本編の補足を少し書こうと思います。
最初、入学式の日の場面で藤子たち登場人物は制服を着用していますが、1930年代の制服普及率は低く、私服登校も当たり前の時代だったとのこと。特に都心部に比べると農村部での普及率は低め。
そもそも、尋常小学校(現在の小学校)から高等小学校(現在の中学校)への進学も少ない時代だったとのこと。
そのあたりを踏まえつつ、作者は下記のように設定しています。
①藤子と和彦:家業は林業と農業。林業は小さいながら山を一つ所有。農業は小規模な田畑を営むが、基本的には家族が食べるためのもの。
なので、おそらく当時の平均収入よりは少し余裕がある家庭。
しかし、天候に左右される仕事ということもあり、安定は望めない。二人同時の入学にはお金がかかるので、近所の人に制服を譲ってもらってそれぞれの母(和彦の母:ハル 藤子の母:佳子)が手を加えているものを着ている。
但し、入学式や大きい行事での着用としているので、普段は殆ど私服。藤子は夏季以外は時々制服を着ることもある。
②清と慎一郎:家業は鍛冶屋。清の父と慎一郎の父が共同で営む。規模は小さめではあるが、収入は平均~少し多い程度。親類等に制服を譲ってもらい、仕立て直してもらっている。二人とも式などの時のみ着用。動きやすい服装を好むので、慎一郎曰く「窮屈で長い間着るのは嫌だ」とのこと。
③春恵:集落で一番裕福な旧武家。先祖代々の土地などもあり、そこから収入を得ている。今の時代であれば、年収1000万円は超えている。春恵の両親は教育熱心なので、学校にかかる費用はしっかり捻出。裕福だが、出すべきところには出し、控えるべきは控えるという経済観念の家庭。他の生徒たちと違い、殆ど毎日制服登校をしている。
④佐竹:家業は集落唯一の雑貨屋。収入は平均より少し多め。雑貨屋という条件上、しっかりと需要はある。年の離れた兄二人は成人済であり、それぞれに村外で働いている。兄たちの頃には制服はなかったのでおさがりなどはないが、母が手頃な布を買い、それを制服に仕立てている。式典などの行事の時は着用するが、動きやすい服装で通学。
このように、それぞれの家庭の状況なども考慮していますが、何せ今とは全く異なる時代のため、設定にムラがあります。
もしかしたら、ところどころで矛盾が発生するかもしれませんが、温かく見守っていただければと思います。