はじめまして、安心院八十六(あじむ はちろく)です。
普段は純文学を愛好しつつ、その時々の直感で物語を綴っております。
今回は、第2回カクヨム短歌賞【ナツガタリ'26】に向けて、『アスファルトの蝉時雨』という連作短歌を書き上げました。
この10首を紡ぐとき、私の中にあったのは「境界線」という景色です。
夏という季節は、あたたかくも切ない、特別な境界線のように感じます。
コンクリートの熱と、冷えたソーダ。
誰かと過ごした時間の片隅で、言葉にできないまま積み重なっていく、名前のない感情たち。
「またね」という言葉に隠した本当の気持ちや、イヤホンから伝わる微かな温度。
この連作は、私自身が過去にどこかへ置いてきてしまった、「あの日失くした夏の手触り」をもう一度すくい上げる作業でもありました。
もし、読み終えたあとに少しだけ胸の奥が熱くなったり、遠い夏の日の匂いを思い出したりしていただけたのなら、これほど嬉しいことはありません。
蝉時雨が止むその瞬間まで、どうかこのひと夏の記録にお付き合いください。
これから、よろしくお願いいたします。