低軌道上、地上百五十キロで起爆を待つテロ組織のEMP攻撃衛星〈バベル〉。
先制攻撃を受け、満身創痍となった軌道要撃機〈旭光III〉に残された武装は、旧式の20ミリガトリング機関砲ただ一つだった。
国際宇宙協定が禁じる質量弾の宇宙投棄。不用意に撃てば未来の宇宙を閉ざすデブリとなる。文明を守り、かつ条約を遵守する唯一の解――それは、地球の重力井戸へと急降下し、弾丸を重力圏外へ放逐する「第二宇宙速度」で引き金を引くこと。
相対速度・秒速18キロ、交差時間はコンマ数秒。
軌道力学の極限に挑むパイロットと、冷徹に生還率を計算し続ける相棒キップ。傷だらけの機体が夜明けの光を浴びるとき、戦いの裏に隠された真実が明かされる。
