*『生まれた時から』第1話 - 始まり*
明るい朝の学校。きんは自分の席に座っていた。彼は他の生徒と話すこともなく、ただ一人でチャイムが鳴るのを待っていた。
7時。登校のチャイムが鳴り、校庭にいた生徒たちがそれぞれの教室へ戻っていく。きんの教室は1年C組だった。
先生が入ってきた。先生は全員に自己紹介をするよう言った。
出席番号14番。きんの番だ。
彼は前に出ると、時間を無駄にしないような短い自己紹介をした。
「きん、です。よろしくお願いします」
『“よろしくお願いします”って、何をお願いするんだ?』
最後の出席番号が呼ばれた。
「ゼヤさん」
ゼヤが自己紹介をする時、きんは彼女に目を奪われた。
この子は、他の女子とは違うかもしれない。そう感じた。
当然、小学校1年生の授業は簡単なものだった。絵を描く課題。きんの嫌いなものだ。
「はぁ…、馬鹿らしい」
皆が紙にクレヨンで落書きを始める中、きんだけはじっと座っていた。
先生が彼の様子に気づき、机まで近づいてきた。
「どうして絵を描かないの?」
「嫌いだから」
きんは無表情で、敬意のかけらもない返事をした。
先生は彼の性格を見て、ただため息をついた。
「じゃあ、何が好きなの?」
「答えのあるものが好きだ」
先生はもう何も言わず、その場を去った。
休み時間のチャイム。きんはパンを買うために食堂へ向かった。弁当は持ってこない主義だ。
彼は一人、自分の席で食事をしていた。
突然、誰かが向かいに座った。ゼヤだ。彼女はきんが気になって、わざと座ったらしい。
「なんで自己紹介、あんなに短かったの?」
「それに先生に質問された時、すごく失礼な答え方してたよね」
きんはゼヤに答えた。
「もしそれが単なる好奇心なら、帰ってくれ」
「冷たいな。君みたいだと、誰も友達になってくれないよ?」
きんは黙った。何も答えない。
ゼヤは友達に呼ばれて、弁当を食べに行った。
きんは去っていくゼヤを見つめた。
『友達…?』
下校のチャイム。きんは校門の外で父の迎えを待っていた。
ふと見ると、ゼヤも父親に迎えられていた。
きんはゼヤの言葉を思い出す。
「君みたいだと、誰も友達になってくれないよ?」
『目的を達成するために、他人は必要なのか?』