンサー、よろしくお願い致します!」  生放送のスポーツ番組でメインキャスターを勤める笠利アナウンサーから、バトンが渡された。 「はい、赤石です。マイクを後楽園ホールに頂戴いたします」 「さあ、このボクシングの歴史を刻む聖地に注目の選手が登場してきました」 「昨年の高校総体で活躍し、プロに転向した注目のフェザー級選手、あの尾崎と同日にプロテストの試験を受け、全くの無名ながら相手選手のパンチをすべてかわし、一ランドでダウンをさせた分銅海斗選手。なんとまだ十七歳。後楽園ホール初登場です」 「解説は「リング」日本版編集長のジョー平仲さんです」  赤石アナが視聴者に紹介した。 「平仲さん、宜しくお願い致します」 「宜しくお願いします」  ジョー平仲がいつもの落ち着いた声で答えた。 「さあ、平仲さん、今年は将来が期待される尾崎のデビュー」 「そして尾崎と同日のプロテスト合格で、全くの無名ながら注目の選手が一人出てきました」 「そうですね。私も尾崎君のプロテストを取材のために見に行ったんですが、まさか尾崎君以外に当日関係者が驚くような選手に二人出くわすとは思いませんでした」  解説の平仲が続けた。 「正直に言って尾崎君以外はただの新人テストという事で、全く情報が無かったわけなんですが、誰も予想も想像もしていない意外な選手がその日衝撃的なボクシングを見せたんです」  平仲がレポート用紙のメモを見ながら簡潔に説明を始めた。 「一人目が今日がデビュー戦となるスーパーライト級の分銅海斗選手。そしてもう一人が、同じ日にプロテストを受けて、ボディブロー一発でダウンをとった、ミドル級の東弁太一(とうべんたかかず)選手。この二人は中・重量級という事でも突然注目されて騒がれだした選手です。驚くのは二人とも十五歳からボクシングを始めてまだ二年。尚且つ同じ徳川ボクシングジム所属の同門だってことです」  平仲が長いボクシング記者としてのキャリアの中で、 「初めてダイヤモンドの原石を見つけた」  というような興奮が視聴者に伝わってきた。  赤石アナがつなげた。 「関係者に取材しますと、あの日見に来ていたほかのジム関係者の人たちが、一様にとにかく驚いたと言っていました。これはいったい何があったんでしょうか?」  平仲がその問いに答えた。 「大まかに言えば、まずは、この若さでこれだけの体格の選手が日本にも登場してきたという点。そしてわずか二年の浅いキャリアと、大柄でありながら柔らかさに加えてスピードとパンチの強さが備わっている、という二つの点にあると思います」  赤石アナも平仲のこんなコメントは初めて聞く体験だった。 「特に言えるのは、何より二人ともパンチが強い。これは有効打のポイントで争うアマチュアのボクシングよりもプロ向きの選手だという事が云えると思います。今までも色々な選手を見てきましたが、プロテストでこれだけの素材に出会ったのは初めてですね」 「そうしますと、これは徳川ジムの期待というだけの話ではなく、日本ボクシング界全体が今後期待していい注目の選手という事になりますね」 「その通りです。いったいどこまで成長して強くなるのか、本当に楽しみというほかありません。ぜひ順調に育っていって欲しいと思います」  リングアナがマイクを持ち進行を始めた。 「スーパーライト級四回戦、両選手入場です」 「さあ、まずは注目の選手……」  赤石アナの言葉に少し力が入った。 「さあ、出て来ましたよ」 「分銅海斗(ぶんどうかいと)選手が入場してきました」  青コーナーから田口と村木に付き添われて、海斗が軽くステップを踏みながら、両手と体を柔らかく動かし、ゆっくりとリングに向かって一緒に歩いてきた。  田口と村木は、徳川ジム専用のTシャツを着て首にはタオルをかけ、海斗を前後で挟んで歩きながら入場してきた。  背中に英語表記で、上部に「TOKUGAWA」、真ん中に「M」の大きな字の下に小さく「MATSUDO」、下部に「BOXING GIM」とプリントされていた。  会場が四回戦とは思えない程盛り上がっていた。 「さあ、今日がデビュー戦の十七歳」 「分銅海斗選手がリング下にある松ヤニをシューズにつけてリングに上がりました」 「初めて試合用の8オンスの黒いグローブを両手に付けて登場です」  赤石アナウンサーの口調に徐々に力が入ってきた。 「ぶんどう!みんなで島越(しまのこし)から応援に来たぞ!」  どこからか懐かしいイントネーションの声援が飛んできた。 「カイトー!」 「海斗先輩!がんばれっ!」  中学時代の先生と同級生、そして少年野球の頃からの仲間たちが来てくれたのだった。  放送席の赤石アナウンサーが応援席と海斗の両方を見ながら、放送マイクに向かった。 「熱い応援の声が聞こえてきます」  と熱がこもった口調で実況を始めた。 「さあ注目の選手と言っていいでしょう!」  次に赤コーナーから牧田浩一がトレーナーに付き添われて入ってきた。 「続きましては赤コーナー、牧田選手の入場です」 「高校時代アマで活躍し社会人を経て一昨年遅いデビューを飾った牧田選手の入場です」 「身長は一七〇センチのがっしりとした体格で、アマの経験と技術が持ち味です」 「今日が三戦目で二勝〇敗一引き分けの二十四歳、右手のケガからの再起戦です」  赤石アナが資料を読み上げた 「この後楽園ホールは、ねえ、平仲さん、何とも独特な雰囲気がありますよねえ」 「ええ、なんといっても、リングと観客席が非常に近いというのが特徴ですから、初めてですとこの雰囲気に飲まれてしまう選手も多くいると思いますし、何しろこれに慣れないといけませんから、これがボクシングの聖地といわれる由縁の一つだと思います」  リングアナが、わざとタメを作って一呼吸置いた。 「只今より、スーパーライト級四回戦を行います」 「青コーナー、一三八ポンド二分の一、徳川ジム所属、分銅海斗。今日がデビュー戦です」 「赤コーナー、一三九ポンド、青田ジム所属、牧田浩一。戦績は二勝〇敗一引き分け」 「さあ、両選手の紹介が終わりました」 「牧田、分銅、両選手がレフェリーを挟んでローブローやバッティングの注意等を受けながらリングの中央で向かい合っております。かたや注目の新人と、アマ出身の対決となります。身長は分銅が一七五センチで少し牧田より高いという感じです」 「さあ、注意が終わり、両選手が青と赤のそれぞれのコーナーに分かれました」 「セコンドがリングの下に降りました。ゴングが鳴ります」 「分銅選手が、上のライトを見上げました」 「そして8オンスのグローブを胸のあたりで合せて、目をつぶっています」  先ほどまで声援合戦で響いていた声が小さくなり、何か得体のしれないものを見る前の息を飲むような光景がホール全体を包み込み、異様に静まり返った。 「カーン!」 「ゴングが鳴りました!」  赤石アナが叫んだ。 「ボックス!」  レフェリーの声がホールに響き渡った。 「さあ試合開始です。リング中央まで近づいてお互いにグラブを軽く当てました」 「ああ、いきなり牧田の左ジャブが分銅の顔面を襲った! 続いてワンツー!」 「平仲さん、いきなり来ましたね。経験者らしい、奇襲でした」 「この牧田選手は、二十四歳、二勝〇敗一引き分け、二勝はすべてKO勝ちの選手ですね」 「そうですね。パンチもそして技術もありますよ。アマの経験も豊かです。この選手も必ず将来上位に上がってくる選手です。期待されながらケガに泣きましたから」 「牧田はそのあとも左ジャブを出していますが、まだしっかり当たってはいませんね」  解説の平仲が冷静に見ていた。 「一方、分銅選手の方は早いジャブを打ちながら距離感をはかっている感じですね」 「分銅選手は、パンチがよく見えていると言ってもいいでしょう」 「常に動いて牧田との距離をとっています。不用意には近づきませんね」 「注目の強いパンチを分銅選手はまだ一発も出していませんが、いつ出るのか?」   赤石アナが期待を込めて言った。 「さすがにデビュー戦、緊張しているのでしょうか?」  赤石アナが平仲に聞いた。 「いや思ったより硬くなっている様子はありませんね」  平仲が言い切った。 「分銅選手はガードを高くしてステップをしながら距離を取っている感じです」 「あっ、分銅選手のすごいジャブがガードの隙間から顔面をとらえました」 「速かったですねえ、左ストレートです。一瞬見逃しそうになりました」 「牧田の顔がぐらつきましたよ。驚いてる感じです」  牧田が、自分の赤コーナーのセコンドを見た。一様に牧田陣営から驚きの声があがった。  アマ経験なしのまだ十七歳のデビュー戦、という事で、普通の新人と侮っていた牧田が、今の海斗の一発のスピードと威力を体で感じて、 「これが本当に十七歳の新人のパンチか? 甘く見てたら大変な事になる。本気でやらないとやられるぞ」  という気持ちに変わった。  そのままジャブの応酬になったが、牧田が次に意識が戻った時には、足がふらついて立てない状態だった。   翌朝のスポーツ新聞のプロボクシング欄には次のように試合結果が記されていた。 【スーパーライト級四回戦、話題の十七歳の新人、分銅海斗選手(徳川ジム)のデビュー戦は、開始早々、相手の牧田選手が放った左ジャブ一発で分銅選手の緊張はすぐに解けたようだった。十七歳の分銅選手の体の中に闘志が湧き出した、と同時に新人らしからぬ冷静な頭脳が回り始めたようだった。初回足を使って、二分過ぎまでアウトボクシングに徹してジャブを入れながら相手のパンチをかわし、牧田選手のパンチの強さと距離感をつかんで徐々に距離を詰めながら、牧田が右を打つ瞬間に少しガードが下がる癖を見逃さず、分銅選手が顔を少しずらしながらの左ストレートが炸裂。ガードの隙間に間髪入れず右ストレートを入れ、牧田の顔面に二発入った。さらに左レバーブロー、右ショートアッパー、ワンツーから相手の左のジャブに合わせて右のカウンターが炸裂。スピード感のある一撃で、二分五五秒KO勝ち。特筆すべきは、右のカウンターを放つ前に左のフェイントを挟んでいるところが、とてもデビュー戦の選手とは思えない技術を持ち合わせていることだ。ほとんどのパンチをバックステップとパーリングとスウェーでかわしてブロックしながら、一ラウンドKO勝ちをおさめた。レフェリーが分銅選手の右手を以て軽く上げ、分銅選手はすぐに対戦相手の牧田選手のコーナーに行き、一礼をして「ありがとうございました」と挨拶をした。分銅選手がリングの四方に向かって一礼をした。その姿を見て観客が全員拍手を贈った。セコンドの田口と村木が大喜びで分銅選手の肩にタオルをかけながらリングを降りて三人で退場していった。徳川会長が嬉しそうな顔でうなずいていた。観客席から応援していた徳川ジムの田上、矢尾板、小島、東弁選手らが両手を上げてガッツポーズをし、すぐに控室に直行。見た事もない一七歳の新人の登場に、後楽園ホールの観客とボクシング関係者が騒然となった。怪物のような新人のデビュー戦を目撃できた観客の興奮がホール全体を飲み込んでいた。試合の解説をしていたジョー平仲さんは「アマの経験もない全くの無名ながら、期待の新人ボクサーが見事なKO勝ちでデビュー戦を飾った。プロテストの前評判通りのスピードのあるストレートは威力抜群だった。ジム同門の東弁太一(とうべんたかかず)選手と共に今後が非常に楽しみだ」観戦談】 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 第三章に突入しました 。 ついに海斗のデビュー戦の時がきました。 相手の選手は今後が期待される強い選手です。 相手のプレシャーをはねのけて海斗は冷静に戦います。 いかがでしたでしょうか? 次回は、ベンタのデビュー戦をお届けします。 お楽しみに・・・。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 「テイルズ」で連載中、【ベンタ】前編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「テイルズ」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(4)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ---------------------------------------------------------------------- 【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 第16話 3-4 ベンタと海斗 練習漬け >     ----------------------------------------------------------------------  それからの海斗とベンタは、今までにも増して練習漬けの毎日が待っていた。  海斗はデビュー戦が終わるまでの間、アルバイト先の『お食事処ごんべい』を午後三時で上がらせてもらい練習時間を増やした。とにかくひたすら走って走って足腰を鍛えた。  まるで駅伝やマラソンの選手並みに一日平均一〇キロから一五キロ以上を走りに走った。  多いときには二〇キロを走破した。時折短距離ダッシュや坂道ダッシュを入れて足腰に負荷をかけながら走った。そしてデビュー戦の日程がまだはっきりと決まらないベンタも、時間が許す限り同じ練習をさせられた。いつデビュー戦が決定しても良いようにとの徳川会長と田口の配慮からだった。バイト先のリネン工場の時間調整も忙しい時以外は柔軟に対応してくれた。二人の仕事が休みの日は、一日中朝から夜まで練習漬けとなった。 【ジムワーク】練習メニュー  ベンタと海斗の二人のジムワークは、様々な練習メニューが工夫されていた。  一、ストレッチ(マット運動・柔軟体操 3ラウンド9分) 二、縄跳び(2ラウンド6分) 三、ブリッジで首を鍛える(3ラウンド9分)  四、腕立て伏せ(五百回)及び腹筋(五百回)  五、パンチングボール  六、シャドーボクシング(5ラウンド15分)  七、ミット打ち又はマスボクシング  八、サンドバック(3ラウンド9分)  九、スパーリング(10ラウンド30分)  十、ストレッチ(1ラウンド3分)  ※特に手首の強化・握力の強化・首回りの強化トレーニング  ※気分転換にエアロバイク(30分)を入れる。  ジムワークが終わると、サーキットトレーニングを行った。 【サーキットトレーニング】練習メニュー  一、腹筋(五百回)  二、ディップス(一回目)(二十五~四十回)   ※大胸筋と上腕三頭筋の強化  三、腕立て伏せ(五百回)  四、ディップス(二回目)(二十五~四十回)  五、シュラッグ(五十回)ダンベル・バーバル他 ※僧帽筋の強化  六、ブリッジ(首周りの強化)(3ラウンド9分)  七、エアロバイク   ※一~七を数セット  八、特に手首の強化・握力の強化  九、足腰の強化(特に臀部と太ももの強化)  最後にストレッチ(1ラウンド3分)(筋肉の疲れをとり終了)  ボクサーなら誰でもやっている基本的な練習を毎日考えながら変化を加えて繰り返した。  ミット打ち、サンドバッグ、マスボクシング。スパーリングの練習のときは田口マネージャーや村木トレーナーの厳しい声が毎日飛んでくる。  ベンタと海斗がサンドバッグの練習に入ると、二人の後ろで必ず田口と村木が交互に大声を出している。 「ファイティング原田や大場政夫のように一発でも多く打ち込め。パンチの雨を降らせろ!」 「内山高志のように色んなジャブを打て。打ちながらタイミングと距離を掴め」 「セレス小林のように相手のどこにパンチを入れるのかを考えながら打て」 「体が疲れてくると誰でも手打ちになる。しっかり腰を入れて打て!」 「体力がないと思ったらとにかく走れ。ひたすら走れ。走ることが自分に勝つことだ!」 「渡嘉敷勝男のようにパンチを打ちながら相手を観察しろ。攻撃パターンの癖を見つけろ!」 「体が無意識に反応して出るパンチこそ、練習を積み重ねたパンチだ」 「リングではどんなトラブルがあるかわからないぞ!」 「サミングやローブロー、ひじ打ちや裏拳、特にバッティング(頭突き)に気を付けろ」 「利き腕だけに頼るな」 「右構えでも左構えでも左右どっちのパンチも同じ強さでダウンさせるパンチを打て」 「左構えになったら、具志堅や長谷川穂積のように基本に忠実なボクシングをしろ!」 「川島敦志のように、ディフェンスとオフェンスの切替を早くしろ!」 「ワンツーをおろそかにするな。山中慎介のようにワンツーを磨いて世界を獲れ!」 「ボディーだ。井上尚弥のように強いボディーブローを打て! 相手の心が折れる!」 「フックは人間の本能で打てる。ストレートを打て」 「相手に見えないノーモーションでパンチを打て!」 「フックは諸刃の刃だ。武器にもなるが、カウンターの餌食にもなる」 「単調になるな。一流の選手はその瞬間を狙ってくるぞ」  周りで見ている練習生から驚きの声が上がる。 「おい、あの重くて硬いサンドバックを揺らしてるぜ。信じられねえ。俺たちが打ったってびくともしないどころか、手首や拳を痛めるレベルのサンドだぞ」  四回戦、六回戦といったプロボクサー数人が腹筋やストレッチをしながら、ベンタと海斗の練習に見入っていた。 「田口さんと村木さんはマイク・タイソンを育てたカス・ダマトや、メキシコの名伯楽イグナシオ・ナチョ・ベリスタインや、リカルド・ロペスを育てたクーヨ・エルナンデスの練習方法を研究して取りいれているらしいよ」 「徳川会長が現役の頃、米国に渡ってあのカス・ダマトに直接教えを受けたおかげで世界タイトルを獲ることが出来たって話だよ」 「カス・ダマトか? 俺たちにとったら名前しか聞いたことがない伝説のトレーナーだな」  徳川は会長としての所用で出掛ける時以外は、できる限りジムで練習している選手の様子を確認していた。Tシャツ姿で首にタオルを巻きながら、ジムに入るすべての選手に目を配り、田口や村木と一緒にアドバイスを送っていた。  ベンタと海斗が明日のデビュー戦を前にジムでの練習を終え、いつもと同じように選手寮でみんなと夕食をとりながら談笑した。  矢尾板と小島と【マーさん】に、 「じゃあ寝ますんで失礼します」  と、海斗が声をかけた。  ベンタも、 「失礼します。おやすみなさい」  と、続いて挨拶をした。 「おお、ゆっくり休め」  矢尾板が声をかけた。 「あんまり考えすぎるなよ。寝れなくなるからな」  小島が声をかけた。 「はい。おやすみなさい」  と、海斗が挨拶をしながら自分の部屋に入っていった。  部屋に戻っていく二人の後姿を目で追いながら、小島が矢尾板に話しかけた。 「矢尾さん、あの二人の練習は相変わらず凄まじい内容ですね」 「ああ、とにかく休憩をとるとか休むとかそういうことが練習メニューに入っていない」 「ひとつ明らかに違うことがある」  矢尾板が呟いた。 「えっ、矢尾さん、何のことですか?」  小島が味噌汁を飲み込んだ。 「田口さんと村木さんだ。海斗とベンタの二人には、明らかに今までと違う教え方をしている。普通の選手の育成方法とは、何かが違うと思うんだ」  小島のご飯を食べる手が止まった。 「やってることは俺達と大して変わらない、一見同じように見えるが……」      小島が唾をごくりと飲み込んだ。 「徳川ジムに入門してから、一貫して強いパンチを打つための身体作りを優先している。だからウエイトや階級を前提にして最初から肉体に制限を加える事をしていない。そしてパンチを貰わないための技術や軽減させる方法を徹底的に教え込んでいる。まあ、ざっとこんなとこかな」  矢尾板が感じたポイントを小島に列挙した。 「なるほど。手首と足腰の強化。特に臀部と太ももの強化。普通は最初からあそこまで突き詰めて鍛えないっすね」  小島も納得した。 「会長があの二人のために新しく購入したサンドバックは、ヘビー級用のサンドバックに仕上がっている。あれをガンガン揺らすぐらいのパンチを打てるようになったら、大変なボクサーになる」  矢尾板が真剣な表情で小島を見た。 「少しずつですけど結構叩いてましたよ」  小島も驚きの表情で矢尾板を見た。 「ベンタと海斗がスパーリングを始めて一年が経ったけど、コジは何か感じないか?」 「いやもう、有りありですよ」  小島が力を入れて話し始めた。 「田口さんと村木さんは、正真正銘、世界ランキング入りしたOPBF(東洋太平洋)のチャンピオンだった人たちですよ。田口さんは世界挑戦までした人です」  小島が右手に持っていた箸をおいた。 「そんな人たちの一流のフェイントやパンチを、たった一年であれだけ避けられるようになるなんて俺は信じられないっすよ」  小島が納得出来ないとでも云いたそうな顔で矢尾板を見た。 「俺も小島も階級が違うとはいえ、苦労してここまで上がってきた。反則すれすれの動きをする奴や、カウンター一発のパンチの怖さも知っている」  矢尾板が真剣な顔で小島を見た。 「そんな俺たちから見ても技術はともかく、ベンタのあのズシリと重いパンチ。海斗のまるで突き抜けるようなパンチは、他の誰とも質が違う。とてもボクシングを始めたばかりの十六七の子供のパンチとは思えない」  矢尾板も同じ事を感じていたのかと小島は心の中で納得した。 「特に不思議なのは海斗だよ」  矢尾板がどうにも腑に落ちないないというような顔をした。 「あいつはもっと出来るのにそれを見せないように覆い隠しているように感じるんだ」 「えっ?」 「本当はもうすでに四回戦どころか六回戦以上の選手と戦ってもやれるんじゃないかと思わせる何かを感じさせるんだよ」  と胸につかえていたものを矢尾板が吐き出すと、 「それは俺も感じてました。ちょっと尋常じゃないというか、何か得体のしれないものを持っているような。田口さんと村木さんは、多分とっくに気づいていると思いますけど」  矢尾板が、お前もかという顔をした。 「言葉では云い表せないような体の使い方というか、パンチの避け方というか?」  小島も敢えて今まで口には出さなかった不可思議な思いを初めて矢尾板に話した。 「やっぱりお前もそう感じていたか?」  矢尾板が腕組みをしながら小島を見た。 「筋肉質だけど鞭のようにしなって突き抜けるような異質なパンチ。柔らかい体の使い方。まるでベンタのパンチとは百八十度真逆なものを見せられている感じだよ」  矢尾板の言葉に小島が頷いた。  矢尾板と小島が、難しい顔つきになって考え込んでしまった。 「まあまあ、そんな難しい話は私にはよくわからないけど、矢尾ちゃんもコジちゃんも、海斗君もベンタ君も、四人全員みんながチャンピオンになる姿をわたしに見せてちょうだいねっ!」  傍で聞いていた【マーさん】が二人の肩を両手でたたきながら、優しい笑顔で二人に微笑みかけた。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 第三章に突入しました 。 ベンタと海斗の猛練習が開始されます。 練習の最中に、田口マネージャーと村木トレーナーが二人のかける言葉の中に、歴代の天才的な名ボクサーの名前が登場します。 そして基礎的な練習メニューに加え、 様々なトレーニングメニューが工夫されています。 いかがでしたでしょうか? 次回をお楽しみに・・・。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 「テイルズ」で連載中、【ベンタ】前編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「テイルズ」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(3)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ----------------------------------------------------------------------  【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 第15話 3-3 二人の戦いのはじまり。=プロテストから半年後= >     ----------------------------------------------------------------------  八月に入り、シャツ一枚でも汗が噴き出るほど気温が高くなってきた。  猛暑ではなく、まさに酷暑といった方がいいほどであった。  ここ数年の日本の暑さは異常だった。  ベンタと海斗は、ジムの応接室の椅子に座っていた。  部屋の中には大きな飾り戸棚があり、中には現役時代獲得した大小様々なトロフィーや、記念の盾があった。壁には数々の戦歴と栄誉を讃えた表彰状や、阪神淡路大震災、そして東日本大震災等でのボランティア活動に対する感謝状が飾られていた。  海斗が徳川ジムの現役ボクサー、現OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオン田上瞬と出会い、高校進学を諦めて東京でプロボクサーを目指すきっかけになったのも、ジム会長の徳川が率先して行った東日本大震災後のボランティア活動でのことだった。  ベンタと海斗は、マネージャーの田口に、練習の後応接室に来るように呼ばれたのだった。  部屋のテレビには、日本人同士で行われた世界タイトルマッチ史上最高の試合と云われ、高視聴率をマークした、永遠のチャンピオン大場政夫対花形進という、昭和の天才ボクサー二人が十五回フルセットの末、二―〇の判定で大場の勝ちとなった名勝負のVTRが映し出されていた。  ベンタと海斗の目の前には、徳川会長と田口マネージャー、村木トレーナーがいた。 思えば今年二月にプロテストを受けて合格し、三月に待ちに待ったプロライセンスが二人の元に届いていた。初めて見るプロボクサーC級のライセンスカードに感激して、余韻に浸りながら徳川ジムのみんなにお祝いをしてもらったのが、昨日の事のように思い出された。  それから約半年の月日が流れていた。 「二人に来てもらったのは、他でもない。待ちに待ったデビュー戦が決まった。と云ってもおまえたちのプロとしてのスタートは正式には十七歳を過ぎてから始まる」 ベンタと海斗は突然の報告に、驚きと同時に喜びとも戸惑いとも取れる複雑な表情を浮かべた。  田口マネージャーが手に持っていた資料をベンタと海斗、それぞれに手渡した。 「これが海斗の相手で、こっちがベンタの相手のプロフィールだ」  村木トレーナーが説明を始めた。 「海斗の相手は青田ジムの牧田浩一。高校時代はアマで活躍して一度ボクシングを離れて社会人になったが、奮起して一昨年デビューを果たした遅咲きの二十四歳の選手」  村木が海斗を見ながら続けた。 「元々はライト級の選手だが減量がきつくなって階級を一つ上げてデビューしてきた」  村木が資料に目をやった。 「スーパーライト級での戦績は二勝〇敗一引き分けで二勝はすべてKO勝ちのファイタータイプだ。この選手も将来必ず上に上がっていくだろうと期待されている」  海斗は黙って聞いていた。 「拳の怪我からの復帰戦という事でデビュー戦の海斗の試合を受けてくれたが、何しろアマの経験者でテクニックがあって、試合運びが上手いからかなり手ごわいぞ」  田口が海斗に向かって、試合予定を伝えた。 「試合は二ヶ月後だ」  田口が海斗とベントの両方の顔を見ながら続けた。 「そしてベンタの相手は竹中ジムの大田聡」  田口が資料を見ながら話を続けた。 「ミドル級の戦績は三勝0敗、但し前回判定勝ちで勝った試合で、右手の肘と肩、さらにその後練習中に拳を痛めて治療中だ。完治までかなり時間がかかる状況だと連絡が入ったから、それまでしばらくの間待ってほしいという話だ」  田口がベンタの表情を見た。 「他のジムも当たってはみるが、何しろスーパーウェルター級以上の選手を探すのは国内ではなかなか難しいんだ」  徳川も『そうだな』という顔をしながらうなずいた。 「取り敢えず試合が出来るまで半年以上かかると思って連絡を待とう」  田口がベンタの顔色を観ながら諭すように説明をした。ベンタは落ち着いて聞いていた。 「わかりました。逆にその分練習出来ます」  ベンタがはっきりと自分の考えを伝えた。 「試合が決まったら、頑張ります」  ベンタが少し高揚した表情で元気よく田口に答えた。  腕組みをしていた村木が微笑みながらうなずいた。  十五歳でジムに入門した頃の遠慮がちな曖昧さが消えて無くなっていた。  一年半に及ぶ節制と自己管理。アルバイトとはいえ仕事を全うする責任感と自信が、一人の少年の心をこれ程までに鍛え成長させたことに、徳川と田口、そして村木も驚きの表情を隠せなかった。  そしてプロボクサーとしての自覚が滲み出てきたベンタにはもう何も心配はいらなかった。 「そうだ! ベンタ、その意気だ」  田口が頼もしそうにベンタを観た。  海斗は静かに二人のやり取りを聴いていた。 「海斗は相手を想定して練習するぞ、臨戦態勢だ」  徳川が、ベンタと海斗に向かって気合を入れた。 「ここから人生をかけた本当のプロの戦いが始まる。二人とも頑張れ!」  村木が二人を見ながらゆっくりとした口調で話し始めた。 「海斗、ベンタ、良く聴いてくれ」  村木が普段とは違う神妙な面持ちで話を続けた。 「おまえたちはまだ十六歳だ。普通なら大人の世界とはあまり関わることはない。しかしプロの世界では年齢は関係ない。強いものが勝つ。体力と技術と反射神経と身体能力、より優れた者が上に登った行く。正に下剋上だ。そして頂点に立つ事ができた勝者だけが、【ビッグマネー】を稼ぐことが出来る」  村木が一呼吸おいた。 「プロスポーツとはそういう世界だ。特にボクシングはそれが顕著で、強者と弱者がはっきりとしている。但し同時に最も危険な格闘技でもある。お前たちは体が完成されていない年齢だ。いくら体を絞ってもまだまだ体が大きくなる可能性がある。だから階級もそれに合わせて上げざる負えないだろう」  全員が村木の話を静かに聞いていた。 「ファイティング原田さんやガッツ石松さんの時代なら階級が少なかったため、無理を承知で十五キロ以上の減量をせざるを得なかったが、現在は認定団体の数や階級が増えて、長く防衛をした場合はスーパーチャンピオンという認定制度も出来ている。一つの階級に一人のチャンピオンという時代でもなくなった。複数のチャンピオンが存在していい時代だ。頑張り続ければチャンピオンになれるチャンスは必ずある」  村木がベンタと海斗の二人の顔を見た。 「体力がないとラウンド毎に体のキレが悪くなって結局技術を活かす事が出来なくなる。基礎体力がついてきた今だからこそ大切なのは、【相手のパンチをもらわない技術】、そして【強いパンチを打つための持久力】を体に叩き込む事だ」  田口がベンタと海斗を見た。 「お前たち二人はこの一年半すべてを懸けて真摯にボクシングに取り組んできた。そばで見てきた俺たちが一番よく分かっている。すべてを捨てて、本気で努力をした者だけが成し遂げられる、特別な世界を俺たちに見せてくれ。わかったか?」 「はい!」  二人の声が一つに聞こえた。この一言で十分だった。  二人は瞬きもせず真剣な眼差しで村木を見た。  その純粋な情熱の力(パワー)に、周りに居た者が一瞬言葉を失うほどのオーラを感じるほどであった。  いま目の前にいるこの二人が、日本ボクシング史上、過去誰も見たことがない、そして誰も成し遂げたことがない、とてつもないプロボクサーになるような予感がした。  まるで地底のマグマが噴火する場所を探して猛烈なエネルギーを蓄えているかのような、ボクシングという世界の地殻変動が、この二人によって近未来に起きる予感を、その場に居合わせた徳川、田口、村木の三人が同時に感じて、身震いをしながら顔を見合わせた。  日本プロボクシング史上一度も実現された事がなかった夢のような出来事が、この日から数年先に待ち構えていようとは、徳川ジムのこの場に居た誰一人知る由もなかった。   さっきまで数十人の練習生がいたはずのジムの練習場は、まるで格闘技の宴の後のように今はひっそりと静まり返っていた。事務所の壁に掛けてある昭和のいつの年代のものか、大きな古時計の振り子の音だけが徳川万世のボクシング人生を称えているように聞こえていた。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 第三章に突入しました 。 大場政夫対花形進という、昭和の天才ボクサー二人の意地をかけた、 タイトル試合のビデオが流れるシーン、 二人のデビュー戦の相手が発表されるお話、 いかがでしたでしょうか? 次回をお楽しみに・・・。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 「テイルズ」で連載中、【ベンタ】前編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「テイルズ」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(2)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ----------------------------------------------------------------------  【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 第14話 3-2 徳川万世と権田坂実松 >     ----------------------------------------------------------------------  今日は「お食事処ごんべい」の休みの日だった。  権田坂実松とおかみさんは朝食を簡単に済ませた後、ふたりでテレビを見ながらゆっくりくつろいでいた。  今日は徳川が自宅に来ることになっていた。  前日親友の徳川万世から電話があり、 「明日相談したいことがあるから」  と云われて徳川が来るのを待っていた。徳川は午前十時頃にやってきた。  そして手土産をおかみさんに渡しながら、 「お早うございます」  と徳川が挨拶をした。 「みっちゃん、わるいねえ、休みなのに朝から時間をもらっちゃって」  と頭を下げた。 「お早うございます」  おかみさんも徳川に挨拶を返した。 「こちらこそ、いつもすみません」  と笑顔で出向かえながら、 「さあ、上がってください」  と両膝を突いて来客用のスリッパを整えた。 「では、遠慮なく」  徳川が綺麗に揃ったスリッパに履き替えて、リビングに入っていった。 「徳ちゃん、待ってたよ。なんだい今日は?」  権田坂が笑顔で徳川を招き入れた。  ダイニングテーブルの上には湯呑が二つ置かれていた。  権田坂実松とおかみさんはいつも二人でゆっくりとお茶を飲むのを日課にしていた。  めったにお茶以外の飲み物は飲まなかった。  たまに人との付き合いで外食をするとき以外は、珈琲や紅茶、その他炭酸やジュース類等の飲み物を飲むことは一年を通しても殆どなかった。  徳川は、テーブルの椅子に腰を掛けた。 「どうぞ」  おかみさんがすぐに徳川の目の前におかれた湯呑にお茶を入れた。 「みっちゃん、おかまいなく」  と云いながら、いつも被っている日よけ用の帽子と肩から下げる男性用のおしゃれなショルダーバックを隣の椅子に置いた。 「遠慮する柄でもないだろうにさ」  権田坂が徳川を見て笑った。 「ハハハ、ちげえねぇ」  徳川が照れるように笑った。 「でぇ、話つうのはなんだい? 徳ちゃん」  権田坂の方から口火を切った。 「お茶をいただくよ」  徳川が湯呑を持って【静岡掛川茶】の香りを楽しみながらすすった。 「ハァ、やっぱり権ちゃんとこのお茶は違うなぁ。こりゃ美味しいや」 「そんなぁ、でもありがとうございます」  おかみさんが笑顔でお礼を云った。 「自分で云うのもなんだが、確かに旨いな」  権田坂が一口飲んでおかみさんを見た。 「あら、あんたまで。徳川さんは気を使って下さってるんだから」 「うまいもんは旨いよなぁ、徳ちゃん?」  権田坂が徳川の顔を見た。 「アァ、俺は昔っから本当の事しか云わないよ」  徳川が続けた。 「そのついでって云っちゃぁなんなんだがな、権ちゃん」 「なんのついでだい? 徳ちゃん」  権田坂がおかみさんを見ながら笑った。 「実は折り入って頼みがあってきたんだ」  徳川が思いつめたまなざしで権田坂を見た。 「見ての通り、金ならねえよ」  権田坂のいつものお返しだ。 「金の頼み事なら、はなっからこねぇさ」  徳川が苦笑いした。 「ちげえねぇ」  権田坂が納得した表情をしながら笑った。 「はははっ、冗談だよ。これゃ失礼。みっちゃん、気にしないでね」  徳川がおかみさんを見ながら、両手を合わせた。 「いいんですよ、二人の掛け合いには慣れてますから」  おかみさんが笑いながら右手を横に振った。 「じぁ、何だい?」  権田坂が重ねて聞いた。 「権ちゃん、海斗のプロボクサーとしての戦いがこれから始まる」  徳川の目がいつになく真剣だ。 「そんなことぁ分かってるさ」  権田坂が湯呑に手をかけた。 「そこで権ちゃんの力が必要なんだ」  徳川が力を込めた。 「徳ちゃん、俺は知っての通りボクシングの世界から身を引いた人間だよ」  権田坂が目線をそらしながら、手に少し力を込めて湯呑を握った。 「こんな年をとった今の俺じゃあ、とても力になんかなれねえさ」  権田坂が目線を下ろしながら、ゆっくりとお茶をすすった。 「試合になった時、冷静に相手を分析して、その場で的確なアドバイスが出来るスタッフがうちのジムには俺と田口と村木しかいない」  徳川が力を込めた。 「試合当日、もし何らかの事情でこのうちの二人が欠けたら、試合の成立が非常に難しくなる可能性がある」  徳川が真剣な表情で権田坂を見た。 「ましてや一分間のインターバルで、ボクサーの体力を回復させなくちゃいけない。加えて血止めのワセリンを塗るのにも技術と経験がいる。ボクシングの基本とテクニック。試合の流れや相手選手の動きを見る眼力! そのすべてを叶えられるのは、信頼できる権ちゃんしかいない!」  徳川が背筋を真っすぐにした。 「権ちゃん、俺に力を貸してくれ。そしてうちのジムで田口や村木のサポートと、若い海斗やベンタの力になってくれないだろうか?」  徳川が祈るような気持ちで、権田坂を見た。 「そんなことぁ、急に云われたって……」  思いもよらない話に、権田坂は湯呑を握りしめながら、さらに下を向いていた。  権田坂実松は現役時代、日本ジュニアフェザー(現スーパーバンタム)級のチャンピオンとなって五度防衛し、OPBF(東洋太平洋)ジュニアフェザー級タイトルに挑戦したが、試合中の相手選手の故意に近い偶然のバッティングで出血し、傷が深く血が止まらなかったためTKO負けとなり、そのまま世界チャンピオンを目指すことなく引退した。  それは過酷な減量苦と一つ階級を上げてしまうと徳川と同じフェザー級になるという理由で、すべては親友徳川と戦わないようにするための配慮からだった。  しばらくは所属していた帝王ジムでトレーナーをしていたが、ある時ボクシングから一切身を引き、突如料理人を目指して修行を始めた。現役当時からお世話になっていた行きつけの和食のお店があり、そこの一人娘だった現在のおかみさんと結婚して、引退後の人生の再構築をする為の選択だった。  おかみさんの実家の和食料理店は東京の下町にあった。  兄がひとりいて、父の跡を継ぎ店を繁盛させていた。  暫く沈黙の時間が流れた。 「権ちゃん、覚えてるかい、俺と権ちゃんが新人王トーナメントの予選組み合わせで同じジム出身同士なのに戦う事になった時、権ちゃんは拳の怪我を理由に出場を取りやめた」  徳川が優しい眼になって、権田坂を見た。 「そしてトーナメントが終わった時、俺とほぼ同じ体格の権ちゃんが、『階級を一つ下げることにしたよ。ジュニアフェザー級だ。その方が有利だからな』と笑顔でおれに云いに来た。俺でさえフェザー級のウェイトを維持する減量が辛かったのに権ちゃんは……」  徳川の眼に涙があふれ、声が上擦った。 「その時、俺は人目もはばからず泣いた。只々、ただただ涙が止まらなかった」 「徳ちゃん、あのなっ」  権田坂が少し顔を上げて何かを云いかけた。  その時、傍で聞いていたおかみさんが権田坂の左肩を右手でバシッと叩いた。 「もう、あんた、徳川さんがこれだけ云ってくださってるんじゃない!」  おかみさんが権田坂の顔を見ようとした。 「私の事は心配しなくていいから、もう一回ボクシングをやって!」  権田坂の肩が震えていた。 「ボクシングやりたいんでしょ?」  おかみさんが権田坂の背中に向かって話しかけた。 「海斗君のことが気になってしょうがないんでしょ?」  権田坂は背を向けていた。 「何かの縁でうちに来てくれた海斗君だってきっと喜んでくれるわよ」  おかみさんが徳川の方を見た。 「ねえ、徳川さん?」  まだ下を向いてうつむいている権田坂の顔をおかみさんがのぞきこんだ。  権田坂は泣いていた。うつむいたまま、右手でこぼれる涙を拭っていた。 「徳ちゃん」  権田坂が泣きながら顔を上げた。 「俺なんか、こんな年でどれだけ力になれるかわからねぇ」  権田坂が徳川を見た。 「……けど、……」  徳川とおかみさんが権田坂を見た。 「やらせてもらうよ」  権田坂は真剣な眼で徳川を見た。 「権ちゃん……」  徳川の目に涙があふれた。 「ありがとうな……うぅ……」  徳川も泣いていた。 「何しろこちとらボクシングの体じゃねぇからな」  権田坂の心に現役時代の闘志がめらめらと蘇ってきた。 「動けるようになるにはだいぶかかるぜ、徳ちゃん」 「あぁ、少しずつで構わねぇさ。やれる範囲で充分だ」  徳川が気を使いながら権田坂を見た。 「徳川さん、この人のこと、宜しくお願いします」  おかみさんの目がうるんでいた。  権田坂が涙をぬぐって、おかみさんを見た。 「お店だって今まで以上に頑張らなかったら、海斗も困るしなあ」 「あんた! やる以上は両方とも一生懸命頑張らなかったら承知しないからねっ!」  おかみさんが権田坂の左肩を思いっきり右手で叩いた。 「痛ぇ!」  権田坂が叫んだ。 「実はこないだ実家の兄に相談してお弟子さんを一人手伝いに来てもらうようにお願いしたばかりだったんですよ」  おかみさんが徳川を見た。 「兄がうちの店のことも心配してくれて、そのつもりだった、って云ってくれました」  おかみさんが『私に任せなさい』という顔をして権田坂を見た。 「権ちゃん、みっちゃん、どうかこの通り、よろしく頼みます」  徳川が頭を下げた。 「そうと決まったら……」  権田坂が右手を上げて気勢を上げた。 「よーし、頑張るゾウ!」  「そうだ、その意気だ。頑張れぇ!」  おかみさんが両の手を口にあてて、メガホンのかたちにして掛け声をかけた。 「ハハハッ、ハハハッ」  三人の笑い声がリビングに響いた。  おかみさんが権田坂と徳川を見ながら、拍手をして場を盛り上げた。  権田坂実松は徳川ジム専属として登録し、田口や村木、田上等選手たちから大歓迎を受けてジムに通い始めた。そして年齢を考慮しながらストレッチを中心に少しづつ体を動かし始めた。  長年の料理人としての立ち仕事で使っている筋肉以外を鍛えて、動ける身体を作るために、まずはウォーキングと柔軟体操、腕立て伏せ、縄跳び等徐々にトレーニングを開始した。 それから数か月、おかみさんの協力のもと、ひたすら努力を続けた権田坂実松は、JBC(日本ボクシングコミッション)に【セコンドライセンス】の取得手続きを済ませた。  そして「権(ごん)さん」の愛称で少しずつジムのボクサーにアドバイスを始めた。  伝説の元日本ジュニアフェザー級(現スーパーバンタム級)チャンピオンと謳われた権田坂実松が、数十年ぶりに日本ボクシング界に本格的な復帰を果たしたのだった。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 第三章に突入しました 。 親友、徳川万世と権田坂実松の生涯にわたる二人の友情と、 権田坂を現役時代から支え続けたおかみさんのお話、 いかがでしたでしょうか? 次回をお楽しみに・・・。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 「テイルズ」で連載中、【ベンタ】前編 をお楽しみください!  次回以降も、現在「テイルズ」で公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 11月20日

    「ベンタ」【第三章】に散りばめられたエピソード再発見!(1)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。 主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。  長いランニングから帰ってきたベンタと海斗に、村木が次の段階に入ることを告げます。プロボクサーになるための新人テストです。  合格に向けて、猛特訓が始まります。準備万端、ついにプロテスト当日を迎えます。(ここまで第一章・第二章) ここからの続き……。  お待たせしました。いよいよ、第三章のはじまりです・・・!  ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」第三章 本文でお楽しみください。 ----------------------------------------------------------------------  【闘いの始まり(二〇二四年・二五年 ベンタと海斗 十六歳―十七歳)】 < 二人のプロボクサー誕生 (二〇二四年二月)>     ----------------------------------------------------------------------  二月の東京の天候は温暖化の影響で昔ほどではないとはいえ、それでも曇天の日に比べると快晴の日の方が風があり、真冬の肌寒さを感じる日が多かった。  今日はベンタと海斗にとって、待ちに待ったプロテストの試験日当日、空は快晴だった。  徳川ジムを代表して田口マネージャーが付添人となり、二人を東京の後楽園まで車で 送迎をしてくれる事になっていた、の予定だったが、矢尾板と小島がオブザーバーとして同行を云い出した。       【プロボクサー新人テスト】の試験は、通常年四回以上あり、テスト生の希望人数や体重別のバランス次第で十回近く行われる年もあった。  会場は東京のほか全国数カ所で行われることになっていた。  田口マネージャーはベンタと海斗を車に乗せて、松戸から国道六号線(旧水戸街道)を上って亀有から本所を通り、水道橋の後楽園ホールに向かった。  プロボクサー新人テストは、JBC(日本ボクシングコミッション)の規定では受験年齢に制限があり、現在は十六歳以上三十四歳までとなっていた。仮に十六歳で資格試験に合格しても、実際に試合に出場できるのは十七歳からというのがルールの基本だった。  徳川会長と田口マネージャーは、ベンタと海斗を、 「同じスタートラインに立たせたてやりたい」  という思いで、二人同時に受験させることを決めていた。  海斗は去年の九月六日にすでに十六歳になっていたが、プロテスト試験の開催は不定期なため、ベンタが年明けの一月三十日に十六歳になるのを待ってから申し込みをすることにしていた。試験が二月のこのタイミングでの受験となったのはそんな理由からだった。  二人はまずC級の受験料の支払いと、コミッションドクターの健康診断書、及びベンタと海斗のような未成年者はさらに親権者の承諾書が必要だった。  理由はスパーリングと呼ばれる実技の試験は、対戦する者同士が直接パンチを打ち合い基本技術が身に付いているかどうかの判定をするため、試験とはいえ万が一の場合を想定しての事であった。これは晴れてプロになれた場合の試合も同様の条件である。  二人はそれぞれ書類を揃え、最終的に取りまとめて田口マネージャーが試験を申し込んだ。完了すると二人の手元に受験票が届いた。  ベンタと海斗は 様々な用具を準備して、試験に臨まなければいけなかった。  受験票のほか、マウスピース、バンデージ、ヘッドギア、ノーファールカップ、そしてリングシューズを持参して、田口マネージャーと一緒に東京の後楽園ホールに向かった。  東京の試験会場は、日本ボクシングの歴史を刻み続けてきた聖地、後楽園ホールだった。  ここは読売ジャイアンツのホーム球場、東京ドームも隣接しており野球の殿堂でもあった。  ベンタと海斗にとって水道橋の後楽園に来たのは生まれて初めてのことだった。というより上京してからもうすぐ一年になろうかというのに、電車に乗って東京都内にさえ来たことがなかった。なにしろ上京してからの生活は、寮とジムとバイトの往復で、故郷に残してきた家族のことを思うとゆっくり東京見物をしている気持ちの余裕など全く無かった。   ベンタと海斗の唯一の楽しみは、B通グルメ&ラーメン通の先輩小島にラーメンの激戦区といわれる千葉県内の美味しいラーメン屋に連れて行ってもらうことだった。都内にも東池袋大勝軒等、名店と謳われる店が多く有り食べに行きたい気持ちはあったが、東京と千葉は近いようで何故か遠いイメージが二人にはあり、先輩の小島に『連れて行って欲しい』というのがなかなか言い出しにくく、さらに東京都心と近郊の路線は複雑で電車に乗る気にはなれなかった。  地方から出てきた若者にとって、日本の中心である東京への憧れの気持ちは必ず心のどこかに持っているものだが、ベンタと海斗の二人にも少なからずその感情があり、気持ちを高揚させる要因にもなっていた。田口が運転する後部座席の車の窓から久しぶりに見える都内の景色は、十六歳の若い二人の目に新鮮な驚きと静かな感動を与えたのだった。  水道橋駅の周辺には多くの大学や専門学校があり、通学する若い学生のアカデミックな雰囲気と、オフィス街のサラリーマンの昼と夜の胃袋を満たす飲食店が立ち並び、加えて子供向けというより若者向けの遊園地やバッティングセンターなどの遊技場、場外の馬券売り場が混在し、様々な年代や客層で賑わうエンターティメント性の高い街でもあった。  また新宿・渋谷・池袋・御茶ノ水・高田馬場と同じく昔から若い学生が多く集まる街の特徴か、水道橋の駅周辺にも小さな箱を持った怪しげな寄付を集める者や、本当の姿を隠した新興宗教的ネットワークビジネスの勧誘や高額な商品を割賦払いで購入させる新手の詐欺を目的とした輩が、まだ世の中の道理をわきまえていない若者をターゲットに声をかけている光景が昔から跡を絶たない、そんな側面も持ち合わせている街でもあった。  プロボクサー新人テスト受験生は、三十分前までに後楽園ホールの四階控室に集合し試験管から説明を受けた。まずは筆記テストの試験があり、終了後、計量が行われる。  終わった者から順にコミッションドクターの検診を受けて、問題が無ければ、スパーリングによる実技の試験が行われるというスケジュールだった。 合否は翌日に発表されることになっていた。  ベンタと海斗は、屋内にある小さな部屋でまず最初に筆記テストを受けた。  ボクシングのルール等に関しての基本問題が出題され、マルバツ方式で解答する。  時間は十五分くらいで終了した。  採点はすぐに集計され、目標は八割以上の点数が求められた。満点をとる選手もいるが、点数が悪い選手は呼び出しがあり勉強不足ということで直接注意を受ける。  ベンタと海斗は無事何事もなく、計量室に向かった。  集まった選手や付き添いのジム関係者に、JBCの職員が次の進行の指示を伝えた。 「選手の皆さんは、計量のあと、コミッションドクターの検診があります。問題がなく終わったら、後楽園ホール五階に移動して実技テストの準備となります」 「それではこれから計量を始めますので、番号順に一列に並んで下さい」  ベンタと海斗が計量の為、部屋の隅でジャージを脱いでいるとき、マネージャーの田口のもとに何者かが近づいてきた。それは思いもよらない旧知の間柄の男だった。 「田口さん、お久しぶりです。お元気で何よりです」  アマチュア時代日本代表候補として共にオリンピックを目指し、選考会では奮闘したもののお互いオリンピック代表になれずプロの道に進んだ。  田口はアマチュア時代ずっとフェザー級だった。  田口より一学年下で、ウエイトは二階級下の元バンタム級OPBF東洋太平洋チャンピオン、札幌安河ジムの森本だった。 「やあ、随分と久しぶりだね。相変わらず元気そうじゃないか?」  田口が満面の笑みで嬉しそうに応えた。そして森本が右手を差し出して握手を求めた。 「あの時、君がオリンピック代表になっていたらメダルを獲れてたのにな」  田口も喜んで固い握手を交わした。 「田口さんこそ! 俺は昔から田口さんのボクシングスタイルが大好きでしたから。本当にいろいろ勉強させてもらいました」 「嬉しいこと言うなあ。森本君はあの頃から強かった。そしてプロでもやはり強かった」  二人は現役時代の懐かしさがこみ上げてきて、感慨深いものがあった。 「そういえば、故郷の北海道に帰って指導者になるって聞いてたけど」  田口が昔を思い出し、うる覚えの記憶をたどりながら近況を尋ねた。 「いつからこっちに来たんだい?」 「いやあ、東京の八王子ジムと業務提携話が持ち上がって、取り敢えずボクサーやトレーナー教育も兼ねて暫く東京の方にいることになったんです」  森本が照れ笑いを浮かべながら、自分にとっても思いがけない出来事だったと説明した。 「東京の生活が落ち着いたら、徳川ジムの方に連絡させてもらおうと思ってはいたんですが、まさかここで田口さんに会えるとは驚きました」 「そうだったのか? まあ何にしても会えてよかったよ」  田口がにこやかな表情で、 「今日は新人テストの付き添いかい?」  と、森本に尋ねた。 「八王子ジム期待の子がテストを受けるんでその付き添いです」  JBCの職員、計量の係員の声が聞こえた。  体重計の前に一列に並ぶように指示がなされた。  ベンタと海斗も云われたとおり番号順に並んだ。   「期待の選手ってことはアマ出身かい?」 「ええ、去年の高校総体で優勝してます。田口さんは総体チャンピオンでしたよね」 「はははっ、昔の話だよ。どの子だい?」   「次の番で計量する子です。もうすぐ十九歳です」  森本が指さした。 「尾崎っていいます。十二歳からボクシングを始めてキャリアは相当です。高校卒業して一年間プロの練習を積んだおかげで体がかなりできてきました」 「知ってるさ、昨年高校で活躍した尾崎君だろ? みんな注目してた選手だよ。八王子ジムに入ったのかい? 将来のオリンピック候補っていわれてた大変な逸材じゃないか」  田口が不思議そうな顔で尋ねた。 「大学に進学しなかったのかい?」 「いや、実は都内の大学に進学したんですが、そこのボクシング部に馴染めなくて中退しまして。彼のお父さんが八王子ジムの会長と知り合いだった縁でプロを目指すことになったという訳です」  尾崎の表情を見る森本の期待感がずしりと伝わってきた。  新人テスト独特の雰囲気に飲まれているのか、各選手がそれぞれ緊張した面持ちで自分の番が来るのを待っていた。一番から計量が始まり、次々と終わっていった。  ウエイトの軽い選手から始まり、最後が一番重い選手という流れで行われた。 「十番、122ポンド」  係員の声が聞こえた。 「スーパーバンタムかい? 筋肉質の締まった良い体じゃないか」  田口が目を細めた。  係員がどんどん計量を進めていた。  いつの間にか海斗の順番が近づいていた。 「次、十五番」  係員の声が聞こえた。 「はい」  海斗が返事をして計量台に上がった。 「十五番、138ポンド」  田口が海斗を指差した。 「あの子がうちの選手だよ」  海斗が田口の方に戻ってきた。 「スーパーライト級ですか?」  田口がニコリとして頷いた。 「昔のジュニアウェルターか、永遠のハードパンチャー浜田剛を思い出しますねえ」 「まだ顔が若いですね。いくつですか?」  森本が尋ねた。 「十六歳だよ」  田口が即答した。 「十六歳?」  森本が驚いた様子で聞いた。 「うちの尾崎とは階級がちょっと違いますが? でも良い筋肉がついてる」 「何か別なスポーツはやってきたんですか?」  森本が尋ねた。 「中学まで野球をやってたから基礎体力は持ってたよ」  田口がニコリと微笑んだ。 「今日はもう一人いるんだ。列の一番最後に並んでいる大柄な子」  田口に言われて森本はベンタの方を見た。 「随分とまた体格が良いですね。年はいくつですか?」 「十六歳になったばかりだよ」  田口がまたもや即答した。 「えっ本当に十六歳ですか? いやいや驚きましたねえ」  森本が呆気に取られたという表情を見せた。 「中学までバスケをやってたんだ。まだまだ大きくなりそうだよ」  田口がつぶやいた。 「こんな若くて大柄な二人をどうやって見つけてきたんですか? ホントにうらやましいなあ」  森本がただただ驚いたという表情をした。  計量が最後のベンタの番になった。 「これで最後だな。次、十八番、台にのって」  係員がベンタの番号を呼んだ。 「はい」  ベンタが返事をしながら計量台にのった。 「十八番、156ポンド」  ベンタが計量台からおりた。 「ミドル級ですか? 未来の竹原慎二か村田諒太ですね」  森本がにこやかに微笑みながら田の顔顔を見た。 「若くて楽しみな子が二人も入ってきましたね。田口さん」  森本が右手の人差し指と中指を二本立てて、V(ブイ) の字を作って笑った。 「まあ、次の実技テストのスパー、うちの尾崎の出来も楽しみにしてください」 「まさか、普通にプロテストを受ける必要はない気がするが」 「本当はB級からの予定だったんですが、なかなか受けてくれるいい相手が見つからなくて……」 「まあ、C級でデビューしても、新人王になればランキング入りできるという考えです」 「何はともあれ尾崎君を見ることが出来るなんて、ありがたいよ」 「じっくり拝見させてもらうよ」  田口と森本がお互いの選手を激励し合った。  プロテスト受験生とジムの付添人が後楽園ホールの五階に集まった。  この五階ホールのリング上では、今日の夜プロボクシングの興行が行われることになっていて、日本タイトル戦を含め数試合が開催される予定になっていた。  だいたいは興行試合の当日の午前中にプロテスト試験が行われることが多かった。  通路側から見上げるとぐるっと一周四方から観客席が迫り上がり、ホールの真ん中にはまるで獰猛な猛獣を入れる檻のようにロープに囲まれたリングが存在していた。  よく見ると所々血に染まった個所があり、正にこの四角いリングこそが数え切れないぐらいの名試合や死闘を繰り広げてきたボクシングの聖地であることの証明そのものだった。  ウエイト(体重)の軽い選手同士から一組になって、呼ばれることになっていた。  ベンタと海斗たちプロテスト受験生は、リングの周りに自分の荷物を置き、上半身は裸になり、下は動きやすいものをはいた上にノーファールカップ着用し、ソックスとリングシューズを履いた。バンテージは通常のスパーリングの時と同じように自分で巻く。  まだまだ上手く巻けない選手も中には数人いた。グローブを付添人につけてもらい、紐は必ず外側で結ぶ。最後のヘッドギアはリングに上がる前にかぶる事になっていた。  準備ができた段階で、試験官により組み合わせが発表され、スパーリング時の注意が行われた。スパーリングの評価基準は、ワンツーと防御、ステップの基本が身に付いているかがポイントとなり採点される。  相手をダウンさせたからといって合格ではなく、基本ができていないと逆に試験を落とされることもあった。スパーリングの最中は、選手への指導や、ミット打ちの音、声援等はしてはいけない事になっていた。  最初は小柄なミニマム級(105ポンド以下)のクラスからスパーリングが始まり、順番にウエイトが重い階級になっていく。レフェリーから確認として2ラウンド制で行い、1ラウンドは通常の三分ではなく二分三十秒で、インターバルは通常の一分ではなく三十秒の特別ルールで行われることが伝えられた。 「一番と二番、リングに上って下さい」  呼ばれた番号の選手が、リングシューズの紐を最後に確認した。  リング下にある松ヤニをシューズにつけて青コーナーと赤コーナーからそれぞれ選手が上がった。  『カーン!』ホール全体に突き抜けるように開始のゴングが鳴り響いた。  ホールに居る選手、関係者の顔に一瞬で緊張が走った。  一組目がスタートした。 「ボックス!」  レフェリーの掛け声がホールに響いた。  両方のコーナーから二十歳前後の選手がお互いにゆっくり歩み寄りリングの中央付近で、最初はお互いにお見合いをしながら手が出せないでいたが、レフェリーから促されて、今度は逆に頭を下げて近づきすぎたため、防御が殆どないまま近距離でただ手を振り回して打ち合い始めた。  他の出場選手はリングの下からその様子を観察するように見ていた。  出番がかなり後ろの選手は座りながら立膝の上でグローブに顎を乗せてニヤけていたり、ある選手は「こりぁだめだ」と小声でつぶやきながら苦笑していたり、次に呼ばれる選手は軽くステップを踏みながら自分の動きが一方通行にならないようにシャドーをしていたり、またある選手はブツブツ呟きながら人のことより自分のことで精一杯という様子の者や、座って両足を組んで無言のまま観ている選手、いろいろなジムの関係者が自分の所属の選手が呼ばれるのを今か今かと心待ちにしながらリング上の選手の出来具合に目をやっていた。  いつの間にか二分三十秒のゴングが鳴り第一ラウンドが終わった。  観ている関係者からすると、「あれ、もう終わったのか」と思える程度の時間の感覚も、スパーとはいえ今日初めて会った選手と戦っているテスト生にとっては、普段ジムのリングでやっているスパーリングとは違い、まるで倍以上の時間に感じるほどの緊張感と疲労が体に蓄積された。  立ったまま三十秒のインターバルが終わり、第二ラウンドが始まったが、あれで合格するのかな?と周りが観ている間に、2ラウンド目もあっという間に終了し、二組目の三番と四番の選手がコールされ両コーナーからリングに上がった。  ベンタと海斗の出番は後ろの方だった。  ベンタは十八番の最終九組、海斗は十五番の八組目だった。  二人で椅子に腰掛けながら一緒にリングの上で打ち合っている受験生の動きを見学していた。  その後ろから田口マネージャーが小声で声をかけた。 「いいか、大事なことはステップ、ワンツー、防御だ。相手の動きをよく見てジムでやってきたことをそのまま出すんだ」  田口がベンタを見た。 「おまえたちはスタミナは問題ない。自信を持っていけ!」  田口が海斗の目を見ながら云った。 「倒すことが目的ではないぞ。相手のパンチをもらわない、自分のパンチをコンビネーションで入れるんだ。タイミングだ。相手が俺だと思って打ってこい、わかったな!」  二人は田口に真剣な顔を向けながら頷いた。  そしてグローブの中の拳を握りしめながら、ベンタと海斗の眼は『見ていろ、やってやるぞ』という気迫に満ち溢れていた。   組み合わせのスパーリングは、一組2ラウンドの短い時間なので、あっという間に進行していった。  気がついてみると、田口の友人、森本がいる八王子ジム期待の尾崎が登場する五組目の順番になっていた。  田口がまた二人にささやくように声をかけた。 「いいか、いよいよ高校総体チャンピオンの尾崎が出てくるぞ」 「アマのトップクラスの力量をよく観ておくんだ」  田口がベンタ地海斗を見ながら云った。 「この組が終わったら、海斗は体を温めておくようにな」  ベンタと海斗はリングの中央に注意深く視線を向けた。 「九番、十番、リングに上がって下さい」  オブザーバーとして手伝いに来た現役選手や他のジム関係者、通常はプロテストでは見受けられないマスコミ関係者も今日は取材撮影を許可されてホールの中で待機していた。   尾崎が登場すると一斉にフラッシュがたかれた。   尾崎が手足を動かしながら首を上下左右に振り、緊張している様子は全くなかった。 「ボックス!」  レフェリーの声がホールに響いた。  尾崎と相手が向き合って少しづつ距離を縮めた。  オーソドックススタイルの相手が体を上下に揺らしながら、ゆっくり近づいた。  前傾した体勢から相手選手の左ジャブが飛んできた。一旦距離をとってかわし、続けて飛んできた相手のジャブとワンツーをすべて巧みに避けた。  まるで相手のパンチがスローモーションに見えているかのようだった。  相手選手のストレートがヘッドギアをした尾崎の顔の付近をわずかにかすめたように見えた。その瞬間、尾崎の左手から放たれたパンチが目にも止まらぬ速さで相手のグローブの間から顔面を捉えた。  ジャブというより左ストレートに見えるパンチが、  「バシッ!」  と、音を立てて決まった。  その一撃でヘッドギアごと相手が顔が揺れガードが緩んだ瞬間を尾崎がさらに見逃さなかった。続けざまに尾崎の左ジャブが顔面を捉えた。  左ジャブの連打が面白いように決まる。  相手にガードをする間を与えない。  相手のパンチを避けながら時折鋭いワンツーが伸びて顔面を捉えた。  相手を選手がテストにならなくなるのを避けるためにやっているのは明白で、すべてのパンチに力を入れて打っていなかったが、時折出す右ストレートがしっかり顔面を捉えていた。  軽くステップを踏みながら尾崎が遊んでいる感じにしか見えなかった。  最初から尾崎にとってはデモンストレーションとしか思っていない様子だった。  尾崎が軽く流しながら一ラウンド目が終了。  全く息が切れていない尾崎とは対照的に、相手選手は汗だくの状態で軽いパンチとはいえ、しっかり急所に入っているためすでにグロッキー気味の状態だった。  それぞれコーナーに分かれて立ったまま三十秒間の休憩が終わると、またリングの中央に集まり、二ラウンド目のゴングが鳴った。  尾崎は二ラウンド目も相手の練習台となり基本通りにパンチを出して流して終わった。  テストを受ける相手選手のために配慮したスパーだった。  誰もが衝撃的な何かを期待していたが、それは期待外れに終わった。  尾崎にとっても所属する八王子ジムにとっても大事なデビュー戦とそれから始まる新人王トーナメントにその何かを温存させたのだった。  殆ど左ジャブしか出していなかった。 「見たか、あれが尾崎だ。アマのトップがお前たちにほんの少しだけ実力の片鱗を実践で見せてくれたんだ。よく見たか? 勉強になったな」  田口が海斗とベンタに囁いた。  六組、七組目が終わり、いよいよ海斗の番となった。  いつも通りで気負いがなく全く緊張している様子が見えなかった。 「落ち着いていけ。相手をしっかり見て基本通りのパンチを出すんだぞ」  田口の声が聞こえた。  海斗が、 「はい!」  と、頷きながらマウスピースを口に入れた。  ヘッドギアをした上半身裸の海斗が、同じスーパーライト級の選手とリング中央に集まり向かい合った。  レフェリーからローブローと手数を出すことの注意を受けながら、お互いのグローブを両手でコツンと合わせて挨拶をした。一旦両コーナーに分かれて、待機をしながら海斗は軽くステップを踏んだ。 「カーン!」  一瞬の静寂を切り裂くようなゴングが鳴り、ついに海斗のスパーが始まった。 「ボックス!」  レフェリーが叫んだ。  緊張の一ラウンド目は、どんな選手でも普通は思うように動けないのが当たり前で、ましてやプロテストとなると習ってきた事の何分の一も
  • 11月10日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 3,500 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    「カクヨム」と同時連載をしておりました、  小説投稿サイト「ノベルデイズ」で、   3月に連載が始まった、 ープロボクシング青春小説ー『ベンタ』が、  なんと、 【 3,500 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、  乗り越えようとする 二人の十五歳の青年、ベンタ と 海斗。  5年に渡る奇跡の物語(全7章)の【前編】序章~第三章。  ボクシング や 格闘技 が 好きな方。  物語の舞台となっている千葉県 松戸市、  ベンタの出身地 和歌山県、  海斗の出身地 岩手県 三陸エリア に、  現在 お住まいの方、または、ご出身の方。  阪神淡路大震災、東日本大震災、  能登半島地震等で被災された方。 「ベンタ」のもう一人の主人公、分銅海斗は、  東日本大震災の被災者です。  人生に迷い、悩み、苦しんでおられる方。  そして 何より 【青春・努力・友情・夢の実現 の 物語】 が 大好きな方。ぜひ みなさんで、 多くの方におすすめください。 【序章】~【第三章】まで公開中(全7章)    ※ 特別編 2作品   (1) 序章  特別編 【 分銅家の因縁。清巌流宗家、藤堂白鷗 】  (2) 第三章 特別編    【 二人の祝勝会と突然訪れた淡い青春の出会い 】      の 発表まで、もうしばらくお待ちください。    どうか、みなさんお楽しみに!  今後とも、「ベンタ」に、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年9月19日

    ありがとう!「NOVEL DAYS」で、「ベンタ」が【 3,000 PV 】突破!!【序章】~【最終章】まで 全7章

    3月に連載が始まった「ベンタ」が、 同時掲載をしております「ノベルデイズ」で、 【 3,000 PV 】を突破! いたしました。  読者の皆さんの応援のおかげです。  本当にありがとうございました。  感謝、感激です。    人生の困難に出会い、悩み苦しみ、乗り越えようとする 二人の十五歳の青年、ベンタ と 海斗。5年に渡る奇跡の物語。 (全7章)の【前編】序章~第三章。  ボクシング や 格闘技 が 好きな方。  物語の舞台となっている千葉県 松戸市、  ベンタの出身地 和歌山県、  海斗の出身地 岩手県 三陸エリア に、  現在 お住まいの方、または、ご出身の方。  阪神淡路大震災、東日本大震災、  能登半島地震等で被災された方。 「ベンタ」のもう一人の主人公、分銅海斗は、  東日本大震災の被災者です。  人生に迷い、悩み、苦しんでおられる方。  そして 何より 【青春・努力・友情・夢の実現 の 物語】 が 大好きな方。ぜひ みなさんで、 多くの方におすすめください。 【序章】~【第三章】まで公開中(全7章)    ※ 特別編 2作品   (1) 序章  特別編 【 分銅家の因縁。清巌流宗家、藤堂白鷗 】  (2) 第三章 特別編    【 二人の祝勝会と突然訪れた淡い青春の出会い 】      の 発表まで、もうしばらくお待ちください。    どうか、みなさんお楽しみに!  今後とも、「ベンタ」に、熱い応援を宜しくお願い致します。  野﨑博之(のさきひろし)
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  • 2025年9月2日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(10)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。   『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。(ここまで第一章)ここからの続き……。 ---------------------------------------------------------------------- 前回のつづき、 <新人プロテスト前日 ジムでの練習>  会長の徳川や、マネージャーの田口、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンの田上 瞬が見守る中、ベンタが先輩の矢尾板と、海斗が先輩小島を相手にしてスパーで基本的な動きの最終確認をしていました。 ここから以下は、【テイルズ】で公開中の、「ベンタ」本文でお楽しみください。 ---------------------------------------------------------------------- トレーナーの村木が、ベンタと海斗の二人に何回も言い聞かせていた。 「2ラウンドある」「自分の技量を見せればいいんだ」  村木が海斗を見た。 「いいか、あくまでテストだ」  田口がベンタを見た。 「相手を倒すことが目的じゃないぞ!」「はい」 ベンタと海斗、二人が同時に返事をした。 「ジャブ、ストレート、ワンツー、ディフェンス、フットワーク、そして手数だ」  村木がベンタを見た。 「その中でも特に大切なのは、ディフェンスとストレートだ」 村木が海斗を見た。 「接近してフックなんか打ったって、意味がないからな!」「はい」 二人がまたまた同時に返事をした。 「村木、この二人は、大丈夫だ」  徳川が村木を見ながら、ににこやかな顔で云った。 「まともにパンチが当たったら相手が立ってられないよ」  田口がベンタと海斗のパンチの威力を十分に認識していた。 「田口さん、それだからこそ敢えて言ってるんですよ」  村木が真剣な表情で答えた。 そして、 「テストにならないんじゃないか、ってね。逆に心配してるんですよ」  村木が力を込めて率直な意見を述べた。  横で聞いていた徳川と田上が、苦笑いを浮かべながら、なるほどね! という顔をした。 「明日の朝は一旦ジムに集合して、持ち物や書類の準備をしてから出発する。 田口さんが最後まで付き添ってくれるから、安心して今までの努力の成果を出してくれ。いろんな選手が来るから会場の雰囲気に飲まれるなよ」  村木が最後にニコリと笑った。 「今日はこれで切り上げる。早く帰ってゆっくり休むんだぞ」  村木が優しい眼差しで、ベンタと海斗の二人を見た。  なんとか無事に日程をこなし、明日の新人テストの最終調整が終了した。  二人の体調は万全だった。  東弁太一(とうべんたかかず)と分銅海斗(ぶんどうかいと)、ともに十六歳。  プロボクサーを目指し上京した二人の運命を決めるプロテストは、明日に迫っていた。 -------------------------------------------------------------------------- 次回からは、いよいよ、第三章に突入します 。 本格的なボクシングのシーンが、登場します。 お楽しみに・・・。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、 阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。 この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。連載中、【ベンタ】をお楽しみください!  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年9月1日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(9)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。    『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、  村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。 (ここまで第一章)ここからの続き……。 --------------------------------------------------------------------  前回のつづき、 <新人プロテスト前日 ベンタと海斗 故郷への電話>  ② ベンタのお母さんへの電話    ベンタは仕事が終わってすぐに公衆電話に向かいました。  この日のためにテレホンカードと百円玉を用意してしっかり巾着袋に入れ、他の荷物と一緒にリュックサックごと背負っていました。  このリュックは、バスケットボールチーム【ライズ】時代の名入り特製バックでした。  ベンタはもう一つの大型のスポーツバッグとともに今でも大切に使っていました。このバックを見ていると巻川コーチや先輩後輩達の顔が浮かんで勇気が湧いてくるのをいつも感じていました。  ベンタには自分が苦しい時、悲しい時、自分にはいつもバスケットボールの仲間の存在がありました。   父を亡くし母と二人きりになった時も、生活が苦しく母のためにバスケットボールを辞めようと思った時も、いつも励ましてくれたのは他でもない、バスケットボールアカデミーの巻川コーチやチームメートでした。  ベンタはリュックの中の巾着袋からテレホンカードを取り出し、受話器を握りしめ、母の携帯に電話をかけます。  ベンタの耳に呼び出し音が聞こえてきました。   ここから以下は、公開中の、 「ベンタ」本文でお楽しみください。 --------------------------------------------------------------------  和歌山にいる母の携帯にベンタの笑顔の写真が表示された、と同時に呼び出し音が鳴った。  母の携帯の呼び出し音は、母が若い頃から大好きだった曲、REOスピードワゴンの『涙のフィーリング』のイントロの部分だった。静かに印象的なピアノの音が聞こえてきた。  母は急いで携帯を手に取り電話に出た。 「お母さん、いま大丈夫? 忙しい?」  ベンタが聞いた。 「大丈夫よ、そろそろ掛かって来るんじゃないかって、待ってたのよ」  ベンタの母が待ちかねたように答えた。 「たかかず、ちゃんと食べてる? 怪我してない?」  と、ベンタの母が尋ねた。 「しっかり食べてるよ。練習はきついけど大きな怪我もしてないよ」  ベンタが答えた。 「そう、良かった。心配で、毎日お父さんの遺影に手を合わせてお願いしてるのよ」  ベンタも毎朝部屋にある父の写真に手を合わせてから、仕事に出ていた。 「お母さんこそちゃんと食べてる? 一人だと支度が億劫だよね?」 「ハハハッ、休みの日に買い出しして、いろいろ仕込んでおくのよ」  ベンタの母は、外食や店屋物があまり好きではなかった。 「冷蔵庫にパックごと入れてあると便利だし、栄養のバランスもとれるしね。ぬか漬けもあるから今度帰ってきたら食べてみて」 「ぬか漬けかぁ? お父さん、好きだったねぇ」  もう二度と会う事の出来ない亡き父の思い出が、ベンタの口からごく自然に出た言葉だった。 「楽しみに待っててちょうだい! と言っても、ボクサーは色々食事制限があるでしょうけどね」  好きなものを好きなように食べれないプロボクサーという過酷な職業を選んだ十六歳の息子を不憫に思った。体の大きなベンタは余計に減量が必要になるだろう、そんな気がしていた。 「まあ栄養の事とか体に関する知識は無理やりでも頭に入ってくるようになったけどね」 「お仕事とか、ジムや寮の皆さんにご迷惑をおかけしてない?」  母の心配している顔が自然と浮かんできた。 「仕事もボクシングも頑張ってるよ。周りの人が色々教えてくれたり面倒を見てくれるから心配いらないよ」  ベンタが一人で気をもむ母を安心させようとした。 「高校の資格の勉強はどう? 疲れてやれないでしょ?」  母が聞いた。 「そっちの方は頑張ってるとは言えないけど、何とか少しづつやってるよ」  ベンタが百円玉を握った手で頭をかきながら答えた。 「同い年の分銅さんとは仲良くやってる?」  母がさらに尋ねた。 「いろいろ助けてもらってる。あいつはしっかりしてるから頼りになるよ」  ベンタが海斗の顔を思い浮かべながら素直に返事をした。 「そう、良かった。お母さんは安心しました」  母の安堵した声に、ベンタが胸をなでおろした。  「お母さん、手紙で書いた通り明日プロテストを受けることになったんだよ」 「手紙読んだわよ。いよいよね? あっと!」  母が持っていたスマートフォンを誰かが横取りした。 「かず~、もう少し電話よこしなさい」  小さいころから聞きなれた懐かしい声だ。 「叔母ちゃん、居たの? びっくりしたなぁ、もう?」  ベンタが驚いた。 「かずちゃん、叔母ちゃんはないでしょ! お姉ちゃんて言いなさい、っていつも云ってるでしょ? もう~」 「咲(さき)姉ちゃん、ごめんなさい。毎度のことで」  ベンタがおどけながら返した。  その声を聞きながら、吉川咲が瞬間的に母の携帯をマイクの設定に指先ですばやく切り替えた。 「はははっ、いいのよ、かずちゃん。それより明日、プロテストなんだってね?」 「うん、自信はないけどね。とりあえず頑張ってみるよ」  ベンタの弱気に答える声が、スマホから響いて母の耳にも聴こえてきた。 「そんな弱気でどうするの?」 「かずちゃん、強気で頑張れよー。おもいっきりやってこーい!」  吉川咲がベンタに気合を入れた。  吉川咲は、母とは正反対の性格で男勝りで気丈夫、小さいことにくよくよしない、面倒見がよくてどんな時でも竹を割ったような性分の女性だった。  ベンタを赤ん坊の頃から自分の子供のようにかわいがって面倒を見てくれた、母とはまるで姉妹のような母の親友だった。  「怪我しないようにね。よくここまでがんばったね」  母が少し涙ぐみながら声をかけた。  父を病気で失い、高校進学とバスケットボールをとるか、それとも徳川万世という人についていってプロボクサーになるか悩んでいた時、母を幸せにしてあげたい、母に家をプレゼントしてあげたいというベンタの母親を思う気持ちを知り、ボクサーになることを反対していたベンタの母を、一緒になって説得してくれたのが母の親友、吉川咲だった。 「咲姉ちゃん、お母さんをよろしくね!」 「まかしときなって。安心してがんばってきなさい!」 「じぁ、お母さん、また電話するからね。じゃ、切るよ」 「悔いが無いようにね」  ベンタの母は、心配でこれ以上の言葉を出す事ができなかった。 「かず~、吉報待ってるよ!」  不安そうな母に代わり吉川咲が気丈にふるまった。 「ラジャー(ベンタの得意の返事)」  母や吉川咲には到底見えるはずのない電話機の向こうで、ベンタが敬礼しながら答えた。  ベンタが受話器を握り締めながら、静かに電話を切った。 -------------------------------------------------------------------- 次回は、新人プロテスト前日 ジムでの練習 の話です。 第三章まで、まだまだ続きます。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。  連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月31日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(8)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。   『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。 (ここまで第一章)ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------   前回のつづき、<新人プロテスト前日 ベンタと海斗 故郷への電話>  ①海斗の田舎への電話(祖父、祖母、妹、明善和尚)  バイトが終わってジムでの練習が始まる前に少しの時間の余裕があったので、海斗はリュックサックを背負って、走って公衆電話に向かいます。 松戸駅周辺にはまだ何か所か緑の公衆電話が残っていて、たまに見ず知らずの人が使っている時があるので、携帯電話を持たない海斗にとって場所の把握は重要なポイントであり、貴重な連絡手段でした。 海斗は故郷に電話をかけるために毎月千円分のテレホンカードを二枚か三枚、〝念には念を〟の気持ちで百円玉や小銭も用意して財布の中に大切に入れていました。 ベンタと海斗は携帯電話を敢えて持とうとはしませんでした。 それは毎月かかる費用の問題と、ボクシングと仕事に集中した生活をしたかったのが理由でした。 またボクサーとして少しでも視力に影響を与えるものを排除する為でもありました。自分の部屋にテレビがないのも、またパソコンがないのも視力を考えての決断でした。(寮にあるテレビやパソコンは自由に使っています) 世の中のいろいろなものに興味を持つ思春期の年頃に、自分の欲求を抑制し、余計なものを極力排除して、ひたすら一つのことに集中して打ち込む、海斗のストイックな姿勢と強い精神力は、とても今時(いまどき)の十六歳の青少年の姿ではありませんでした。 これが何より一番身近にいるベンタに影響を与えていました。 海斗は自分に対しては厳しくストイックでありながら、決して身勝手で独りよがりではありませんでした。 海斗はどんなに実力があっても必要以上に自分をアピールすることがありませんでした。 逆にそれが海斗の計り知れない未知の可能性を感じさせました。 電話ボックスで、海斗は左手で受話器を握りしめ、 右手でテレホンカードを挿入し、プッシュボタンを押します。 そして呼び出し音がコールしている間にポケットに入れてある百円玉を素早く持ちます。 海斗は心の中で、「早く誰か電話に出てくれ!」 と祈るような気持ちで待ちます。 ここから以下は、公開中の、「ベンタ」本文でお楽しみください。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- ようやく誰かが受話器を取った。 「はい、もしもし、分銅ですが?」  「さあ、私は誰でしょう? ちぐさ!」 「お兄ちゃん! お兄ちゃんだ!」 「やったぁ!」 「ねえねえ、おじいちゃんおばあちゃん、早くってばあ!」 「お兄ちゃんから電話だよぉ!」   妹の千草が大喜びで台所にいた祖母を呼んだ。 「えっ、何々、誰だって?」   少し耳の遠い祖母の華(ハナ)が耳に右手をあてて聞き返した。 「だからお兄ちゃんから電話だってば!おばあちゃん、早く!」 「えっ、カイちゃんから電話かね?」   祖母の華(ハナ)が慌ててエプロンで手を拭きながら大声を出した。 「あんたぁ、カイちゃんから電話だってばぁ!」 「なにっ、海斗から電話がきたのか?」  仏壇の前にいた祖父の栄治郎も大声を出した。   祖父母が急ぎながら小走りで走ってきた。   電話口に三人が勢揃いした。   妹の千草が電話機のスピーカーボタンを素早く押した。   海斗の声が電話機から大きなボリュームで響き渡った。   三人はマイクに向かって話し始めた。 「じっちゃん、ばっちゃん、千草、変わりないかい?」 「みんな元気だよぉ、ねぇ、おばあちゃん?」   千草が祖母の華(ハナ)に顔を向けた。 「カイちゃん、怪我してねがべがぁ? ばあちゃん心配で心配で」 「大丈夫だよ、ばっちゃん」「そっちは寒ぐねえが?しばれるべぇさ?」   海斗が聞いた。 「んだぁ、しばれるさぁ」 「これでもまだ今年はましなほうだべさ」  祖母の華(ハナ)が答えた。 「千草は勉強頑張ってるかぁ?」 「勉強そっちのけでブラスバンドに精出してねぇか?」 「ちゃんと両方頑張ってるよっ!」 「テナーサックスだって少しは上達してきたんだから」 「チーちゃん上手になったべさ、お兄ちゃんに聴かせてあげればいいさ」  華(ハナ)が言った。 「お兄ちゃん、あのね、ブラスバンドの県大会で優勝したんだよ! うちの中学校始まって以来のことだって。東京の全国大会に出ることになったんだよ!」 「へぇ、千草、とうとうやったなぁ、おめでとう!」 「東京に行けたらお兄ちゃんに会えるかなあ?」 「スケジュールが分かれば 必ず会いに行くよ」 「その時はちゃんと先生に話をしておくんだよ」 「うん、わかった。やったーおばあちゃん、やったぁ!」   千草が両手を上げて万歳をした。 「チーちゃん、よかったべさ」   千草が祖母の華(ハナ)に抱きついた。  千草の声が弾んで大喜びしているのが海斗には目に見えるようだった。 「海斗、いよいよプロテストだな?」   祖父の栄治郎が電話口に向かって静かに声をかけた。 「うん」 「明日、東京の後楽園ホールという所で受けることになったよ」 「後楽園ホールと云ったら、ボクシングの聖地だな」   感慨深めに栄治郎が言った。 「落ち着いて、自分の技量をだしてくればいい」   遠いところにいるはずの海斗の姿がまるで見えているかのように励ました。  そして何かを思い出したように電話機を見つめながら、栄治郎が噛み締めるように言った。 「震災で亡くなったお前の父さん母さんが、どんな時でもきっと見守ってるべさ」   栄治郎の言葉に、電話口にいる三人は自分に言い聞かせるように頷いた。   二〇一一年三月十一日、東日本大震災で父雅人(まさひと)、母しほりを亡くしていた。   八戸から石巻まで続く美しいリアス式海岸の真ん中あたりにある、三陸の小さな漁村、田野畑村島越(しまのこし)。  ここで生まれ育った海斗と千草、二人きりの兄妹。   父は地元の漁業組合で働き、母しほりは自分の両親とともに魚の加工センターで働いていた。  二人の子供がまだ幼かったため昼の間だけ雅人の父栄治郎と母華(はな)に預けていた。  兄海斗三歳と妹千草一歳は、震災のあの日、山間にある分銅家の祖父母の家に居て被災した。   辛うじて祖父母と二人の子供の命が救われたのだった。   何もかもなくなったその日以来、苦しく長い復興への道のりの中、難を逃れ生き残った祖父母が親代わりとなって二人の孫を育ててくれた。   突然の大津波で避難することが出来なかった父と母と母の両親。  当時家族四人で住んでいた海から少し離れた所にあった家ごと津波に流されたため、遺品や遺骨はいまだに発見されないままだ。  自然というものの力の恐ろしさをあれ程までにまざまざと見せつけられた出来事は、二十八年前の一九九五年に起こった【阪神淡路大震災】以来であった。 『父と母が空の上から必ず見てくれている』   中学を卒業して東京に出てくる時、祖父の栄治郎が云ってくれた言葉だった。   空を見上げると父と母の顔が浮かんでくる。   それも写真でしか見たことのない両親の顔だった。   震災当時三歳だった海斗には、はっきりとした記憶が無かった。 「震災で亡くなったお前の父さん母さんが……」   栄治郎が、言葉を詰まらせた。 「海斗と千草をどんな時でもきっと見守ってるべさ」   祖父の栄治郎の一言が、海斗には心に沁みた。   父と母がいつでも心配してくれている。   父と母の見えない力を海斗は感じていた。 「じゃあ電話切るよ。また電話するから」   残り少なくなったカードの度数を見ながら、海斗が言った。   右手には百円玉が握られていた。 「ああ、わかった。体に気を付けて頑張るんだぞ!」   祖父の栄治郎が励ました。 「あっ、それと明全和尚にもひと言、電話しておくんだぞ」   栄治郎が付け加えた。 「わかった」海斗が答えた。 「お兄ちゃん、頑張ってね!怪我しないでね」   妹の千草はいつも怪我を心配していた。 「カイちゃん、ちゃんとご飯食べなきゃ駄目だべさ」   祖母の華(ハナ)の心配はいつも食事の事だった。 「ばっちゃん、ご飯しっかり食べてるよ。怪我しないで頑張るよ。じゃ、切るよ」 「じゃぁねえ、お兄ちゃん、またかけてね。バイバイ!」   妹の千草が名残惜しそうに、電話の向こうにいる兄海斗に手を振っていた。 「チーちゃん、電話に向かって手振ってるべさ?」   祖母が不思議そうに云った。 「いいんだよぉ、お兄ちゃんには分かるから」   千草が当然という顔で祖母の華(ハナ)に微笑んだ。  ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 次回は、プロテスト前日 ベンタの故郷への電話の話です。  第三章まで、まだまだ続きます。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?   どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、 阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。 この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、『エピソードの数々』を、少しづつ紐解いていきます。   おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月29日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(7)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、不可抗力や運命に導かれる場合もあります。 主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。  『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、村木コーチの厳しい言葉に反発し、練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。 海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。 (ここまで第一章) ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------- 前回のつづき、 <プロテスト前日 ベンタのバイト先の話>  ベンタは中学卒業と同時に和歌山から上京して、プロボクサーを目指し千葉県松戸の徳川ボクシングジムに入門し、選手寮に入り、生活の為に仕事をしなければなりませんでした。  徳川会長が仕事先として見つけてくれたのが、ジムの近くにあるリネン工場でした。  この会社の大沢社長は、徳川の現役時代から応援してくれた旧知の間柄で、新卒の若者を特に希望していました。  ボクシングの練習時間確保があるためアルバイト社員でしたが、とはいえ社会保険も完備され、待遇は立派な契約社員と同等の扱いでした。  朝は掃除と機械の点検から始まり、前日持ち込まれた洗濯物の仕分け、そしてクリーニングされた品物別の整理整頓作業等がベンタの主な仕事でした。 身体が大きかったとはいえ働き始めた時はまだ十五歳。  あどけなさが残る笑顔で、ベンちゃん、ベンちゃんとみんなから呼ばれ、可愛がられます。辛抱強く仕事を覚えて明るく元気で力持ちのベンタは、重宝がられ、ボクシングの練習や所要のために時間が必要な時以外は仕事を休まず、責任感を持って誠実に仕事に取り組む姿勢が、みんなから信頼され頼りにされていました。  お昼は会社の食堂で毎日頼んでいる仕出し弁当をみんなと一緒に食べていましたが、仕出し弁当は揚げ物が多く油分と脂肪分が多いので、気を付けながら食べていました。  入社してから十か月近くが経ち、早生まれのベンタは令和六年一月三十日、ようやく十六歳になりました。 工場長の秋田がベンタに声をかけ、ベンタの肩に手をのせます。 「東弁君、いよいよ明日だな。プロテスト頑張ってな」「はい、がんばります!」  ベンタが明るい笑顔で元気よく答えます。  食堂にいた周りにいた人たちが一斉にベンタの方を見ました。 「えっ、いよいよプロテスト受けるのかい?」 先輩の高木が肩を叩きます。 「ベンちゃん、プロになるの?」 年配のパートの吉田さんが驚いたようにベンタに尋ねます。 「まだだよ、吉田さん……」 高木が笑顔で吉田さんを見ます。 「このテストに受かれば正式にプロボクサーさ」 高木が自分の事のように吉田さんに説明します。 「そうなの?」 吉田さんが、「私はボクシングの事はよく分からないけど」 と言いながら、 「仕事とボクシングを一年近く頑張ってきたもんね。うちの子供とは大違いだわ」「いやあ、ハハハ」 ベンタが照れくさそうにします。 「ベンちゃんなら絶対大丈夫よ!」 吉田さんがベンタの顔を頼もしそうに見ます。 「ベンタ、がんばれよ!」 先輩の高木が右手の拳を握ってガッツボーズをします。 「はい、全力を出してきます」 ベンタも右手の拳を握ってガッツボーズと笑顔で応えました。  -------------------------------------------------------------------- 次回は、プロテスト前日 海斗の故郷への電話の話です。 第三章まで、まだまだ続きます。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。 連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、『エピソードの数々』を、 少しづつ紐解いていきます。 おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月28日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(6)

     人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。    『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、  村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。 (ここまで第一章)ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------   前回のつづき、 <プロテスト前日 海斗のバイト先の話>   「おはようございます」 いつものように元気よく挨拶をしながら、海斗が「お食事処ごんべい」のお店の中に入ってきました。 「おお、お早う」 権田坂が海斗に声をかけた。 「海斗君、お早う」 女将さんが笑顔で海斗の方をみます。  海斗の仕事は、毎朝お店の掃除と仕込みの手伝いから始まり、  朝八時から夕方近くまで途中休憩を挟みながら、昼前の午前十一時の開店時間に合わせて様々な準備をしていきます。  プロボクサーの体づくりを熟知している店主の権田坂とおかみさんは、まだまだ体が大きくなる可能性が有り、将来減量に苦しまないようにと体脂肪を増やさない献立を心がけて滋養と栄養がある特別メニューを海斗のために毎日用意しています。  権田坂は自分は引退してプロボクシングの世界から身を引いた人間であるという気持ちと、海斗の師匠は親友の徳川万世である、という配慮から、ボクシングに関して下手に口を出してはいけないと考え、海斗から求められない限りアドバイスをしようとはしませんでした。  海斗がどれだけ過酷な練習を毎日積み上げているかは、体脂肪の無い筋肉質の体つきを見ればすぐに理解できました。  明日、新人プロテストを受けることは知っていましたが、敢えてそのことには触れないようにとの気遣いを、海斗は痛いほど感じていました。  約一年ほど前から海斗が働いてくれるようになったおかげで、二人の体の負担もかなり軽減され、海斗を見守るという親のような責任感のモチベーションが、二人にとってお店を続けられる原動力にもなっていました。  暫くするとおなじみの常連さんが一人はいってきます。  近所でパン工房の店を開いている【松下幸介】でした。  年齢は四十代半ばで、筋金入りのパン職人で、  松戸市以外も含めて数店舗を奥さんと共同で経営していました。  パン工房は松戸の本店以外、ショッピングセンター等にテナント出店していて、奥さんと分担して他のお店を巡回していました。  子供は娘が二人。まだ中学三年生と一年生で、二人とも陸上部で活躍。  三年生の姉が短距離、一年生の妹が中長距離選手でした。  松下が巡回しない日は、週に一、二度「ごんべい」で昼食をとる事を習慣にしていました。出来上がったばかりの新作のパンを抱えながら、いつも暖簾がかかる前にお店に一番乗りで入って来て、権田坂やおかみさんとゆっくり雑談をしながら食べる事を楽しみにしていました。  町内の商店街で役員と同時に徳川ジム後援会のメンバーでもあり、とことん面倒見のいい器の大きな人物でした。 「こんちはっ!」  松下が一番乗りを確認して満足そうに笑顔で入ってきました。 「あら、いらっしゃい」 「おお、松ちゃん、いらっしゃい!」  実松がいつもより少しぎこちなく、 「いらっしゃいませ!」  海斗も顔を出します。 「今日も一番乗りですねっ!」  海斗が松下に声をかけます。 「アハハ! 海斗君、分かってるねぇ。確か明日だったっけ、プロテストは?」  実松が右手の人差し指を立てて口に押し当てながら松下に、 「しー」  と合図。 「あっ、そうだったのか!」 「こりぁまずいこと云っちゃったみたいだ」  おかみさんも、 「あれまあ」  という顔をします。 「気にかけてもらってすみません。明日がプロテストです」 「東京の後楽園ホールというところでやります」 「初めて行くんで楽しみです」  海斗が松下さんに明るく笑顔で答えます。 「ベンタと二人で受けるんで心強いです。それに田口さんが付き添ってくれます」  実松とおかみさんがようやく安堵します。 「そりぁ良かったよ」 「その顔なら絶体大丈夫、合格間違いなしだ!」 「当ったり前だよ。なあ?」 「ええ、絶対大丈夫ですよ。ねえ?」 「この前も徳ちゃん(徳川ジム会長)やマネージャーのたぐっちゃん(田口)が来て、二人ともいつデビューしてもいいくらいだって言ってたんだから、心配いらないさ」 「海斗君なら心配ないさ。この体つきを見たって相当なもんだ」 「ねえ、おかみさん?」 「初めてうちに来てくれた時より、一年でこんなに大きくなってるんだから!」 「ねえ、あんた?」 「東弁君(ベンタのこと)といい、十六歳でこれだけの体格のボクサーは、そうそういるもんじゃないよ。ねえ大将?」 松下が権田坂の顔をのぞきこみます。 「ああ、俺だって、この若さでこんな体格のボクサーなんか今まで見たこたもねぇさ」  松下も若い頃からボクシングが大好きでした。 「そうか、東弁君(ベンタのこと)と一緒に受けるのか?」 「二人とも楽しみだねえ、大将?」  表には出さないが、喜びながらも心配で仕方がない実松の気持ちを松下は見抜いていた。 「技術、体力、パンチの強さ、そして最後は〝気持ち〟なんだよ」  実松の元ボクサーとしての気の強さと情熱が、海斗に伝わります。 「〝気持ち〟が強くなかったら上には上がれねぇ。大事なのはそれだけさ!」  実松が海斗の方を見ながら、右手の拳を握って見せます。 海斗がそれを見て頷きます。  次の客が入ってくるまで、松下を中心に四人の明るくてあたたかな時間が流れました。  海斗は会うたびに励ましてくれる〝松下さん〟と、親代わりになってくれている〝大将(権田坂実松)とおかみさん〟。  自分の事をこんなにも心配して見守ってくれている人に囲まれながら、ボクシング生活をさせてもらっている幸せに胸が熱くなります。 「必ず答えてみせるぞ!」  自分の身体(からだ)の隅々に力が漲(みなぎ)ってくるのを海斗は強く感じます。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 次回は、プロテスト前日 ベンタのバイト先の話です。 第三章まで、まだまだ続きます。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。  連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月27日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(5)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。    『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、  村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。 (ここまで第一章)ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------   前回のつづき、  <何より体力と技術を磨け!徹底的に体を鍛えろ!>  ベンタと海斗の二人の【ジムワーク】は、  様々な練習メニューが工夫されています。  まずは【ジムワーク】練習メニュー   一、ストレッチ(マット運動・柔軟体操 3ラウンド9分)  二、縄跳び=ローピング(2ラウンド6分)  三、パンチングボール&ダブルエンドボール  四、シャドーボクシング(5ラウンド15分)  五、ミット打ち  六、サンドバック(3ラウンド9分)  七、マスボクシングまたはヘビーバッグ  八、スパーリング(10ラウンド30分)  ※気分転換にエアロバイク(30分)を入れる。  ボクサーにとって基本の反復練習を繰り返すことが最も重要です。  ボクサーなら誰でもやっている基本的な練習を毎日工夫しながら、変化を加えてます。  そして気分転換には必ずエアロバイク。  このメニューを取り入れることで、疲れた体に負荷をかけて心肺機能と下半身の強化を同時に行った。特にミット打ち、サンドバッグ、マスボクシング、スパーリングと少しづつ実践向きのレベルの段階が上がっていった。  特に重視したのは、相手に強烈なダメージを与える手首の強化。  田口マネージャーや村木トレーナーの厳しい声が毎日飛んできます。  サンドバッグをたたき始めるとすぐ後ろから、 「一発でも多く打ち込め」と気合を入れます。  ベンタと海斗が両手でサンドバックを打ち続けます。  頭から汗が滴り落ちます。  周辺がまるでサウナの中にいるような熱気です。  声を出しながら二人が打ち続けます。 「体が疲れてくると誰でも手打ちにな」 「しっかり腰を入れて膝を使って打て!」  ミット打ち、続いてマスボクシング。最後にスパーリング。  今度はかつて現役当時、技巧派と謳われた田口と、闘魂ファイターと呼ばれた村木から容赦ない要求が飛んできます。 「ファイテング原田や大場政夫のようにパンチの雨を降らせろ!」 「百発打ち続けろ!」 「休むな、十秒間に五十発撃ち込めば必ずダウンする」 「常に動け!無防備に正面に立つな!」 「不用意に近づき過ぎると相手がアッパーやカウンターのフックで狙ってくるぞ!」 「横から攻めろ!パンチをブロックしながらボディを打て!」 「パンチを打つ時、片方の手で守りを固めろ!」 「リカルド・ロペスのようにガードを固めて、ステップで距離の強弱をつけろ!」 「相手のどこにパンチを入れるのかを考えながら打て」 ・・・ベンタと海斗に、田口と村木から厳しい言葉が浴びせられます。 ジムワークが終わると、サーキットトレーニングを行います。 【サーキットトレーニング】練習メニュー  一、腹筋(五百回)  二、ディップス(一回目)(二十五~四十回)      ※大胸筋と上腕三頭筋の強化  三、腕立て伏せ(五百回)  四、ディップス(二回目)(二十五~四十回)  五、シュラッグ(五十回)ダンベル・バーバル他 ※僧帽筋の強化  六、ブリッジ(首周りの強化)(3ラウンド9分)  七、エアロバイクかランニングマシーン   「体力がないと思ったらとにかく走れ。ひたすら走れ」   「走ることが自分に勝つことだ!」 ・・・ベンタと海斗に、田口と村木から厳しい言葉が浴びせられます。  ※ 一~七を数セット   八、特に手首の強化・握力の強化  九、足腰の強化(特に臀部と太ももの強化)  十、マットの上を前転する。    立ち上がったら、大きなゴムボールを両手を使って壁に投げる。  ※ 最後にストレッチ(1ラウンド3分)(筋肉の疲れをとり終了) 毎日毎日、物凄い練習が繰り返され、積み重なっていきます。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- 次回は、プロテスト前日 ベンタと海斗のバイト先の話です。 第三章まで、まだまだ続きます。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。  連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月27日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(4)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。    『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、  村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。(ここまで第一章)ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------   前回のつづき、  ジム会長の徳川万世、田口マネージャー、ジムのリーダー田上瞬、  寮の先輩矢尾板と小島が心配する中、  ベンタは、長いロードワークから海斗と一緒に戻り、  トレーナーの村木に謝罪し、村木もベンタの気持ちに応えるように、  「プロボクサー新人テスト」の受験に向けて、ベンタと海斗に厳しい注文とさらなる努力を促します。  それから一か月後、とても普通の16歳と思えないほど、自己管理が徹底している海斗と、それをそっくり真似たようなストイックな生活をするようになったベンタ。その姿を驚きと称賛もって見ている寮母のマーさん。  ベンタと海斗をバイトに送り出した朝食の後、寮母のマーさんと先輩の矢尾板、小島の3人は、話し込みます。  神戸で生まれ育ち父の影響で小さい頃からプロ野球を観戦して育った寮母のマーさんと、プロ野球選手を夢見ていた野球少年、矢尾板の野球談議が始まります。  今年日米で野球殿堂入りを果たした、スーパースター、イチロー選手。  まだオリックスの2軍にいた頃から「細身だがこの選手は必ずいい選手になる」と云っていた父親の言葉をマーさんは思い出します。  同じく巨人とヤンキースで活躍し、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督と共に国民栄誉賞を受賞した松井秀喜選手に憧れてプロ野球を目指していた矢尾板。  この二人が何故、日米で記録を残し活躍できたのか?  それは「プロとしての妥協なき徹底した自己管理の追求」と、多くの国の出身者やあらゆる人種のるつぼである米国においても、「信頼され、慕われ、尊敬される優れた人間性」の2点が、マーさんと矢尾板の会話の中で語られます。  ベンタと海斗の一心不乱に努力する姿は、まるで雲の上のような人たちに匹敵するのではないか?   という思いをマーさんと矢尾板に抱かせます。 -------------------------------------------------------------------- 次回から、プロテストに向けて本格的な練習が開始されます。 このあと、ベンタと海斗を待ち受けている試練は? 「ベンタ」第二章が動き出します。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この「ベンタ」という小説に、「道標」作品の思いが込められています。  連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
  • 2025年8月27日

    「ベンタ」【第二章】に散りばめられたエピソード再発見!(3)

    人生には必ず困難な時が訪れます。  自らが原因で招くこともあれば、  不可抗力や運命に導かれる場合もあります。  主人公「ベンタこと東弁太一(とうべんたかかず)」と、  もう一人の主人公、「分銅海斗(ぶんどうかいと)」。  親を失うという自分の力ではどうする事も出来ない人生の困難に、 「ベンタ」と「海斗」は遭遇します。    『自分の力で、自分の人生を切り開きたい』、  プロボクシングに人生をかける決心をします。  入門から半年、  村木コーチの厳しい言葉に反発し、  練習を勝手に変更してジムを飛び出したベンタ。  海斗はベンタを追いかけ、公園にいるベンタを見つけました。  ベンタは、海斗も自分と同じようにつらい思い出や境遇、先の見えない不安と戦っていることを知ります。(ここまで第一章)ここからの続き……。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------   村木が何かを決心したように、ベンタと海斗の二人に力強い言葉で声をかけます。 「二人とも四月に入門してから半年が過ぎた。よくここまで頑張った」  村木はベンタと海斗の目を見ながら続けます。 「明日から周りの選手と同じように、マスボクシング、それがしっかり出来てきたらスパーリングを始めるから、そのつもりでいてくれ」  ベンタと海斗は、真剣な表情で村木を見ます。 「いいか、ここからが本格的なボクシングの修業に入るからな」  徳川と田口、そして田上がベンタと海斗の表情を見ています。 「但し、高校を卒業してからプロボクサーを目指す選手や、中学高校でアマボクシングを経験してから入ってくる選手と違って、ベンタと海斗には、簡単にプロテストは受けさせない。それはまだ体が出来ていないからだ。まずはしっかりとした体力と筋力をつけることが大切だ」  村木がベンタと海斗の二人の顔を交互に見ながら付け加えたます。 「そしてさらに、だ」  矢尾板と小島が村木の言葉に耳を傾けます。 「ミット打ちやスパーで、田口さんと俺のパンチを全部防御できるようになったら受けさせる」  矢尾板と小島が少し驚いた表情になった。  田上は微笑みながらベンタと海斗を見ています。 「どうだ? 相当難しい条件だ」  周りの空気が緊張で張り詰めます。 「やります。やらせてください」  ベンタが燃えるような目で口火を切り、 「自分もベンタも必ず乗り越えてプロになってみせます」  海斗もベンタに続いて真剣な表情で力強く応えます。   「よし、決まりだ。明日から頑張ろう!」  村木が大柄なベンタと海斗の肩に両手をかけてグッと握った。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------- このあと、ベンタと海斗を待ち受けている試練は? 「ベンタ」第二章が動き出します。  生活や人生が思うようにいかなくて苦しい時、つらい時、どん底だと感じるとき、人は現実とどう向き合えばいいのでしょうか?  どう立ち直ればいいのでしょうか?  野﨑博之(のさきひろし)の「呼び止めざる事の為に」の本の中に、  阪神淡路大震災に寄せた、「道標」という作品が所収されています。  この作品に込められた思いが、第二章の多くの場面で描かれています。  連載中、【ベンタ】第二章 をお楽しみください!  次回以降も、現在公開されている、 「ベンタ」【前編】 『 序章 ~ 第三章 』 に散りばめられた、 『エピソードの数々』を、  少しづつ紐解いていきます。  おたのしみに・・・。  野﨑博之(のさきひろし)
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